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「福岡に1つ不満があるとすれば、高い山がないこと(笑)」大塩雄馬(株式会社ヤマップ)~Forkwellエンジニア成分研究所

いろいろな選択肢を求め、ニフティへ

――ヤマップさんでは3人目の出演者となりますが、改めてどんな会社か簡単に伺えればと思います。

大塩 ヤマップのサービスには主に2つの軸があって、1つは電波の届かない山でもGPSで現在地がわかる地図アプリ。もう1つはそのアプリを使って山を歩いた記録に写真や文章を加えて”活動日記”として公開し、その日記を通してユーザー同士で交流をするコミュニティプラットフォームといった、2つの軸で成り立っています。

――ありがとうございます。その中で大塩さんは、どういったお仕事をされているんですか?

大塩 ヤマップはAndroidとiOSでそれぞれスマホアプリを出していて、その中でも私はiOSアプリの開発を担当しています。

――これまでのお仕事も、iOSアプリの開発がメインだったりするんですか?

大塩 前職ではiOSのアプリ以外にもウェブサイトの開発もやっていた時期がありました。前職でも自社サービスを育てるプロジェクトに在籍していたので、仕事内容も開発ばかりのプログラマというよりは、企画や営業メンバーと密接にコミュニケーションを交わしながら二人三脚でプロダクトを作ることを大切にしていて、エンジニアが直接クライアントに会いにいくこともありました。

――お仕事始められてからは、今は年数で言うと6年目に入るんですかね?

大塩 そうですね。6年目に入ったところですね。

――沼津工業高等専門学校を卒業されて、最初にニフティさんに入られたと伺っています。ニフティさんを選ばれたのは、どのあたりが理由だったんですか?

大塩 恥ずかしながら、当時の自分は具体的に「こういう仕事をしたい」という軸がありませんでした。私が卒業した学科が、どちらかというとITよりは電子機器、製造系のメーカーに就職するような人が多い学科でして。そういった求人がたくさんある中で、なんとなく在学当時から「自分はそういう方向性じゃないな」という感覚がありました。

あと、メーカーとなるとどうしても勤務地が地方都市になるケースが多いんですけど、地方都市出身の自分としては1回は東京に出て仕事をしてみたいという思いが漠然とあったので、確実に東京で仕事ができる会社で絞って、かつ面白いことができそうな会社というテーマで探し、それでニフティと出会いました。

――ニフティはどのあたりが面白そうだと思われたんですか?

大塩 インターネットに関する色々なサービスを作っているというところがあって、それこそ自分みたいに「こういうサービスが作りたい」っていうものが決まってない人ほど、色んな選択肢があっていいのかなというところで選びました。

――ひょっとしたら、運命のあやで「デイリーポータルZ」さんを担当することもあり得たかもしれないですね。

大塩 そうですね。だいぶ可能性は低かったかもしれないですけど(笑)。まさにデイリーポータルZをやっている会社というのもあって、面白いことをやっているんだろうなっていうイメージがあったんですよ。

――結構大きかったんですね。デイリーポータルZをやっていた会社というのが。

大塩 そうですね。それでイメージが出来上がってましたね。

福岡に来て、通勤ストレスが完全に無くなりました

――実際ニフティではどういうことをやられてたんですか?

大塩 新人研修を経て、その後数ヶ月〜1年ごとにいくつかのサービスプロジェクトを渡り歩きました。パチンコの情報サイトのiOSアプリ版を作ったり、スポーツクラブのプロジェクトでは新規サービスの立ち上げから携わり、クライアント向けの管理画面を作りました。他には不動産プロジェクトで、そこでもまた新規事業の立ち上げの一環でiOSアプリ開発をやってました。

――かなり色んなことをやられたんですね。この中で1番大変だったことってどんなことですか?

