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「障害福祉業界のプラットフォームに」亀田哲矢・市橋佑弥(株式会社LITALICO)

「障害のない社会をつくる」をビジョンに掲げ、リアル(店舗)とプラットフォームとテクノロジー(アプリ・ガジェット)のアプローチで多面的にサービス提供をしているLITALICO(リタリコ)。2005年、店舗事業からスタートしたLITALICOは、障害福祉の世界では類を見ない「店舗事業とインターネット事業の両輪」企業として成長を続けています。

今回はそんなLITALICOさんにForkwell Press 人気企画のエンジニアリレーインタビューを行います。第1回目は、プロダクトエンジニアリング部 部長としてプロダクト開発を牽引する亀田哲矢さまと、情報システム部部長として社内のIT戦略や開発・運用を推進する市橋佑弥さまにお話をお伺いしました。前編ではLITALICO社の現在と、お二人の入社の経緯についてお話いただきました。

障害福祉の領域で、店舗と技術導入の掛け合わせができる企業は少ない

――改めて、LITALICOさんがどういった事業をしている会社なのか伺えますでしょうか。

亀田哲矢(以下、亀田) 弊社の事業は、大きく分けて店舗事業とプラットフォーム事業になります。店舗事業では実際に当事者の方やお子さんたちの直接支援を、プラットフォーム事業では主にWebサービスを通じて、当事者の方だけでなく従事者の方に向けた間接的な支援を行なっています。

弊社はもともと2005年に店舗事業からスタートしまして、現在では柱になる事業が主に3つあります。1つは働くことに障害がある方の就労支援サービス「LITALICOワークス」で、精神疾患など障害の当事者への就職支援を行なっています。プログラムを通じて、安定して働けるようになるまでのサポートを通じ、一人ひとりの特性を“強み”として活かせる職場とのフィッティングを行ない、多様な方の活躍の場を広げていくことをミッションとしています。

2つ目は、「LITALICOジュニア」。発達が気になるお子様向け事業です。発達障害を持つ方は、子どもの頃から目に見えない困りごとや生きづらさを感じており、自己肯定感が低下したまま成長することで、うつ病など二次障害としての精神障害になるのではないか、という仮説を立て、それを解決するには子どもの頃からサポートすることが重要だと考え、こうしたサービスを展開しています。

発達障害に関しては、親御さんも同年代のお子さんもその存在そのものをご存じないケースも多く、単純に表出している課題を捉え「落ち着かない」「言葉表現が苦手」と見られがちです。お子さま自身も、周囲からそう評価され、学校生活をうまく送れなくなり自己肯定感が下がってしまいます。「なんでうまくできないの」と言われ続ければ、自分に非があると感じてしまい、自信を保っていくことは難しいですよね。

2014年頃までリアル(店舗)事業を主に展開しておりまして、店舗数としては170~180店舗まで伸びました。ただ、これだけの店舗数でもアプローチできる方は数万人ですが、数としては全く十分ではなく、待機のお子さんも多く、届けたい方は数十万、数百万といます。店舗事業、さらには弊社の力だけでは「障害のない社会をつくる」という弊社の目指す世界には到達するのにとても時間がかかると考え、物理的制約・時間的制約を越えることができるプラットフォーム事業への展開を始めました。

例えば「LITALICO仕事ナビ」。働くことに障害のある方と就労支援事業所をマッチングする情報サイトになります。就労支援施設は全国に数千箇所ほどあるものの、通おうにもどこに何があるかわからない、情報がまとまっていないという課題がありました。そこを整理することで、就職への前段階を踏み出しやすくする狙いがあります。こちらは食事や美容の検索サイトなどと同じで、事業所にお客さんが1人来たらいくら、というビジネスモデルです。

他には「LITALICO発達ナビ」というものもあります。発達障害またはLDなど学習障害がある子の親御さん向けポータルサイトで、やはり事業所と出会うためのコストをなるべく下げ、良い事業所と巡り会えるように行なっているサービスです。

――業界内で御社のようなサービスを行なっている会社は、他にはどの程度あるのでしょうか?

亀田 店舗とインターネット事業をともに行なう会社さんはなかなかいらっしゃらないですね。店舗型の事業会社は2万社ぐらいありますが、ほとんどは小さな規模の会社さんです。

市橋佑弥(以下、市橋) 海外に目を向けても、先日、とあるオランダのテクノロジー活用に取り組まれている会社が視察に訪れてくれましたが、お互い、国内だけでは参考にできる相手が少ないのかもしれないですね。

――なるほど、インターネット事業と店舗事業を両立させるという部分では、現時点では世界的にも少ない業態なのですね。

市橋 少ないと思います。もともと福祉系は対人で行なっている部分もあり、IT化が比較的遅れています。医療や介護はまだ進んでいますが、障害福祉はまだまだですね。介護事業者向けでも、ITサービス提供者と店舗経営者は分かれています。僕らのような業態は、世界的にも珍しいと思います。

亀田 社会保障費の割合が医療や介護に比べると少ないのに加えて、サービスを受ける人と対価を払う人が子どもと親、といった感じで違うこともあり、非常にマネタイズが難しい領域です。

「入社当時、エンジニアは私1人でした」(亀田)

――そんな中で、お二方がLITALICOさんに入社を決められた動機はどのあたりにありましたか?

