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「優秀なエンジニアは、技術に理解がない人にマネジメントされたくない」大谷祐司(株式会社サーキュレーション取締役CTO)~Forkwellエンジニア成分研究所

「世界中の経験と知見を循環させる」会社です

――この連載で初めての登場となります、サーキュレーションさんがどういった会社かをご紹介いただけますでしょうか。

大谷 サーキュレーションは「世界中の経験と知見を循環させる」というビジョンを掲げて、プロフェッショナル人材のシェアリングサービスを行なっている会社です。1人が1社で働くという従来の日本の考え方とは違い、副業やフリーランスなど、能力を持った人材がたくさんの会社で同時に活躍をする機会を提供しています。その方の経験と知見を企業が活用することで、企業の発展や組織課題の解決に貢献するという「実働型のコンサルティングサービス」を行っています。

――その中で大谷さまは、どういったお仕事をされているのでしょうか?

大谷 ポジションとしては取締役CTOになるんですけれども、社内のIT全般を見ているのと、あとは新規事業をいくつか推進しています。うちの社員のほとんどはコンサルタントで、優秀なメンバーが徹底的に経営者と向き合って企業の課題を解決する。人が本気になるからこそ提供できる価値を大切にして成長してきて、設立から5年で約120名規模の会社になっています。

今後私達のサービスをより多くの人に使ってもらう、将来的にグローバルに展開をするといったことも見据えて、テクノロジーを活用して私たちのビジネスを加速させていくというところにも取り組んでいます。

――具体的にはどういう部分でテクノロジーを活用されていらっしゃるんでしょうか?

大谷 事業を立ち上げている最中なのでまだ言えない部分もあるんですけれども、私たちは「どんな人間が、どういうスキルを持った人間が、どういう組織に入ったら、どういう風に組織が変わったのか」っていうデータを持っているんですね。そのデータを活用することによって、企業の持っている課題と、それを解決できるスキルを持った人材のマッチングをおこなったり。

データを分析することによって「こういうフェーズの企業はこういう問題が起こるリスクが高い」とか、そういったところでデータを価値にしていって、その価値を使った新しい事業やより広がりのあるサービス展開をしようとしていますね。

――大谷さんはもともと東京で働いておられ、それから福岡に転居し1社を経てサーキュレーションさんに在籍されています。福岡に移られたきっかけは、どのあたりにあったんでしょうか?

大谷 前職はスカイディスクという会社にいまして、そこに入社するために福岡に転居をしました。動機としてはAI、IoTといった新しい技術に触れ、市場を作っていくっていうところをやってみたいなと思ったからです。

――実際に移住されてどうですか?

大谷 福岡、むちゃくちゃ良いところですね。私が住んでいるところは海も山も近いですし、買い物をするのも困りません。子どもが遊べる広場や施設もたくさんあって、環境はすごく良いですね。

かといって田舎の環境だけじゃなくて、BacklogやCacooで有名なヌーラボさんとか、インドネシアで決済サービスをやっているアネクトさんだったり、テクノロジーを使った事業展開をしている企業も多くて。新しい技術に触れ、新しいビジネスに触れて刺激をもらえる。すごく良い環境で働いているな、と思いますね。

――良いですね。福岡の方にも多くお話を伺っているんですけれども、みなさん「福岡最高」っておっしゃってますね。

大谷 (笑)うちの会社は本社が東京なので、今だいたい6:4くらいの割合で東京に行ってるんですけれども、福岡は住む場所としてすごく良いなと思っています。

SIer時代、ソフトを自作したらサイバーエージェントから連絡が来た

――改めて、これまでのご経歴を伺えますでしょうか。

大谷 大学を出て4年くらいはSIerで受託開発をやっていて、その後はリクルートエージェントで事業企画・事業立ち上げをやりました。その後、サイバーエージェントでネット広告部門のシステムチームの立ち上げを行ない、1社ベンチャーを挟んでインテリジェンスに入社をしています。

インテリジェンスでは4,000人くらい社員がいてエンジニアが0人だったのですが、そこに入ってエンジニア組織を作りました。いくつかの新規事業を立ち上げたりしているうちに、内製で開発できるエンジニアが60人くらいいる会社になりました。本当にいい経験をさせてもらったと思っています。その後福岡に移住をして、1社ベンチャーを挟んで今という感じですね。

――錚々たるご経歴ですね……しかもその中でエンジニア組織を作る中心的な役割を担われているとは。これまでのご経歴で、最もエキサイティングな経験はどれでしたか?

大谷 1番良い経験だったのは、「ミイダス」という転職サイトをインテリジェンスの時に立ち上げたことですね。その時は新規事業コンテストに案を出して、大きな予算をもらって。その予算を使ってエンジニアチーム組成、事業企画、マーケティングいろんなことをやらせてもらいました。立ち上げ当初から順調にユーザーを伸ばし、今ではCMもやるぐらいのサービスになったそうです。ゼロからイチを作れたのはエキサイティングでしたね。

――逆に最もヘビーだった経験ってどのあたりでしたか?

