エンジニアの生き様をウォッチするメディア

「どこに行くかより、何をするか」金崎智則(株式会社インサイトコアCTO)~Forkwellエンジニア成分研究所

集客促進アプリプラットフォームを開発しています

――まずは、貴社インサイトコアさんの会社説明からお願いできますでしょうか。

金崎 弊社は、店舗企業様の来店集客を促進するアプリを開発するためのプラットフォーム「インサイトコア」事業をメインに行なっています。店舗への集客を促進するアプリを弊社プラットフォームで早く・安く開発でき、さまざまなクライアント様に提供しています。基本的にはSaaSですが、カスタマイズしやすく他システムと繋ぎやすいこと、フロント側のカスタマイズも対応していることが特徴なのでプラットフォームという位置づけでやっています。

――「インサイトコア」というサービスは、いつからあるのですか?

金崎 開発を始めたのが2年前で、ローンチが去年になります。申し込みレベルで言うと10数社様になりました。居酒屋チェーンの「金の蔵」様でサブスク機能をリリースしたら多くの飲食店様に刺さり、営業の訪問一発目で内示をいただいているケースもあります。

「金の蔵」様のアプリ内で「お得会員」という月額4,000円の定期券を買うと毎日飲み放題になるというものです。通常の飲み放題は1,800円なので、月3回行くとペイできるんですね。他にも月額290円でファーストドリンク無料サービスがあり、弊社インサイトコアで実装しています。

「金の蔵」様のケースは、「ご飯のメニュー作ってくれたら毎日行きます」ってツイートしてくれる人もいるくらいです。飲食店さんのサブスク需要は、かなり高いですね。

一方で、制作サイドから言うとアプリはマネタイズが難しくて。企業側も「PRのため」「クーポンのため」とかで出しても、どれくらい儲かるのか分かりにくい。単刀直入にアプリのサブスクを買ってくれたらそのままインカムになるので、企業さんも取り入れやすいんですね。

――その中で、金崎さんはどういうお仕事をされているんでしょうか。

金崎 2019年2月からCTOに就任しているんですが、今でもコードを書きますし、マネジメントもやっています。基本的には私がいなくても現場の優秀なメンバーが開発は問題なく進めてくれますが、時々仕様や要件で「こうした方が良いんじゃないか」というアドバイスをしたり営業職との通訳をしたりしています。

――それにしても、2008年入社ということで社歴が11年。かなり長いですね。入社までは、どういったお仕事をされておられたのですか?

金崎 昔で言う「ソフトハウス」と言われる、受託開発をやっている開発会社に2社いました。計6年くらいですね。そこである程度理解したので、そこからフリーのエンジニアを14年くらいやりました。

その後、心境の変化もあって会社員になろうと思いました。最初は大きな会社も視野に入っていたんですけど、面接をこなすうちに面倒になって。何回も面接があって、SPI受験を求められたりがだんだん億劫になり、ベンチャーを探し始めました。その時に、元気が良かったのがインサイトコア(当時の社名は「エンターモーション」)だったんですね。

――「心境の変化」というのは、どういったものだったんですか?

金崎 まずは「チームで仕事をするのも良いな」と思ったことですね。それと、僕がフリーでやっている頃ってwebが勃興してきている頃だったんです。インターネットが2000年くらいから一般的にも普及してきて、webの仕事がたくさん発生した時期です。

ただ、その頃は持ち帰りで受託の仕事をやっていたんですが、セキュリティ的に持ち帰れる案件が減ってきている気がして。あとは、自分で仕事を見つけてくるのも大変ですから(苦笑)。仕事は見つかりますけど、見積もりや交渉も面倒ですしね。それで、「会社でも良いか」と思った感じです。

13~14年前くらいから少年サッカーのコーチを始めたのも、影響あるかもしれないですね。「チーム仕事が良いな」と思うようになったきっかけが、サッカーコーチを勉強するためにチームビルディングを学んだことなんですね。「あ、これは仕事にも活かせるんじゃないか」と思って。

組織をシュリンクさせるときは、つらかった

――2008年に入社されてからは、どういったお仕事を?

金崎 最初は店舗向けのいわゆる「OtoO(Online to Offline)」と呼ばれるwebをやっていました。クーポンサイトや店舗紹介、キャンペーンサイトの開発をやり、3年くらい前からは開発部門の部長になりました。

IPOのチャンスもあるかなと思った時期もあったんですが、失速してしまって。ベンチャーなんで上がったり下がったりはあります。売り上げが頭打ちになった時に、今のアプリのプラットフォームである「インサイトコア」に舵を切った形です。ただ、会社史上でいうと今が一番可能性が大きいと思いますね。

――11年勤めていて、一番大変だった時期はいつ頃ですか?

