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「ユーザーは作り手の想像を超えていく。それが嬉しい」松本英高(株式会社ヤマップ)~Forkwellエンジニア成分研究所

ヤマップを使ってもらい、安全登山に貢献したい

――ヤマップさんには先日もお話を伺っておりますが、簡単にどういう会社かご説明いただいても宜しいでしょうか。

松本 オフラインでも使える登山向けの地図アプリと登山コミュニティを運用している会社です。全体の95パーセントくらいが日本のユーザーであり、日本全国の山の地図を網羅しています。

日本の登山コミュニティとしては最大規模になります。多い日だと、一日に数万くらい活動日記が上がってきていますね。

――一日に数万! すごいですね。登山人口を正確には存じませんが、かなりの人が利用されているんですね。

松本 そうですね。でも、日本の登山人口からするとまだまだだと思ってます。ヤマップを使う事によってより安全に登山ができ、遭難の危険を減らす事ができると思います。安全登山に貢献したいですし、もっと多くの人に登山やアウトドアを楽しんでもらいたいと思ってます。

――その中で、松本さんはどういったお仕事をされているんで

松本 バックエンド・エンジニアで、主に Ruby on Rails とElixir/Phoenix で開発をしています。

――fukuoka.exの森さんが激推しのElixirですね。

松本 はい。森さんには大変お世話になっております。当時、mixiの友人から「Elixirを使っている」という話を聞いて、どういう言語なんだろうと調べてたんです。使ってみると安定性やスケーラビリティが高く、パフォーマンスも凄く良さそうと言う感覚があって。それで特殊な用途の API で使い始めてみたのがはじまりです。その後、森さんが fukuoka.ex を立ち上げて、私が LT で参加したのが出会いでした。

文法はRudyに似ているので、慣れが必要なのは関数型言語の特徴と Erlang プロセス辺りだと思います。オブジェクト指向の考え方が染み付いていると大変みたいですけど、私はもともとC言語とかで職業プログラマを始めたので、手続き的に処理を書いていくのには慣れていたので大丈夫でした。「プログラムはデータを変換していくものだ」という関数型のコンセプトも、しっくりきました。

――なるほど、ありがとうございます。2016年3月に入社されてからずっとバックエンドのエンジニアをされているんですか?

松本 そうですね。もうすぐ3年になります。前職はgumiという会社でスマートフォン向けゲームを開発していました。ゲームを作るのは凄くクリエイティブな行為だと思うので、好きなんですね。「世界を作る」みたいな感覚があります。

リリースしてユーザーが遊んでくれたりすると、その反響が手に取るようにわかりますよね。すごくやりがいがあったんですけど、一方で自分自身がゲームをあまり好きじゃないことにも気づいていました。

物を作る時、やはり「本当に心から良いと思えるもの」じゃないとどこかで甘くなってしまうというのも感じていて。そんなときに、Wantedlyでヤマップが登山向けのサービスをやっているというのを見かけたんです。

社長の春山に会って、現代社会の課題、人が野山で遊ばないことや体を動かすことが少なくなってきている話であったり、会社のビジョンを聞かせてもらって。春山も旅好きで、スペインのサンティアゴ巡礼路を歩いた話などを聞き、私も登山や旅が好きなので話が合いました。会社のビジョンにも共感できたので転職を決めました。

松本さん写真01

ユーザーは、作り手の思惑を簡単に超えていく

――東工大の大学院を卒業されて、2008年からケンウッドに勤められたと伺っています。大学院では、どういった勉強をされていたんですか?

松本 宇宙線物理学をやっていました。超新星爆発とか、宇宙のどこかでエネルギーの高い現象が起きた時、そのエネルギーでいろいろな粒子が吹きとばされるんですね。陽子やニュートリノなどが飛んで来ます。ノーベル賞で有名なスーパーカミオカンデはニュートリノの観測場です。

私が所属した研究室では、陽子を観測することをやっていました。具体的には標高5,000メートルくらいの土地に観測機を並べて。陽子は地球の大気に入ってくると大気中の粒子と相互作用して違う粒子にどんどん分かれていき、地表に降り注いでくるんですね。この空気シャワーを地表に並べた観測機で観測し、大きさや時間差などから「これくらいのエネルギーの一次宇宙線がこの方向から飛んできたな」と逆算できるんです。

その逆算した結果、もともとはどういった現象で宇宙から飛んできたのか、というのを調べる研究です。

――小柴昌俊先生の本に出てくる話ですね、そのような事をやられていたんですね。

松本 そうですね、同じ分野です。

――学問の道に進むか一般企業に進むか、迷いはなかったですか?

松本 今にして思えばすごく面白い事をやっていたんだなと思うのですが、(学問は)一生かけて追っても、成果を出せずに終わる事もあるんですよね。それに負けちゃった、というのはあると思います。一生やっても凄い発見や良い論文を出せずに終わるという事もあるので。その成果が見えづらいという所に挫けたんだと思います。

逆に社会でサービスを作ったり、ゲームを出せばユーザーさんが遊んでくれて結果がすぐに分かるので。その楽しさに惹かれた部分もありますね。

――なるほど。卒業された後はケンウッドさん、ジークスさん、gumiさんと3つ経験されてらっしゃいますけど、どういった事をやられていたんですか?

