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「世にあるIT技術の大半が、守備範囲です」浅沼敬(株式会社IDCフロンティア)前編

クラウドって、必要な技術が多すぎて困るくらいなんです

――本連載では初登場となります、IDCフロンティア様の業務内容についてお伺いできれば幸いです。

浅沼 IDCフロンティアは、いわばインターネットの裏側を支えている会社ですね。メイン事業はデータセンター事業と、そのデータセンターを活用したクラウド事業の2つになります。

データセンター事業を長く続けるアドバンテージはクラウド事業にも活かされており、「自社のデータセンターを使えるのは心強いな」と思うことが多くあります。自社にデータセンターがあることで、ハードウェア選定をオフィスにいるメンバーがやってくれるんですね。物理基盤を意識せずに使えるクラウドの強みを最大限に活かせ、開発者としてはすごく楽しい環境だと思います。

よくあるのは、お客さんが大手クラウドに一度行ってからまた戻ってこられるケースですね。大手のクラウドに切り替えたものの「全然パフォーマンスがでなくなったんです」という話が少なくなくて。

弊社の場合、クラウドに加えデータセンターにお客さんのサーバーを置いて、高いスペックのマシンと組み合わせてパフォーマンスを出すインフラが簡単に整います。そこにメリットを感じてくれるお客さんは多いですね。こういうところは、インフラを支える企業の面白さではないかと思います。

――その中で、浅沼さんはどの様なお仕事をされているのでしょうか。

浅沼 クラウド事業の開発責任者として、サービスのラインナップ企画から開発チームのマネジメント、技術検証まで担当しています。技術マネージャーのような立場ですね。

現在の1日のスケジュールでいうと、朝は早めに出社して技術検証したい技術を確認、10時から開発部門や他部署とのミーティング。夕方に一段落し、朝の技術検証をまとめて記事化し、面接があれば夜に面接。だいたいそのようなスケジュールで進むことが多いですね。面接があれば20時までいることもありますが、ない日は18時には退社します。

業務の割合としては、マネジメントが多いですね。クラウドサービスの会社なので、サービスや事業に加えて、技術面でのマネジメントも重要になります。というのも、クラウドの分野はしょっちゅう新しい技術が出てくるんです。海外のカンファレンスでも大手がすぐに発表するので、

「この技術を既存サービスに活かすには?」
「お客さんは、この技術をどう使いたくなるだろう?」

と早いサイクルで考えていくことが多いです。

――チームの構成や開発体制は、どういうものなのでしょうか? 

浅沼 だいたい1チームにつき5~6名ですね。プロダクトオーナー1名、仮想化やデータベースなど当該技術に詳しいテックリードが1名、フロントエンドやサーバサイドエンジニアが2~3名です。追加機能やスクラム、スプリントの計画など裁量をもってやってもらっています。全体では6~80名ぐらいでしょうか、それぐらいの人数が開発に関わっています。

サービスと人が増えるペースが早まっているので、共通設計の理解や開発におけるルール作りが重要になってきています。かつ、開発は早く進めていきたいので、裁量を持たせる必要もある。そこの区切りを作るのは、なかなか苦労しているところですね。

また、全員がすべての技術に詳しいわけでもないので。クラウドには、必要な技術が多すぎるほどあるんですよね。ネットワーク、物理マシン、Linux、仮想化、データベース運用、ロードバランス……どうしても、世の中にあるIT技術の大半が守備範囲になってしまうんです。

「全員が網羅することは難しい、けど知っていてほしい」といったジレンマはあります。

――逆に、御社のやりがいはどういう部分にありますか?

浅沼 多くありますが、なんといっても尋常じゃない技術レベルのエンジニアと仕事ができることではないでしょうか。僕も技術的には自信を持って入社したつもりなのですが、ここに来たらあまりにもレベルが違うエンジニアさんがいるんですね。

例えば、世の中の仕様についてすべてのドキュメントを読んでいたり、ネットのことについて質問したら何でも回答してくれる人、技術仕様を仕組みから知っている人……そうしたレベルのエンジニアさんがいる会社に初めて来たので、衝撃的でした。

例えばミドルウェアが動かないな、おかしいなと思ったら「このミドルウェアはRFCに準拠していない機能があります。仕様の解釈を間違えていますね、バグです」と指摘してくれたり。そういうレベルの方が、入社したら隣に座っていたんですよ(笑)。

技術範囲はとても広く、いくらでも深掘りできる環境です。知れば知るほどサービスに活かせますし、今までの仕事とは違った面白さがあります。単純にオープンソースやミドルウェアを使うだけでなく、それらが動く仕組みや原理を知ってからお客さんに提供できる。そういう文化が弊社にはあります。

尋常でないレベルのエンジニアと、一緒に働けます

――尋常じゃないレベルのエンジニアさんがいらっしゃるということですが、もう少し具体的に伺えますでしょうか。

浅沼 衝撃的でしたよ。お二人いらっしゃって、1人は50代の方。入社したら、僕の隣の席だったんです。入社時の僕のメンターでした。会話をしたらすぐ、技術理解のレベルが違うとわかりました。DNSなどをRFCから理解して、あるべき仕様を考える・・・。これが、技術を使う側でなく提供する側なんだと。普通、そんな方はいないと思います。 

もう1人の方は、65歳の方で一度引退してからカムバックした方で、私のロールモデルです。英語力がネイティブレベルで、海外のオープンソースドキュメントをさらっと読みこなして教えてくれたり、手を動かしてすぐに環境構築して「こうやったら動くよ」と教えてくださったり
すごく、いきいきと働いておられるんです。この間も避難訓練があり、オフィスフロアの24階から1階まで歩いて降りたんですが息一つ切らさないんです。

――すごいですね……!