金崎 「インサイトコア」にサービスの舵を切る時が大変でした。弊社は社員数が現在30名くらいなんですけど、売り上げが良かった時は60~70人くらいいたんです。ただ、その時のマネジメントがきっと良くなくて効果的な投資ができていない感がありました。

そこからアプリサービスに主軸を切り替える時、組織をシュリンクさせたんですね。社内的にハレーションが起こりますし、つらかったですね。シビアに社員を見なきゃいけなかったり、厳しい事を言わなきゃいけなかったり。

――一緒に頑張ってきた仲間に対し、相対評価の低い方には厳しいことを言わなくてはいけないと。

金崎 一応、リストラみたいなことはしていないつもりなんです。けど、評価によってはそう捉えて辞めていく人はいたので。つらかったですね。

――その甲斐あってと言いますか、現在上向いていることは良かったですね。逆に、今までのキャリアで一番楽しかった時期はいつですか?

金崎 基本、今が楽しいですね。いつも「今が一番楽しい」という感じでやってはいます。ただ、今の会社に入って大手外食チェーン店様のクーポンサイトをやって、会員数が1,200万人までいったことは大きな経験でしたね。なかなか、国内でその規模のサービスは多くないですから。貴重な経験でしたし、技術者としてプラスになったと思います。

――様々なことを経験されておられるのですね。

金崎 以前に目黒でオフィスを借りていたときは、かなり広い場所でした。いまは30人程度ですが、シェアオフィスに変えてリモートワークを推進しています。人も少なくなったし、エンジニアもマインド的にもうちに合った人たちが残っているので支障はないと思います。全員が出社すると、かなり狭くなりますが(苦笑)。

――金崎さんはCTOですから、毎日出社しなきゃいけなかったり?

金崎 いえ、週2日はリモートワークをスケジュールに入れています。クライアントさんとの打ち合わせが入ったり、営業職の人たちからの相談もあったりするので毎回は難しいですけども。

――業務を行う上でモットーや好きな言葉があれば教えてください。

金崎 いつも気にしているのは「どこに行くかより、何をするか」です。例えば「転職したい」って思うとして、もちろん金銭面や業務内容での不満があると思うんですが、自分はまず「ここで何ができるか」を最初に考えます。周りのメンバーにも、「うちでできなかったことはたぶん、他社に行ってもできないですよ」と言ってますね。

――なるほど、そんな不自由な環境でもないし、という事ですね。

金崎 そうですね。「こういう開発がしたい」って主張すればできるはずなんです。あとは、常になりたい自分をイメージするようにしています。

――今、金崎さんはなりたい自分になれていますか?

金崎 そうですね、何年か前からイメージしていた中で言うと、なれています。 現実的な所で言うと、3年から5年くらい先をイメージしていますね。ただ、CTOになるイメージはあまりなかったです。そこは意外だったな、と自分でも思っています。

――それは、それだけの実績と信頼の積み重ねですね。CTOになってから見える景色は変わりましたか?
 
金崎 もっと勉強するようになりましたね。今まではエンジニア的に対外アピールを考えたことがなかったんですけど、今は会社の価値を上げるために外部発信を考えるようになりました。

あとは、経営陣に対して技術を持ち込むこと、エンジニアに対して経営を持ち込むことを意識するようになりました。CTOって、そういう役割なのかなと思って。経営者からは技術を相談される事が多いですが、エンジニアが経営を気にすることはそんなにないんです。「開発していれば楽しい」って人が多いので。

いまできないことは、他社でもできない

――ここからは、金崎さんが働く上で大切にしていることについて、「事業内容」「仲間」「会社愛」「お金」「専門性向上」「働き方自由度」の6つの項目から合計20点になるよう、点数を振り分けていただきます。

・専門性向上 4

事業内容とリンクしているかなと思っていて。事業内容によって高められる専門性ってだいたい決まるじゃないですか。なので、そこは重要視したいですね。あと、完璧を求めない主義なので5点は今回ないです。置かれた状況下で最良は求めますけど。

――なるほど、事実上4点が最高点なんですね。

・仲間 3

基本的に人か集まった時「全員が仲良し」ってありえないじゃないですか。そこを求めてもうまくいかないし、付き合いにくい人ともうまくやらないとビジネスは回らないですよね。プロダクトを完成させるには、そこにこだわってもしょうがないので。もちろん仲がよければ居心地は良いですけど、「メンバーの仲がよくないと仕事が進まない」とは思わないです。

・お金 4
 
お金の評価って、割と大事だと思います。趣味でやっているなら良いですけど、そうではないので。フリーでやっている時より収入は減るのが当然ですが、軽視はしたくないな、という感じです。
 
――フリーから会社員になるにあたり、収入減についてはどう折り合いを付けられたんですか?