松本 ケンウッドは新卒で入って、回路設計に入ったんです。トランジスタがどうとか、はんだ付けや、CADで基盤の図面を書くとか。といっても1年半しかいなかったんで、手に職を付ける前に辞めてしまいました。

ジークスは面白い会社で、基本的には受託開発のソフトウェア会社なんですけど、ガジェットを輸入して日本での販売店代理店をやっていたりもしています。今だと台湾の企業と組んで有酸素運動をする人の乳酸値を計って「あなたはこれだけスタミナが減ってますよ」とかが分かるスタミナセンサーを扱っています。

あとは普通にシステム開発や、スマートフォンのアプリを作るという受託開発をやったりとか。その中で僕は最初はPC向けのMMORPG(オンラインゲーム)の開発をしていました。結構ユーザーさんに愛されているタイトルで、開発も楽しかったです。

そのゲームの中で十何人で合奏する「楽器演奏機能」を作りました。ビートマニアみたいにタイミングよくボタンを押さないと演奏が出来ないというような要素も入れて。

僕がもともと楽器が好きで、学生の頃にDAWで作曲して、midiやmp3をホームページやサウンドクラウドで公開していました。ドラムもやるので、自分の趣味ともマッチしましたし、実際のユーザーがそれで遊んでくれるとすごく嬉しかったです。

実際リリースしたら、ユーザーさんが10分くらいの大作を頑張って作って、それをゲーム内に用意されたステージで合奏して、聴衆も数十人くらい集まって、演奏が終わるとチャットで「パチパチ」とやったり。ゲームの中ですけど、ユーザーの息遣いを感じられる、良い経験をさせてもらいました。

――伺っていると、ジークスさん、gumiさん、ヤマップさんとどちらかというとC寄りなんですね。ユーザーさんから直接反響を貰えると、嬉しいですよね。

松本 そうですね、ユーザーさんは作り手の思惑を簡単に超えていくので、思ってもみなかったような使い方をしてくれると嬉しいですね。

松本さん写真02

現在は、下関から博多まで新幹線通勤しています

――昔の仕事も楽しそうに語られていて、いいですね。今までやった仕事で、一番楽しかったものはありますか?

松本 単純にユーザーの反響が楽しかったのは演奏機能です。仕事面でもチームワークとかメンバーに恵まれたな、というプロジェクトも多くて。ジークスで手掛けたゴルフ場の予約アプリ開発は、iOS、Androidでチームワークよく開発出来て良かったです。

――ありがとうございます。その後gumiさんを退社されて、ヤマップさんへ。福岡に戻られたのはそのタイミングだったんですか?

松本 いえ、結婚を機に東京から福岡に移り、gumiに入社しました。僕は山口県下関市の出身で、そのうち戻りたいと思っていて。東京で妻と出会って、そんな話をしていたら「行っても良いよ」と言ってくれたので。

今は下関に住んでいて、ヤマップまで新幹線通勤です。2人目の子どもが生まれる時に、おじいちゃんおばあちゃんが近くにいる方が良いよねと、妻と相談しまして。下関と博多、遠いようで新幹線なら30分もかからないんですよ。

――業務を行なう上で大事にしているモットーや好きな言葉を教えてください。

松本 物を作るって言うのは究極、自分を出して勝負していくという事だと思っています。本当に自分が良いと思うのか、ユーザーさんのためになるのか、世の中を少しでも良くできるのか、というこだわりを大事にしています。

――ありがとうございます。続いて、ご自身の成長のために日々行っている事を教えてください。

松本 エンジニアなので、新しい技術をキャッチアップするようにはしています。去年はあまり仕事関連の本を読む事が少なかった事が反省ですが、今年はヤマップも人数が増えてきて、自分がエンジニアのまとめ役のような立ち位置になってきました。エンジニアリング組織論やDevOpsの本を読み、どうやったら組織のアウトプットを速くできるか勉強しています。

あとは、ピンとくるものがあったら、恐れずに飛び込んでいくスタンスです。具体的には社内でデータ分析をやらないといけない課題があるんですが、ちょうどサイエンス寄りの仕事もしたいと感じていて、数学の知識も少なからずあるので、自分にやらせてもらえないか、という事で分析チームを立ち上げている段階です。

「自分の心に聞くと良い」

――ここからは、松本さんが働く上で大切にしていることについて、「事業内容」「仲間」「会社愛」「お金」「専門性向上」「働き方自由度」の6つの項目から合計20点になるよう、点数を振り分けていただきます。

・専門性向上 4

エンジニアとして食べていくには、技術力を保ち続けないといけないので。自身の市場価値が下がると終わりだと思うので、大事です。

・仲間 4

フリーランスでなく会社で働くのって、仲間と働いて一人じゃできないようなインパクトを出していくためなので。仲間は大事だと思います。

・お金 3

自分はあまり重視していないです。とはいえ、自分がコミットした事に対しては適正に評価して欲しいと思います。それがお金だけかと言うと違う気もしますけど。

・事業内容 5

物を作るという事は自分を出していく事ですし、心から良いと思える事じゃないと自分は出せないです。事業に共感できるかはすごく大事だと思います。

・働き方自由度 2

リモートワークとか、それほど憧れてはいないので。ただ、ヤマップはかなり自由な会社で子供が熱を出した時にはリモートワークを認めてくれますし、フレックスタイム制度もあって早く帰る事もできます。考えてみると3くらいでも良かったかもしれないですね。

・会社愛 2

難しいですね……社畜にはなりたくはないですけど、会社が愛せなければ終わり、みたいなところがありますから。

――最後になるんですが、キャリアに悩んでいるエンジニアの方々にメッセージをいただけますでしょうか。

松本 「自分の心に正直に、自分の心に聞くと良い」と思っています。ケンウッドを辞めるときに当時の上司にもらった言葉です。当時、自分は結構わがままな退職の相談をしたのですが「本当に君がこの先何をやりたいのかは、君の心が知っているはず」と言っていただきました。

いろいろ人に聞いて知見を広げるのも大事ですが、最後は自分の心が答えてくれると思います。

――以上になります。ありがとうございます。

<了>

ライター:澤山大輔


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