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「社会課題にこそ、ビジネスでアプローチすることに面白さを感じるんです」根岸正彦(株式会社LITALICO)~Forkwellリレーインタビュー

「障害のない社会をつくる」をビジョンに掲げ、リアル(店舗)とプラットフォームとテクノロジー(アプリ・Webサービス)のアプローチで多面的にサービス提供をしているLITALICO(りたりこ)社。

エンジニアリレーインタビュー、LITALICOさんのシリーズ最終回となる今回はプロダクトエンジニアリング部に所属する根岸正彦さんに登場いただきます。第2回に登場した市橋佑弥さんが「柱になってほしい」と期待を寄せる人材は、LITALICOの過去・現在・未来をどう捉えているのでしょうか?

他に入社したい企業が見つからなかった

根岸 現在はプロダクトエンジニアリング部に所属しており、発達が気になる子どもの親向けポータルサイト「LITALICO発達ナビ」の開発がメイン業務です。新規プロジェクトに携わったり、既存の運営チームのメンター的な役回りをしています。既存サービスの運用は新卒のメンバーを中心にやっていて、私はその中で一番経歴が長いので見ている感じですね。

私自身も新卒入社組で、今年で6年目です。入社自体は2014年からなのですが、学生インターンとして大学院時代の2012年12月から在籍しているので社歴としては長くなりました。

大学院では半導体やネットワークなどハードウェア系の研究をやっていて、WEBは全くやっていませんでした。他社さんでWEBのインターンをいろいろ経験して、それからLITALICOに入社したという経緯です。

実は大学院1年の春から就活を始めたのですが、他に入社したい企業が見つからなかったんですね。当時はソーシャルゲームが流行っていましたが、今幸せな人をより幸せにすることに自分の時間を使いたいと思えなくて。「障害福祉に携わるエンジニアになりたい」という軸は決まっていたのですが、そういう求人は採用サイトにはなかったので、たまたま見つけたLITALICOに決めたという流れです。

――すでにこの業界に決めておられたのですね。何か理由があったのですか?

根岸 実は家族に障害者がいて、当事者意識があったんですね。その課題を解決したいという思いはずっとあったんです。とはいえ、LITALICOは当時エンジニアの募集はかけていなかったんですよ。たまたま、新卒採用領域の方と飲み会をしていて、「こういう会社に入りたい」という話をしたらつないでくれたんです。

課題解決プロセスそのものが好きなんです

根岸 入社時点では、エンジニアの亀田と私ともう1人同期がいたのですが、その3人しか新卒エンジニアが居なかったんです。

ただ、そのタイミングで「LITALICOワンダー」というお子様向けのプログラミング教室が立ち上がりまして。その教室でお子さん向けの教材を作ったり、実際に指導したり、営業をしたりなど半年ほど過ごしていました。

亀田のインタビューでもあったと思いますが、その後にネット系のサービス立ち上げがずっと続いたので、そちらに関わってきた形です。

5年を振り返って大変だったのは、やはり組織がなかったことですね。サービスをどうやって立ち上げるのか、どうやって開発するのかノウハウがなかったので。最初は「Conobie(コノビー)」という子育てメディアの立ち上げをやり、続いて「LITALICO発達ナビ」の立ち上げを担当したのですが、前者のときにできなかったことが後者ではずいぶんできるようになって嬉しかったことを覚えています。

具体的には、プロジェクトの進め方として、スクラム開発を導入したことですね。円滑にプロジェクトを進行するための開発プロセスや、管理の仕方は「Conobie(コノビー)」立ち上げ時の反省点でした。そこがうまく改善できたのは良かったですね。

――今後、LITALICOさんでどんな変化を起こそうとされていますか?