大塩 スポーツクラブの管理画面を作るのは大変だったのかなという印象がありますね。いわゆる管理画面って、エンドユーザーとしてサービスを使ってるだけでは触れることがないものじゃないですか。言い換えるとクライアントへの特注品みたいなものなので、完成形のイメージがつかみにくく、どういったものを作れば良いのかということを当時の開発リーダー越しに社内の企画営業メンバーやクライアントとのコミュニケーションを繰り返しながら、手探りでやっていました。

前述のとおり同じプロジェクトには開発メンバーと、クライアントと直接やり取りをする企画営業メンバーがいて、企画営業メンバーとクライアントが直接会話をする中で具体的な要件が固まっていきます。それが開発チームに伝えられて、それから開発すべきシステムの仕様を決めていくのですが、その間にコミュニケーションロスがあったりで仕様が二転三転するなど、なかなかスムーズに事が運ばないことがありました。

――ニフティ時代の経験で、今に活きている経験はどのあたりですか?

大塩 当時生まれて初めて経験したiOSアプリ開発の経験は、基本的に現在の開発業務に活きているかなと思います。ほかには、当時のWeb開発の経験で得た基本的なWebやデータベースの知識も、ヤマップでの新機能の設計や既存機能のグロースハックを考えるときに役に立ったりします。要するに、ひととおり活きていますね(笑)

――伺っていて、ニフティさんでは相当良い経験を積まれたのかなと思います。その後、3年勤められてヤマップさんに転職されました。ここは、どういう理由があったんですか?

大塩 当時は強く転職を希望していたわけではなかったんですが、「もっと面白いことができないか」みたいなのをぼんやりと考えていた時に、たまたまヤマップのiOSエンジニアの求人を見つけました。当時から登山が趣味で山に登っていて、私自身ヤマップのユーザーであったということもあって、その求人にビビッと来て。

すぐに転職とはいかなくても、まずはどういった会社なのかとか、どういった仕事をやることになるのかというところを雰囲気だけでも掴めたらいいなと思って、話だけ聞きにいくというスタンスで東京から福岡に飛んでいったら、その場でバチっと来て、一気に転職を決めることになったんです(笑)。

――バチっと来た部分ってどんなところがあったんですか?

大塩 ニフティって割とIT企業の中では昔からある大きな会社だったので、そういった環境に慣れていたということもあって、ヤマップのような小さなワンフロアのオフィスで、何か喋れば社員全員に聞こえるみたいな環境が印象的でした。

そういう環境で仕事をするということに新しさ、ワクワク感がありました。しかも自分が好きな山登りに仕事で関われる、仕事と趣味がリンクする。俄然期待が高まってしまって。気付けば「ここで働きたい」というマインドになっていましたね。

――東京から福岡に移住することは、ネックにはならなかったんですか?

大塩 そうですね。そこは一瞬考えたんですけど、縁もゆかりもない遠くの地に行くのはどうかって思ったんですけど、次第に「逆にそれが面白いんじゃないか」という気持ちになっていき、むしろアリだなと。

――実際に移住してみてどうですか?

大塩 福岡はまず一言で、すごく住みやすいですね。私は静岡出身なので人混みに慣れておらず、東京の満員電車の通勤が3年続けても苦痛でした。一方で、福岡は東京ほど人が多くありませんし、街全体がコンパクトにまとまっているので、ビジネスの拠点と生活の拠点がとても近く、距離的に自転車とか徒歩で通勤できるところということもあり、通勤ストレスが全くなくなりました。

福岡はコンパクトシティなので、海や山などの自然環境も近いです。都市と自然が絶妙な距離感で、バランスよく整った街なのかなと感じてます。山に登る人間として1つ不満があるとすれば、九州にはあまり高い山がないことですね(笑)。特に、低い山だと夏は暑すぎて行けなかったりするので、夏はどうしても日本アルプスのような涼しい山に行きたくなってしまいます。福岡に移住したことによって、そういった山が遠くなってしまったので、そこだけはネックなのかなと。

――九州で言ったら、それこそ九重連山くらいですかね?

大塩 そうですね。九州で一番空が近い山といえば、九重連山が筆頭にあがると思います。それでも標高は2,000メートル以下なので、やはり日本アルプスのように3,000メートル級の山々が数十キロに渡って連なる大山脈と比べてしまうとどうしてもスケール的には劣ってしまいます。でも九重連山は良い山です。ほかにも阿蘇や霧島など、九州には他の地域にはない独特な雰囲気をもつ山がたくさんあるので、歩きがいはありますよ!