浅沼 お二人とも、技術でわからないことはほとんどない方です。「プログラミングは若い人に任せますわ」みたいにおっしゃるんですが、カルチャーショックといえるほどの衝撃でした。自分より年上で、技術力がこれほど高くて、かつ現役のエンジニアとしてやっている方は今までの会社にいなかったので。
そのくらいの年齢だとビジネスサイドで部長をやったり、ディレクションに回ったりする方が多いですから。技術の最先端に居続ける方がいるのは、大きな刺激になりました。

――確かにこの連載でも120名ぐらいの方にお話を伺いましたが、そうした方は初めてかも知れません。改めてお話を伺いたいぐらいですね

浅沼 仕事が生きがいなんだそうです。本当にすごいと思います。

――ありがとうございます。御社の特徴にはもう一つ「スピード感」があると伺っていますが、どういうときに感じますか?

浅沼 なんといっても意思決定がスピーディなことですね。時間も人も掛ける必要がある案件でも、部長の一声でゴーサインが出たりします。人数も足りないですからいろいろな案件を兼務しなきゃいけないんですけど、それでもこうした意思決定が早いのは「2~3年後にこれが来る」というトレンドを社内で共有しているからだと思います。

例えば海外の新しい技術の勉強会に行きたいと言ったら「いいよ、いくら? シアトルまで行ってきなよ」と即答されたり。もちろん何も考えていないわけではなく、ビジネスとしてどの程度の予算規模を狙うのか、どの程度時間を掛けるのか、ちゃんと考えた上でサポートを決めてくれています。

――上司の方々も含め、皆さん勉強熱心だからこその意思決定の早さなのですね。

浅沼 そう思います。データセンター事業、クラウド事業とも長年やっているのでハードウェアベンダーさんとも付き合いが長く、新しい情報は入りやすい環境です。世の中の変化に対し敏感で、早く取り組み、検証し、実施/不実施を決める文化はIDCフロンティアにあると思います。

僕らはチャレンジしています。一緒にチャレンジしてほしい。

――御社が取り組んでおられる「ネクストチャレンジ」という施策は、どういうものなのでしょうか?

浅沼 簡潔にいうと、コンテナ技術へのチャレンジですね。現在のIDCFクラウドを支えている技術と商材はVM中心の仮想化技術ですが、時代の流れに合わせコンテナ技術を活用したクラウドに取り組んでいます。

弊社がクラウドサービス事業を始めてから、5年が経過しました。IDCFクラウドサービスの強みは、使いやすい仮想化マシンIaaSとして、サービスと物理の組み合わせでやっていることです。ここにコンテナ技術を加えることで、より優れたクラウド体験を届けたいと考えています。どんなサービスを支えて行くことができるか、どんなサービス・技術が提供できるようになるか、とてもワクワクしながら考えています。

ただ、これだけ技術力が高い会社であっても、実は社内にコンテナ技術のプロフェッショナルがいないという(苦笑)。

その体制を見直し、現在はサービスロードマップを組み直し、採用をかけて検証チームも作っています。

――現在は、「新しいチャレンジに投資しよう」という流れになっているのですね。だから「ネクストチャレンジ」と。

浅沼 そうですね。コンテナも含めてどのクラウドサービスを提供するにも、相当なレベルで中身を理解することが必要です。お客さんに安心して使ってもらうには、問い合わせに対しすべて答えられるようにしないといけないからです。

あるカンファレンスに伺った際にリードエンジニアの方が「オープンソースのコードはすべて読みました、わからないことはありません」と仰ってましたね。「僕らもそれぐらいにならないと」という思いを新たにしました。

技術を使う立場から越えて、提供・創り出していくことに僕らもチャレンジしているので、ジョインしてくれる人にも一緒にチャレンジしてほしいですね。

今後、インフラやクラウドを支えるオープンソースに対しても、積極的に関わりたいと思っています。今後はよりコンテナ中心に変わっていくと思います。願わくば技術コミュニティにも貢献したいと思っています。

期待されていることに対して、しっかり応えたい

――浅沼さんが働く上で大事にしているモットーや、好きな言葉があれば教えてください。

浅沼 「仕事は、できる人のところに来る」ですね。社会人の最初の頃、面倒をみてくれた上司に言われた言葉です。

仕事が来るのは、周囲から「浅沼ならできる」と思われているからだと。IDCFクラウドに置き換えても同じで、お客様の課題解決に向けて、期待されていることをしっかりやらなきゃいけない。期待に対し、きちんと応えたいですね。

あとは、「エンジニアを楽しいと思えるなら、一生勉強だ」です。残念ながら他界した、義父の言葉です。義父もエンジニア(通信技師)で、新しいことを貪欲に勉強し、楽しんで仕事に取り組むように言ってくれました。自分の学習モチベーションを支えてくれている言葉です。

そういう意味で、クラウドは飽きないです。新しいものが数カ月単位で発表されるし、技術範囲も広いですし。考えるほど、転職するべくして入社した、来るべきタイミングで来たと思っています。

<後編に続く>

ライター:澤山大輔


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