根岸 私自身は技術そのものよりも、働き方や開発プロセスなど組織面での課題解決に興味があるので、非ITの事業会社でエンジニアがどう働いていくのか、どうプロダクトを作っていくのかを模索したいと思っています。

技術を磨いていきたかったら、選択肢は他にもあると思うんですね。わざわざLITALICOに来てエンジニアリングをやる理由は何かと言うと、非ITの事業会社で自社サービスを持っていることだと思うんですね。障害福祉領域の実店舗が実際にあるので、ALL LITALICOで障害福祉領域のプロダクトを作れるというところが魅力です。

どう強みを活かすか、どうやってエンジニアを集めるか、働きやすい環境にするかという部分は強く興味を持っています。

――伺っていると、まさに利他的な考えの持ち主だなという印象を受けます。

根岸 どちらかというと、そうかもしれません。物事を整理したり分析したり、課題を見つけてどう解決したりという素養は元からあったのかなと思っています。サービス立ち上げのときって課題とかリスクばかりなので、それをどう着地させるのか、解決していくプロセスが好きなんですね。

サービス作りをエンジニアがリードする

――業務を行なう上で大事にしているモットーや、好きな言葉はありますか?

根岸 弊社が事業会社だからかもしれないですが、「ビジネス職と受発注関係にならない」ですね。

一般的な構図としては「企画がエンジニア以外から上がってきて、エンジニアはそれを作る」という形が多いと思います。でも、言われたものをただ作るだけなら受託会社でもいいじゃないですか。

僕は業務を理解し、自分たちでも企画提案してビジネス職の人たちとプロダクトを作っていくことを大事にしています。

ちょうど今立ち上げ中のサービスがあって、亀田や市橋のインタビューでも出たと思いますが、障害福祉・児童福祉現場の業務支援・運用支援のシステム開発に着手しています。現場の業務って、すごく複雑なんですね。そういうところでは、正しく業務を理解しないと、作ったものが使われないということも発生してしまいます。

現場の複雑性は、例えばお子さんが児童発達支援事業所を使ったときに、どう請求額を計算するか。その請求のロジックって法律とすごく結合しているので、それを請求業務にどう落とし込み、どういうシステムにするのかを考えたり。かなり複雑なシステムなので、前提としての業務理解が不可欠なんです。

―ありがとうございます。続いて、ご自身の成長の為に日々行なっている事を教えてください。

根岸 クリエイティブな作業時間、開発時間を確保することですね。1on1の時間が増えたり、ミーティングの時間が増えたりして、なかなか時間を取れなくなることも多いので。

あとは社内外のコミュニティに出入りすることですね。Wantedlyにも書いているのですが、個人事業主もやっているのでフリーランスコミュニティに出入りしたり。いろいろな話をしますよ、例えば節税の話とか(笑)。

新しい技術を学ぶ意欲が、よりよいサービス開発へ繋がる

――副業では、どんなことをなさっているんですか?

根岸 いろいろですね。実際に手を動かして開発することもありますし、スタートアップのお手伝いをすることが多いのでシステムを作る以前にどういうサービスが必要なのか、どういうプロダクトを作るのか、企画から関わることもありますし、開発プロセスの改善やプロジェクト管理のお手伝いもします。スタートアップではただでさえエンジニア探しにすごく困っているので、そこでお手伝いできたらいいなと思っています。

――LITALICOさんで経験したものを外に出して、形にして、ブラッシュアップして持ち帰ることで中の仕事のクオリティも上げる。よい循環になっているのですね。

根岸 そうですね、そうなっていると思います。

――ありがとうございます。若干抽象的な質問ですが、「エンジニアとして良い仕事をしたな」という瞬間はどういうときですか?

根岸 サービスをリリースしたときはうれしいし、「やりきったな」と思えますが、ユーザーからフィードバックをもらうときが一番ですかね。

あとはエンジニアとしては、サービスリリースが「チームで」できたときですね。僕は、属人化しないことを大事にしたくて。エンジニアも人数がいないので、属人化しちゃうと勿体無いし、何かあると困る。「皆でちゃんと作りきった」ということを大事にしたいと思っています。

――エンジニアとして、マネジメントサイドに行かれた方はやはり現場から離れることへの葛藤があるかと思います。そういう部分は、根岸さんにはおありですか?

