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「Vue.jsは、本質的な価値を生むフレームワークになり得る」川口和也・野田陽平・井上拓哉(Vue.js 日本ユーザーグループ)〜Community lovers by Forkwell

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※左から順に、野田陽平氏・川口和也氏・井上拓哉氏

Forkwell Pressでは、「成長し続けるエンジニアを支援する」というスローガンの元、エンジニアが運営しているコミュニティをご紹介する企画を実施しています!コミュニティ運営の原点や想い、今後の展望などをインタビューし記事化することを通して、コミュニティのさらなる発展に貢献していきます。

今回は、日本におけるVue.jsの普及を目的としたコミュニティ「Vue.js 日本ユーザーグループ」の運営者である川口和也さん・野田陽平さん・井上拓哉さんに取材しました。

学習コストが少なく、自由度が高いのが ^_^ 魅力

――まずは設立の経緯を伺います。コミュニティの発起人はどなたでしょうか?

【川口】 私が発起人です。設立は2015年5月頃ですね。connpassというサイトにVue.js Meetupというコミュニティを作ったんですけど、当時のイベントはmeetupとして開催しているわけではなく、いわゆる一般的な勉強会のような形式で開催していました。

――Vue.jsのコミュニティを作ろうと思ったきっかけは何だったんですか?

【川口】 実は上記のような勉強会形式での開催をする前に、自分の会社で勉強会をやりましょうという話がありました。たまたまその頃Vue.jsに興味を持っていたので、他の方がどう使っているか気になってmeetupを開催しました。それがきっかけです。勉強会の最初のころは基本的に私がちょっとしたLTをやり、あとは雑談するという内容でした。

――拝見する限り、80人定員のところ93人集まったとか。

【野田】 このときは、LINEさんで開催したからかもしれないですね。

【川口】 当時LINEさんにいた手島さんという方が勉強会に来てくださって、「Vue.jsの翻訳をやりましょう」と誘ってくださったんです。それからは手島さん、野田さんたちを含めた数名でVue.jsの公式ドキュメントを章ごとに割り振り、月イチで翻訳をやっていました。

【野田】 手島さんは、私の前職(IBM)での先輩だったんです。私がIBMを辞めて現職のプレイドに移ったあと、Vue.jsの翻訳を一緒にやらないかと誘われたことがきっかけで、川口さんと知り合いになりました。

――Vue.jsというフレームワークの特徴を教えてください。

【川口】 Vue.jsはアプリケーションを作るためのライブラリで、言語はJavaScriptを使用しています。アプリケーションを作るものとしてはReactやAngularなどがあるのですが、比較するとVue.jsは学習コストが少なく、自由度が高いところが特徴です。ちょっとしたページにも入れられ、途中までプロジェクトが動いていても部分的に入れて適応させられます。大きいアプリケーションを作る際に、幅広い規模に対応できます。

――Vue.jsを最初に知ったのはいつ頃だったのでしょう?

【川口】 フロントエンド界隈のMizchiさんという方がVue.jsに関する記事をブログに書かれていて、それで初めて知りました。その後、会社であるプロジェクトが始まることになり、それは既存のレガシーを使いながらやっていかなければならない、かつ大規模に対応しなければならないという条件になったので、従来のjQueryから初めてVue.jsを使いました。使っていくうちに「これは柔軟性があっていいぞ」となり、採用したという経緯です。

――Vue.jsが使用されているプロダクトには、どんなものがあるのでしょう?

【川口】 例えば本日取材の場としているプレイドさんのKARTEというプロダクトもそうですし、LINEさんのアプリでも使われていますね。

【野田】 有名なところでいうと、ピースオブケイクさんも最近導入されましたね。

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コミュニティが未熟なら、使われずに終わる技術もある

――現在のコミュニティの活動内容はどういうものでしょう?

【川口】 定期的にmeetupと翻訳会を開催しています。これは初期から変わっていません。Vue.js公式の翻訳と、最近は井上さんが主体となってNuxt.jsの翻訳も行なっています。2018年11月には「Vue Fes Japan 2018」というカンファレンスもあるので、その実行委員会を作って準備もしています。

――運営メンバーは全部で何人ぐらいいらっしゃるのですか?