亀田 私は2012年に新卒入社したのですが、福祉でこういう業態の会社が他になかったこと、何もないところからビジネスを構築していくほうがキャリアとしては面白くなると思って入社を決めました。

他にも社長の人格に興味を持ち「一緒に働けたらいいな」と思ったこと、優秀な人たちが多かったことが印象に残っています。当時、就職活動ではゲームやアプリなど他のIT企業を見ており、LITALICOは当時まだ「LITALICOワークス」しかない状況でした。

また、私はエンジニアとして入社したわけではないんです。ビズ部門で入って、営業や就労支援をやる予定だったのですが、入社前になって社長から「エンジニアをやってくれ」と言われたんです。

市橋 エンジニアはいないし、採用するのも難しいだろう、「じゃあ育成しよう」という話だったみたいですね。

――社内にエンジニアがいない状況だったんですね!

亀田 そうですね。情シスの方はいたのですが、ソフトウェアエンジニアリングという意味ではいませんでした。

――そうすると、独学で学んだとか?

亀田 友人に有名な会社のエンジニアがいたので、彼にカリキュラムを組んでもらいました。たまたま立ち上げ時に知り合うことができた人物で、いまは誰もが知る会社にエンジニアとして勤めています。そのカリキュラムが、すごく良かったんだと思います。

――それは、会社としてお金を払わなきゃいけないレベルですね(笑)。

亀田 そうですね(笑)。現在ではとても考えられない、非常に高いレベルの方から丁寧に教えてもらうことができました。本当にありがたい話で。

「社会の根本的な課題に向き合いたい」(市橋)

――一方、市橋さまは入社2年目ということですね。

市橋 そうですね、2017年2月入社なので3年目に入ったところです。僕の場合、LITALICOの前に何社も働いてきたのですが、根本には「社会的な問題解決ができる仕事をしたい」という思いがありました。

これまではインフラ系のIT企業に長く勤めており、ISPをやったりIP電話を作ったり、IaaSやクラウドストレージなどの開発を行ないました。インターネットやWEBの技術を広げることで、社会貢献をしたいと思っていました。

ただ、スマホは今でこそ誰もが持つようになり、今後とも様々な発展が見込めると思いますが、それは僕がやる必要はかならずしもないかなと思いまして。それよりは「技術を使って何をするか」、という方向に舵を切ろうと思いました。

もちろん、どんなことをやっていても何らかの社会貢献はできると思います。しかし、より根本的な課題に向き合い、かつ自分のITのキャリアを活かせる場というとなかなかなくて。障害や医療、貧困といった部分に取り組める仕事を探す中で、LITALICOにたどり着いたという経緯です。

――入社前後で、印象が変わった部分はありましたか?

市橋 期待を上回った部分でいうと、会社のビジョンに共感し、そこに向かっている人たちの多さですね。今までの会社で一番だと思います。ベクトルの大小はありますけど、「これほど(熱い思いで)向かっているのか」と驚きました。

「あれ?」と思ったことはそれほどないですね。僕は今までIT企業で働いてきたので、同じ「技術職」でもITではない事業が中心で、店舗型の比重が大きい事業会社で働くのは新鮮な経験です。今は社内向けIT環境の整備もやっていますので、「いろいろな物事の見方があるんだな」と日々勉強になっています。

――ありがとうございます。今後、御社が成し遂げていきたい究極の目標はどのあたりにありますか?

市橋 長期的にいえば弊社のビジョン「障害のない社会をつくる」がそのままですが、中期的な目標で言うと僕らが間接支援する事業をより拡大させていきたいですね。

インターネット事業も元々toCが多かったのですが、最近ではtoBでも考えています。先ほども申し上げた通り、全国には多くの障害福祉の事業所があるのですが、どの事業所も予算が厳しくシステムにお金を遣えない現状があります。結果、とても非効率な運営にならざるを得なかったり、サービスの品質が担保できなかったり。

そこで、弊社が業界のプラットフォームになるような事業を整備し、展開していくことが中期的なプランとしてあります。そのうえで、業界全体で品質を向上したり、活性化できればと思っています。

――なるほど。イメージですが、それこそパソコンを導入してもうまく活用できていなかったり、そもそも情報伝達が紙ベースだったりという現場は多そうです。

市橋 多いですね。事業所によっては、自分たちのwebページを持つこと自体が大変だったりします。金銭面だけでなく、(webを活用する)意識の面でも課題を抱えているところは多いので。そうした現場に対し、力になりたいと思います。

<後編へ続く>

ライター:澤山大輔


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