「最低限、どこまでなら平気だろう」って考えたんですね。これまでの貯蓄もあるし、「これくらいからスタートしても良いかな」と思ったんです。サラリーマンになる時に一番最初に立てた目標はサラリーマンとして年収いくらになる事、というのを自分の目標にしました。

あとは、フリーのエンジニアは稼げても1,500万円くらいだと思っていて。ネームバリューのある人だったら本を書いたりして2,000~3,000万円に行く可能性はありますけど、僕みたいに開発だけをやっているとなるとその辺がいい線だと思うんですね。「3,000万稼げるならフリーが良いけど、そこまで稼げないんだったらサラリーマンでも良いんじゃないか」という妥協はありました。

・事業内容 4

専門性向上と一緒ですね。事業内容が良くないと、自分が向上できる専門技術が変わってくると思うので結構大事だなと思います。

・働き方自由度 3

こだわっているつもりはないですけど、今さら「毎日8時半に出社してください」はできないな、と思います(笑)。毎日会社に来るのは全然苦じゃないですけど、週休3日は検討したいことではあるんですよね。いまでも週2でリモートワークやっているので。本当は週3にして、平日の夕方はサッカーコーチとして練習対応したいなとか思ったりしてます。

――多くの会社で週休3日をトライしたら良いんじゃないか、と思いますね。稼働時間数で生産性が変わる業界って、どこまで多いのか? と思いますし。

そうですよ。働き方の自由度が高ければ高いほど、できる人とできない人って出てくると思います。うちのエンジニアに関して言うと、リモートワークだから仕事の効率が落ちているっていうのは無いです。リモートワークも、そんなに細かく管理していないんです。Slackに「仕事始めます」って投げてくださいとか、その程度。直接話したいときはzoomなどビデオミーティングをするだけなんで、全然気にならないですね。

・会社愛 2

会社愛、少ないですね(笑)。ただ、普通あまり大きくないのかなと思っているんですよ。例えば転職の時に、ブランドとかステータスが好きっていうのはあるかもしれない。Googleで働いているとかAppleで働いているとか。ただ、そういうのを持っている人ってそんなにたくさんはいないのかな、と。

――ありがとうございます。最後になりますが、キャリアに悩んでいるエンジニアの方々にメッセージを頂けますでしょうか。

金崎 そうですね。繰り返しになりますが、いまできない事が、他社にいったらできるかと言うと難しいと思います。転職するのは、会社での目標をクリアしてからでも遅くないと思いますね。
 
――なるほど、本当にそう思いますね。何らかの形で「やり切った感」が無いと。

金崎 そうなんですよね。それがないと、他社に行ってもできないことはそのままなので。あとは、疑問に思ったことは何でもいいから突っ込んで納得できるまで調べてみる習慣を付けるのは良いかなとは思います。

実は僕、高卒なんですよ。しかも、この仕事を始めたのは20歳の時なんです。キャリア30年オーバーなんですけど、それまではパソコンを何に使うのか知らなかったですし、基本ダメ人間だったので遊び歩いていて、バブル期を遊び回る典型的な若者でした。

たまたま情報処理の仕事に転職しようという気持ちになって、言語プログラムをやるじゃないですか。「A=B+C」って書いてあるときに「なんでBとCを足したのがAに入るんだろう」と凄く疑問だったんですよ。その疑問を解決するためにC言語とかアセンブラとかマイコンとかいろいろ勉強し始めたらすごく楽しくなってしまったんです。

自分が理解できるところまでは、自分で調べた方が絶対に楽しいと思います。サッカーの戦術でも「マニアックすぎて意味がわからない」みたいな記事たくさんあるんですけど、それでも「自分なりに調べてみよう」という姿勢で楽しいでいます。

――凄く腑に落ちました。インタビューは以上になります。ありがとうございました。

<了>

ライター:澤山大輔


Forkwell Portfolioは、エンジニア向けのポートフォリオサービスです。
Gitリポジトリを解析して、あなたのアウトプットをグラフィカルに可視化します。

Forkwell Portfolioのご登録はこちら!

Forkwell pordfolioバナー