【川口】 スタッフは20人ぐらいですね。初期は5名ほどで、私とその時々で手伝える人でやっていました。しかし、第三回meetupからVue.jsの人気が出始めたタイミングと重なり、参加申し込みが100名を超えるようになりました。さすがに私1人では対応できなくなったので、興味のある人に協力をお願いして今に至ります。

――connpassでの登録メンバーは2,100人を超えていますね。

【川口】 Vue.jsのSlackチャンネル(コミュニティSlackチャンネルへの参加はこちら)があって、そちらでは1,800人ぐらいです。かなり増えてきていて嬉しいかぎりです。

――Vue.jsのユーザーが急速に増えた頃は、コミュニティの動きにも変化があったのでしょうか?

【川口】 2016年末にVue.jsのバージョン2.0が出たあと、海外ブログの「Why we chose Vue.js over React」というエモい(笑)記事がバズって、それが翻訳されて日本でも広まりました。その記事が、ひとつのきっかけだったと思います。Vue.jsの作者が、2016年には積極的にカンファレンスに出ていたのも大きいかもしれないですね。複数の要因が重なってVue.jsが広まり、コミュニティのメンバーも増加していったかなと思います。

――活動にあたって課題を感じられることはありますか?

【川口】 meetupの募集をすると、3分も経たないうちに定員が埋まってしまうんです。中にはVue.jsに触ったこともなければ、コミュニティに参加したことがない方もいます。そのような方たちの参加は非常に嬉しくて、Vue.jsをさらに広めていく上で、そのような方たちがもっと参加しやすくなるようにできればと思っています。それもあって、前回から募集方式を先着順から抽選にしました。それでも、まだ参加できない漏れてしまう方は出てしまいますが。

――もっとより多くの人にVue.jsを広めたいと。

【川口】 できればそうしたいですね。最初は自分たちが楽しめたらいいやという感じでやっていたのですが、3回目で人気が出てきてからは「ちゃんと目的意識を持って運営しなければ」という意識になりましたね。

――野田さん井上さんは、当初は純粋に「楽しもう」という気持ちで参加されたのでしょうか?

【野田】 そうですね。私は元々大企業で決められた技術を使って開発していたので、「新しい何かを学びたい」と思ったのと、転職した会社がVue.jsを使い始めたこともあり、「より深く知りたい」というのもあって参加しました。ドキュメントの翻訳ではいろいろ調べる必要もあるので、「自分を追い込みたい」という気持ちもありました。あとは単純に技術的な部分で、いろいろな人の知見を聞いて楽しみたいという気持ちですね。

【井上】 僕は元々はRubyやRailsのコミュニティにいました。Railsはフレームワークとして優れているのはもちろん、コミュニティが盛り上がっていて楽しかったんですね。そんな中、仕事で2回ほどフロントエンドのフレームワークの技術選定をやる機会があり。React・Angular・Vue.jsなどをそれぞれプロトタイプを作って比較していたのですが、Vue.jsが僕の中で感触が良かったんです。

そこでふとVue.jsのコミュニティを見たら、ちょっとイベントの運営やドキュメントの翻訳などが大変そうで。Vue.jsは技術として優れていてもまだそこまで使われていない技術だったので「このまま終わってしまってほしくない」と思いました。なので少しでも広めていけるといいなと思い、このコミュニティに参加しました。それとVue.jsが使われなくなると自分の仕事的にも困ってしまうので(笑)実務的な意味でも存続させなければと思って参加しました。

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フレームワーク選定は、本質的な作業ではない

――ちょっと話題は変わりますが、今エンジニアとして感じている課題はありますか?