――良いですね。伺って、ヤマップさんは夏だけ長野に移転するとかやった方が良さそうですね(笑)

大塩 山を愛する一社員として妄想したことはあります(笑)。山が近いとアプリのテストもしやすいですし、そういった理由付けをして長野に拠点を増やしたりできるとアツいですけどね。

――長野とか茅野とかあの辺安そうですもんね、オフィス。

大塩  たしかに物件が安いイメージはありますね!

――これは楽しみですね。

大塩  細々と期待して過ごすことにします(笑)。

石川・岐阜県境にある霊峰、白山の縦走路にて

意を決して初めて登山した日、電撃が走りました

――続きまして、業務を行なう上で大事にしているモットーや好きな言葉があれば教えて下さい。

大塩 座右の銘みたいな一言でキメられるものがないのですが、私が日々の仕事をしていく中で大切にしている考え方は「チーム問わず、同じ会社のメンバーみんなに対して尊敬する心、敬う心を忘れない」ということです。ありがちだと思うんですけど、たとえばエンジニアチームと営業チームなど、畑が違うメンバー間で温度差が生じてしまうことがあります。

自分はできるだけ、そういう温度差の熱源にならないようにしようと思っています。自分とは別の畑で仕事をしている人は、自分にはできない仕事をこなしているということを素直に尊敬して、自分の仕事にも誇りをもって日々取り組んでいます。

――ありますよね。ちょっとシマが離れるだけで、考えてることがよくわからなかったりしますね。

大塩 そうですよね。そういった微妙な認識のズレから関係がもつれたりとかって結構ありがちだと思うので。仲間割れしても何も生まれないので、このマインドは大事にしながら働いています。

――ちなみにFacebookの自己紹介欄に、「今は山を追い続ける」ってあるんですけど、これってどういう意味を込めたものなんですか?

大塩 あまり深い意味はないんですけど、ヤマップに入社して少し経ったした時に、「自分が好きなものをそのまま仕事に出来ているってすごく良いな」ってしみじみと思ったんですよね。なので、今自分が好きなものは山だから、山のことをとにかく追求していこうと。そういう想いを込めて掲げたスローガンです。

――僕実はサッカーの仕事を結構長くやってまして。15年くらいサッカーメディアにいるんです。で、15年やるとさすがに飽きるんです(笑)。「なんか山飽きたな」みたいなことってまだないですか?

大塩 まだ直面したことはないですが、そういう気持ちになってしまう日のことを考えたことはあります。「ある日、急に山なんてどうでもよくなっちゃったらどうしよう」みたいな。でもそれは今のところ杞憂というか、山に関しての熱は冷めることはなくやれてますね。

もちろん熱量の波はあって、毎週のようにどこかの山に登りたくなるような時期もあれば、週末は山に登るよりも家で寝ていたい気持ちのほうが強くなる時期もあります。そういう波がありながらも、根底にある”愛山心”みたいなものは揺らいでいないので、自分は山に対してちょうどいい距離感を無意識に保てているんじゃないかなと思っています。

――ちなみに山がすごく楽しいって思われたのっていつ頃からなんですか?

大塩 実はけっこう最近でして、ここ3年半くらいです。東京で仕事をし始めてからのことです。きっかけが全然思い出せないんですけど、気がついたら山に登りたいという気持ちになっていました。登山って装備を整えるのにかなり初期費用が掛かるんですね。山に登りたいと思い始めたのは当時社会人1年目で、社会人になったばかりでお金も無い頃だったので、登山デビューはしばらく寝かせていたんです。

それから1年経って、社会人2年目の時に意を決して登山用の装備をガッと整えて、目を付けていた山に登って。そこで「登山って、こんなに良いんだ」って。その日のことを鮮明に覚えているんですけども、電撃が走ったような感じがあって。それから山にはどっぷり浸かってます。

――どこの山に登られたんですか?