大谷 サイバーエージェントの後にネットベンチャーに入ったんですけれども。そこではソーシャルゲームをやっていて、4つのサービスを見ていたんですね。4サービスとも流行ったゲームで、トラフィックも大きかったですしヘビーでしたね。あるゲームは、自分がほぼメインプログラマーとして作りましたし。

――それを4タイトルも見ていたんですね。

大谷 やってましたね、当時は。1日中というか、休みの日も働いてましたよ。家に帰りはするんですけどね、20時とかに。で、そこから深夜2時ぐらいまで家で働く(笑)。

――「これが人生の転機になった」って経験はありますか?

大谷 社会人になってSIerをやっていた頃に、自分でシステムを作ってネットで公開していたんですよ。そうしたら、サイバーエージェントの人から連絡が来て、「これをうちで使いたい」みたいな話をいただきました。そして実際に、すごく活用してもらえたんです。それまでは言われたシステムを作るだけの仕事をしていましたが「自分の作ったものがこれだけ価値を与えられるんだ」みたいなところが実感できました。
 
社会人3年目でしたけど、自分で見積もりを作って、開発して納品して、請求書を出して。その一連を経験できたのが大きかったですね。「エンジニアって、言われたものを作るだけじゃなく、自分で考えて価値を生んでいけるんだ」っていう意識が芽生えました。

――当時は2006年ぐらいですよね、Twitterはまだなかった時代なので、何経由で連絡が来たんですか?

大谷 mixiです。当時はメッセージをもらったら積極的に会うようにしていたので、たくさんの人とmixiで繋がりました。コミュニティで気になる人がいたら、足跡を積極的につけるようにしていました(笑)。

――「こういうソフト作ったぞ」みたいな。

大谷 なんていうんですかね、マーケティング検証じゃないですけど、「足あと付けると何割くらい見に来てくれるのか」みたいなこともやっていたんです。

――すごいですね(笑)。2003年に國學院大学卒業とのことですが、大学でもシステムやソフト開発をやられていたんですか?

大谷 いや、大学はずっとバンド活動をやっていて。大学はどこでもよかったんですよ。従兄弟が國學院っていうだけで、國學院しか受けなかったんです。

――(笑)では、ソフトウェアの開発等々は社会人になってからやられたんですか?

大谷 社会人になってからです。SIerに入ったので、そこで学びましたね。

――大学までタッチしていないと、なかなか社会人になって最初から始めるのって大変かなと思うんですけど。才能があったんですね。

大谷 向いてたんでしょうね。

「技術オタクになりたくない」と思っています

――業務を行なう上で大事にしているモットーや好きな言葉があれば教えてください。

大谷 いくつかあるんですけれども、ひとつは組織成果とエンジニアの自己実現。成果が出て、かつやりたいことができるミッションを定義すること。これはマネジメントの視点ですね。

ものづくりをする者の立場としては、それが本当にベストなやり方なのか、本当に開発が必要なのかを、できる限り上の視点から判断することを意識しています。ニーズが発生する原点、競合なども含めた市場環境もできる限り上の方まで拾って、「本当にやるべきなのか、どうやるのがいいのか」を事業責任者と同じ目線でディスカッションできるところまで理解しようとします。

例えば「今のトレンドがこうなんですよ」という話を聞いたら、実際にそのサービスを使ってみて「なぜそれがいいのか、実化したいことに対して本当にそれが最適なのか」ということをきちんと考えるようにしています。

――こういう言語が流行っているとか、こういうサービスがイケてるという風潮に迎合することなく。

大谷 そうですね。「ニーズが高い」って言われると、「何をもってニーズが高いと判断しているんですか」みたいな情報をきちんと理解しにいく。

3つ目は、僕自身が技術者として手を動かし続けることです。エンジニアって、技術に理解がない人に指示をされたくないはずなんです。かといって、実現したいビジネス上の要件を知らない人にも指示をされたくない。「ビジネスにおいてXXのインパクトを出せるから、最適な方法(技術)で実現して欲しい」というマネジメントをするよう心掛けています。

――すごくわかります。若い頃から現在まで大事にしてきた価値観はありますか?