根岸 まさに今、感じています。そこまで離れているわけではないんですが、コードを書く時間が減り、育成に注力した結果自分のスキルをどう担保するかは課題には感じています。若い子のほうが、インプットは早いですし。

WEBって流れがすごく速いので、流行り廃りが激しい中、置いていかれないようにするにはどうするか。「35歳定年説」というのがあるように、今後どうキャリアを積んでいくか、すごく考えています。

自分はギークではないと思っています。「自分の価値ってなんだろう」と思ったら、サービスをゼロから作ることができること。ゼロイチのところに、強みがあるのかなと思ってます。新しい技術を学ぶこと自体より、その技術をどうやって使うかを大事にしたいですね。

技術って、手段でしかないと思っているんです。良いサービスを作れるなら、エンジニアリングにはこだわらなくていい。世の中にどういうサービスを提供するか、どこにITを駆使するか、そういう順番で考えたいと思っています。

この会社に入れたことを、すごく感謝しています

――エンジニア人生で、感謝を伝えたい人はいますか?

根岸 エンジニア人生というと難しいのですが、この会社に入れたことはすごく感謝しています。家族に当事者がいたこともあり、ここを紹介してくれた人材会社の方、いきなり殴り込みに来た僕を受け入れてくれた亀田には、特に。

父が身体障害者で車椅子に乗っていて、さらに双子の妹が知的障害があるんです。家族4人中、2人がハンディキャップを背負っています。僕の中ではそれが当たり前で違和感なく過ごしてきたんですが、この先の長い人生を同い年の妹が生きていくことを考えると、どうなっていくんだろうと。

親亡き後、自分もいつまでも面倒を見ることはできない。その時どうするか。その課題については、中高生の頃から考えていたんです。まずは自分が困らないように、ということではありますが、同じように困っている人たちに対してどうアプローチしたらいいのか、LITALICOを通じて解決できることはないか。

うちの会社には実際、そういうバックグラウンドがある人も多いんです。こういった課題に対して、NPOや行政も大事ですが、事業継続性やリソースを確保していくという観点などから、ビジネスとして解決していくということが自分の中ではしっくりきています。

――なるほど、補助金貰ったり保険だったりだけではなくて、ビジネスとして事業を拡大することで、結果として助ける人も増やせるということですね。

根岸 障害者年金はありますが、微々たるものです。妹も作業所で働いていますが、一カ月フルタイムで働いても1日500円、月に1万円しかもらえません。そのままだと、生活保護まっしぐら。どうしたらこの人たちが自立していけるのか、解決したい課題です。

――腑に落ちました。それこそ幼少期の頃から、ずっと課題として持っていらしたんですね。本当に頑張ってほしいです。最後に、「こんな人と働きたい」という気持ちを伺えれば幸いです。

根岸 課題を感じ、解決したいと思っている人と一緒にサービスを作っていきたいですね。弊社のような障害福祉の領域ではどうしても課題を感じるのは当事者の方が多いのですが、解決には当事者ではない方の力も必要なので、自分ごととして捉えられる方。エンジニアとしてどう解決していくかを考えていける方と、一緒に働きたいと思います。

――市橋さん亀田さんも、幾度となく同じことを語っていらっしゃいましたね。度合いはともあれLITALICOさんの成し遂げたいこと、ミッションに共感できるかどうか。

根岸 スキルのあるエンジニアって、世の中にはいっぱいいると思うんです。課題に興味があるのかは、誰にでも当てはまるわけではないと思います。ビジョンや課題に共感するって、すごく大事。スキルは後からでも身につくし、そのときに必要なものを学べればいいと思ってます。

<了>

ライター:澤山大輔


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