【川口】 Webに限った話になるのですが、われわれエンジニアはユーザーさんにプロダクトやアプリといったサービスを作って価値を提供しないといけません。「それをしっかりやれているのか?」というと疑問があります。

Web周りには技術がたくさん出てきていて、言語のバージョンが上がったり、通信プロトコルがHTTP1から2に上がったり、インフラでも新しいものが出てきて大変な状況になっています。その検証や選定に時間が取られ、本質的なアプリケーションやサービス開発に時間を割けていない気がするんです。それが自分の中での課題です。
ただ、そのあたりはVue.jsがうまく対応できているなと思っていて。幅広い部分に対応できるし、開発サポートするツールも提供しているので。

【野田】 企業でアプリケーションを書いている身として思うことは、フレームワークや仕様が実際どう使われ、どういう部分がイケているか・イケていないかはなかなか表に出ないんですよね。エンジニアブログとかで出たりはするんですが、実際のところどうなのよと。面と向かって話していろいろな情報が集まる場を作れると、すごく良いなと思っていますので、このコミュニティもそんな場になればいいなと。

――実践的な知識を学べる場があるのは、素晴らしいですね。

【井上】 川口さんが仰っていた通り、フレームワークの選定はプロダクトの本質的な価値を生み出すものではないので、それはさっさと終わらせて(笑)、良いフレームワークに乗っかったほうがいい。Vue.jsはそうしたフレームワークになり得ると思います。

さらに、元々いたRailsコミュニティには上級者も初心者もいたのですが、初心者でもある程度ちゃんとしたものが出来上がるような仕組みがRailsにはあって。Vue.jsでも、初心者であってもある程度のものを作れるフレームワークが出てきて、デファクトになっていけばいいと思います。

川口さんのおかげで、2017年夏頃にはVue.jsの存在はかなり広まっていました。ただ「現場の情報はなかなか出てこないね」という話をしていたように思います。僕はその頃GMOペパボにいたんですが、社内にVue.jsを使った事例がいくつかあったので、「ペパボテックカンファレンス〜Vue.js特集〜」と銘打って現場の事例を紹介するイベントを開催したりしました。そうした流れもあって、今は現場の事例も盛んに出てくるようになったと思います。

通常のVue.js Meetupは、ある程度初心者の方でも楽しめるものが出てきていて、これ自体は非常によい傾向だと思っています。ただ逆に課題もあって、中・上級の方が楽しめるようなコンテンツも必要だなと思っています。その背景から、11月に開催される「Vue Fes Japan 2018」ではそのような方たちが楽しめるものにしようと企画しています。このようにコミュニティ自体は課題を一つずつ模索・解決しながら成長している段階です。

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アイデアのある方、大募集!

――最後に、コミュニティのPRをお願いします。

【川口】 Vue.jsが広く使われるようになったので、今よりたくさんの方が参加できるようにしていきたいですね。例えば翻訳は主にコアメンバーでやってきたんですが、今後は気軽に参加できるようにGitHubでも翻訳できる基盤を整えていきます。興味を持った方はどんどんmeetupに参加いただいて、新しいコミュニティを作ってほしいと思います。

【野田】 人が1人増えるだけでいろんな知見が加わります。人が集まることでできることはたくさん増えますね。人が増えれば増えるほど掛け算的に成長できるような、意味のある場にしていきたいと思います。ぜひ、気負わず参加してください。

【井上】 Vue.js日本ユーザーグループでは、スタッフの定例ミーティングが月一くらいであって、カンファレンスの準備も進めているのですが、新しい人は既存のメンバーにはない武器を持って入ってくるんですね。毎回すごいなと思っています。テンションが上がるしチームも盛り上がるので、そういう人にどんどん入ってきてほしいです。

【川口】 自分は積極的にアイデア出してみたいな立場があまり好きじゃないので、基本的に運営周りはアイデアがあればやってもいいというスタイルにしています。今回の「Vue Fes Japan 2018」のWebサイトも、井上さんに作っていただいて積極的にアイデア出しもしていただいています。自分で「こうしたい」「こうやりたい」というアイデアのある方に来ていただけるととても助かります。

――本日は、お忙しい中貴重なお時間をありがとうございました!

<了>

ライター:澤山大輔


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