大谷 「技術オタクになりたくない」とすごく思っているんですよ。価値がある仕事をしたい。「〜を使いたい」というエンジニアって多いと思うんです。「他の言語を使いたい」「この技術を使いたい」とか。ただ、今それを使うべきかちゃんと考えた上で、価値を発揮をする一番良い方法でものづくりをするべきだろうと思っています。

よく急成長しているベンチャーからも聞くんですけど、CTOとかがブワーッと作って雑に書いたコードが、後から入ってきたエンジニアに批判されるみたいなこともあるらしくて。けれどサービスのフェーズによって、開発で重視するポイントは変わってきます。サービスの拡大フェーズで正解であることが、立ち上げフェーズだと正解じゃないことはあると思うんですね。

事業のフェーズに応じて、優先度をどこに置くべきか、何が実現できることが正解なのかを考えて、開発を行うことができる。あくまでも事業視点で判断をしていけるような組織づくり、仕事の進め方をしたいなと思っています。

――ご自身の成長の為に日々行なっていることがあれば教えてください。

大谷 人とよく会うようにしています。海外にも機会を作って行くようにしていますね。先週はベトナムに行ってましたし、去年はシンガポール、韓国、台湾にも行きました。グローバルの視点で物事を見れる人でありたいと思ってますし、インターネットというグローバルに価値提供できる仕組みがあるのに、日本だけを向いてのサービスを考えたくないというのは昔からありますね。

――ユーザーを日本に限定するとかではなくて、最初から世界に打って出ると言いますか。

大谷 そうですね。あとは違いを知っていること。例えば、年月日の並び順も違う国もありますし、郵便番号が無い国もありますし、タイムゾーンが複数の国もあります。言語とかも中国でも何種類かあったりします。そういう海外でサービスをやるということはどういうことか、どこの国でやろうと思ったら何をしないといけないか、みたいなところはちゃんと理解しなきゃと思っています。

――特に日本の市場はこれから小さくなると思うので、最初から海外を狙いに行くといいますか、そういうことってすごく大事ですね。

大谷 視野を広げなきゃというのは、すごく思ってますね。

――技術者だけじゃなく、いろんな職業において否応無く重要になるところですね。

大谷 なると思いますね。自動車とかインフラとかっていう超巨大産業であれば、専用チームを作って海外展開ができると思うんですけど。ベンチャーの場合、本当にみんながそこに意識を持たないと「そもそもやらない」っていう判断になると思うので。

目の前にある仕事が全て、と思わないでいい

――ここからは、大谷さんが働く上で大切にしていることについて、「事業内容」「仲間」「会社愛」「お金」「専門性向上」「働き方自由度」の6つの項目から合計20点になるよう、点数を振り分けていただきます。

・専門性向上 3

あらゆるスキル、あらゆる知見を伸ばさなきゃと思っていて。昔は、専門性向上が10とかだったんですけども、今はこのくらいかなと思っています。現在の取締役CTOというのは、専門性だけではいけないポジションだと思っています。

・仲間 5

仲間とやることはすごく重要ですね。

――これまでの転職も、最終的にはどういう人と仕事ができるかで決めていたんですか?

それはありますね。例えばCTOコミュニティで尊敬するCTOたちがたくさんいたり、社外の人たちも含めた仲間がいることがすごく幸せだと思ってます。特にHR系のCTOとは仲が良いですね、CTO全体もそうですし、HRという文脈のCTOも仲良かったりしますね。

・お金 1

お金は後で付いてくるものだと思っているので、そこを重要視してミッションを選んだりはしないですね。

・事業内容 5

価値ある仕事をしたいなっていうところですね。世の中にインパクトを与えられる、具体的に言うと子どもの世代に残せるような仕事だったり事業だったり、かなと思っています。今儲かるではなくて、世の中を良い方向に導ける事業はなんだろうと思っていますね。

・働き方自由度 2

そんなに意識したことがない、というのが正直なところですね。今は取締役という立場なので、そもそもすごく自由なんです。取り決めも特にないですし、いつ出社してもいいですし、働く場所とかも問われないので。

――すでに満たされているからこそ低いと。

そうですね。でも逆に言うと、9時~18時で絶対に特定の場所で発生するタスクが、事業において重要であればそれをやると思いますし、そこを重視して何かを判断するっていうことはないですね。

・会社愛 4

「仲間」とあまり変わらないかもしれないですね。好きな人たちと楽しく働きたい、みたいな。

――キャリアに迷っているエンジニアの方に向けて、メッセージをいただけますでしょうか。

大谷 迷っているときはいろんな人に会って話をしてみると、道が拓けてくると思うので。オンライン、オフラインを含めて積極的にコミュニケーションを取ると、いろいろなことが見えてくるんじゃないかなという気がしてます。

エンジニアって日本だけじゃなく世界中どこでも働けるし、必要とされているので。自信を持っていいと思いますし、目の前にある仕事だけが全てだと思わないでいいんじゃないかなと思いますね。

――おっしゃる通りですね。悩んでるって、時間の無駄な部分も多くて。オンオフ問わず色んな人に話聞いてもらって、壁打ちしてもらったりアドバイスしてもらったりで見えてくるものだなって思いますね。

大谷 そんな気がします。

――インタビューは以上になります。ありがとうございます。

<了>

ライター:澤山大輔


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