大塩 山好きの人にその話をすると「最初にそこなの!?」ってびっくりされるんですけど、新潟県と群馬県の境にある平標山(たいらっぴょうやま)と仙ノ倉山というところですね。近くにある有名な山だと谷川岳ですかね。その谷川岳から稜線伝いに西にいったところに、仙ノ倉山と平標山があります。

最初どこの山に行こうかなと思って、なんとなくインターネットで調べていた時にブログでこの山が紹介されていました。その記事中の画像で見ただけでしたが、平標山と仙ノ倉山をつなぐゆるやかな稜線に木道が敷かれている様子を見て、本当に空中散歩みたいな雰囲気を味わえそうだと思い、それからずっと気になっていた山でした。実際に初めての登山でそれを体感すると、「こんなに素晴らしいことはない」と電撃が走りました。

――コアなところを攻めてるんですね。

大塩 そのつもりなく最初は行きました(笑)

――何の趣味でも、誰でも知ってるようなところじゃない、あまりメジャーじゃない場所を攻めた思い出ってすごく残りますよね。

大塩 そうですね。登山歴はまだ3年半なんですけど、10年とか5年とかの節目のタイミングで自分の登山人生のはじまりの地である平標山にもう1回、みたいなことをしたら込み上げてくるものがあるのかなって思っています。

――お仕事がひと段落されたらまた行かれる予定とかあったりするんですか?

大塩 その山に行くことに限らず、落ち着いて自分自身と向き合う旅をしたいという思いがあります。どうしても、会社員として週5日働いて、週末に区切られた生活に縛られている以上、何週間も山や知らない土地を巡るような旅はできないんですけど、いつか絶対にそういった機会を作って旅に出たいと思ってます。

――実現できたら良いですね。

遠い将来を考え過ぎると、行動できなくなる

――ここからは、大塩さんが働く上で大切にしていることについて、「事業内容」「仲間」「会社愛」「お金」「専門性向上」「働き方自由度」の6つの項目から合計20点になるよう、点数を振り分けていただきます。

・専門性向上 1

ここが1っていうのはエンジニアとしてどうかと思うんですけれど(笑)。私の価値観においては、最後に回ってくるところなのかなと思っていまして。一番大切にしたいことは、「自分が今やりたいことがやれているか、自分が作りたいものを作れる環境にいるか」っていうことだと思うので。技術ってそのための手段に過ぎないと私は思っているんですよね。

・仲間 5

自分が好きなものを作れてこそ、っていうところと同じで、「自分が好きなものを、好きな人と作る」っていう、そこがセットかなと。メンバーそれぞれのモチベーションは違っても、気持ちよく日々の仕事を取り組める仲間がいるって大事です。

・お金 3

好きなことをやれているとしても仕事は仕事なので、相応の対価が支払われる環境であるかどうかは最低限大事かなと思います。

・事業内容 5

エンジニアとして、自分は何を作るか。自分が作るものに熱が入ってこその、やりがいだと思います。事業内容に共感できてこその仕事だと思うので、ここは大事かなと思います。

・働き方自由度 3

あまり縛られた環境でなければ、特に強いこだわりはありません。ヤマップは特にフラットな社風で、上下関係を強く意識することなく気軽にコミュニケーションできるので、そういう意味での自由さは大事だと思ってます。

・会社愛 3

会社愛だけが先行するというよりかは、事業内容に共感してはじめて会社愛も必然と高まってくるのかなと。代表的なエピソードを紹介すると、自分自身がヤマップのユーザーとしてアプリを使って山に実際に登っている時に、偶然そこで出会った人がヤマップを使ってくれていて、「ヤマップの人なんですか」と喜んでくださったりとか、リアルの場でユーザーさんの生の声を聞けることがあります。そういったシーンに巡り会えることが嬉しくて、同時に自分がヤマップで働いていることが誇れたり、ヤマップにいて良かったなと思いますね。

――最後に、キャリアに迷うエンジニアの方に向けてメッセージをお願いします。

大塩 正解は無いと思うんですけど、あまり遠い将来を考え過ぎると、どんどん行動できなくなってしまうと思います。シンプルに考えて、「今やりたいことをやる」でいいかなと思います。やりたいことが今の職場環境でやれているのであれば、その機会を引き続き大事にしたらいいと思いますし、やれてないなと少しでも感じるのであれば、それができるところに向かって行動するのみだと思います。

ちょっと偉そうな感じになっちゃいましたけど(笑)私自身がそういう考え方で今日まで行動してきて現状に満足しているので、今やりたいことをやって納得できていれば、その積み重ねで結果的に良いキャリアができてるんじゃないかなと信じてやっています。

――ありがとうございます。

<了>

ライター:澤山大輔


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