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「50歳過ぎてエンジニアリングに戻ったら、楽しくて仕方ないんです」笹川賢一(税理士)〜Forkwellエンジニア成分研究所

本職・税理士、根っからのプログラミング好き。

――笹川さんの現在の業務内容から伺えますでしょうか?

笹川 本職は税理士です。プログラミングで食っている状態ではありません。確定申告の時期になるといろいろコマーシャルが出ますけど、ああいう仕事を本業でやっています。

プログラミングとしてはElixirを使って、ディープラーニングのフレームワークを作っています。Deep Pipe といいます。Pythonだと有名なテンソルフローがあるんですけど、Elixirにほれ込んでしまって。

根っからのプログラミング好きです。特に人工知能は、若い時から大好きで。もう40年前の話ですけど、大学の時にコンピューターに出会いました。NECから「PC8001」が出た頃の話ですね。

――ちょうど、コンピューターが個人で買えるようになった頃ですね。

笹川 そうです。当時、秋葉原に通いつめました。同じ昭和57年ごろ、日本独自の人工知能を活用したコンピューターを作る国家プロジェクトがスタートしました。にわかにAIブームになり、いろいろなコンピューター雑誌に記事が掲載されたんです。

「こりゃすごい」と思って、両親に「ちゃんと勉強しますから、もう1度大学に行かせてください」と言ったんですけどさすがに断られました。

実は、大学ではバンドばかりやって勉強していなかったんです。「さすがに親不孝だな」と思って、親が税理士だったこともあり税理士業界を志望しました。ただ、AIやICOTのことは忘れられなくて。税理士の勉強をしながら、コンピュータの雑誌をずっと読んでいたんです。

こんなに早く、AIが実用化するなんて。

――転機があったのは、いつ頃ですか?

笹川 7年前に、親父が亡くなったことです。いよいよ臨終まもない、という時に「税理士は一生懸命やった。僕の人生で、もう1つやりたかったことをやらせてほしい」とお願いしたんです。「まあ良いだろう。子どもとカミさんをちゃんと食わせて行け」と、条件付きで許可をもらいました。

それからは、プログラミングに没頭しました。朝は始業前、夜は仕事が終わってから。土日は、昼を食べるのも忘れてプログラミング。使用した言語はPROLOG、LISPなどです。ありがたいことに、今は独学もかなりできるんですね。インターネットを通じて専門の方々に繋がり、アドバイスをいただいています。

中でも驚いたのが、東大名誉教授の竹内郁雄先生です。御年73歳、LISPというプログラミング言語の日本における第一人者です。竹内先生のLISPに関する本があるのですが、その二次創作に当たることを書籍化したいと思い、手紙をお送りしたんです。そうしたら、高名な方なのにFacebookを通じて「出して良いよ」と承諾をくださって。感激しましたね。

現在は第三次AIブームということもあり、ディープラーニングが必要な時代になりました。正直驚きましたよ、こんなに早くAIが実用化するなんて。

――ただ、機械学習には数学の知識が重要ですよね。数学の勉強も続けておられたんですね。

笹川 そうです、数学の知識がないと面倒なんですよね。ただ、実は20年前ぐらいに新潟大学の数学科に入れてもらったことがあって。当時教わった微積分学が、まさか役に立つ時がくるなんてという感じですね。

とはいえ最初はなかなかうまくいかなかったんですが、去年fukuoka.exの森さんのグループでElixirを使ったらすごくハマって。「理想的なプログラミング言語だ」と思って、のめり込みました。

人工知能研究の第一人者である中島秀之先生(写真左)と

50歳過ぎでエンジニアリングに戻ったら、楽しくて仕方がない

――Elixirのどのあたりが、プログラミング言語として理想的なんですか?

笹川 非常にわかりやすいことです。Rubyも優れていますが、似たような外面なんです。表面上似ていて親しみがあり、掘り下げるとLISPによく似ている。まさに、私が求めていたプログラミング言語です。

今年はGWがたっぷりあったので、勉強に没頭しました。fukuoka.exの山崎先生のグループがお作りになっているGPUを使って高速計算をするツールがあるのですが、こちらを私が取り組んでいるディープラーニングで使わせていただけそうなんです。fukuoka.exの方々にも、何かお役に立てたらうれしいと思っています。

本職エンジニアの方には敵わないですが、私は税理士と両方とも踏み込んでいます。この間も、税理士会の会長さんに「お役に立てるのであれば、会員の方向けにお話させてください」と手紙を差し上げたところです。

――ありがとうございます。それにしても、エンジニアリングに戻られた当時はおいくつだったんですか?

笹川 50歳過ぎたぐらいですね。数えないことにしてるんですけど、今は確か58歳です。

――見えないですね。50歳になってからエンジニアリングに改めて着手する、カンタンなことではないと思います。

笹川 これが、本人は楽しくて仕方がないんですよ(笑)。普段は決まったことをきっちりやる仕事で、創造性を発揮する余地がない。それはそれで、大事なことではあるんですが。

やりたいことに没頭したら、すごく元気になりました。本業もイキイキするし、お昼食べるのも忘れちゃうぐらいに楽しくて。「どうしてお腹減ってるのかな。あ、食べ忘れてた」みたいな感じで時間が過ぎています。

好きなことを仕事にするのが、富裕への最短距離

――業務を行なう上で大事にしているモットーや好きな言葉はありますか?

笹川 「始めるのに遅すぎることはない」です。ケンタッキーの創業者カーネル・サンダースさんは、フライドチキン事業を成功させたのが65歳の時らしいんですね。

失敗したり、倒産があったりしながら65歳にして事業を成功させ、今や大変大きな会社になっています。サンダースさんより若い自分は、まだまだやれる。そういう気持ちで取り組んでいます。

――今後、シニアの需要はどんどん高まるという話もあります。今まで以上に活躍の余地はあると思います。

笹川 そう聞くと、励みになりますね。「プログラマー35歳定年説」がありましたけど、そんなことはないと思うんです。2、3日も徹夜するのは難しいですが、スキルはどんどん上がります。頭が働く限り、やっていたいと思います。

――「好きなことを仕事にすることが幸せであり、経済的富裕への最短距離」がモットーと伺いました。経済の部分に関しては、ご自身が税理士であることも関係しているのでしょうか?

笹川 おっしゃる通りです。税理士としていろいろなお客様のご相談を受けることがあります。脱サラして事業を始めた方とも話すんですけど、うまくいく人は少数派なんですね。

ただ、成功されたお客さんはやっぱり仕事が大好きな方が多いです。ソフトウェア開発にしても、好きでたまらないので苦にならない。大事なのは「やりたくてたまらないこと」であって。

自分も、やりたいことをやったら楽しくてしょうがないですね。AIの勉強を楽しみつつ、地元の方々のお役に立てて、お金にもなったら最高だと思っています。

――ご自身の成長のために、日々行なっていることはありますか?

笹川 とにかく集中することです。ディープラーニングの書籍は、暇さえあれば持ち歩いています。居酒屋に本とパソコンを持ち込んで、マスターに変なやつだなと思われたり(笑)。それぐらい日課になると、自然にできちゃうのかなと思います。

あとは、アドバイスをくれる方がいると励みになります。そういう方々とお付き合いをしていると、自然に「追いつきたい」と思うもの。ご縁を大切にしたいと思います。

これからは、フリーランスの時代。

――ここからは、笹川さんが働く上で大切にしていることについて、「事業内容」「仲間」「会社愛」「お金」「専門性向上」「働き方自由度」の6つの項目から合計20点になるよう、点数を振り分けていただきます。

・専門性向上:3

本職エンジニアでないものですから。若いバリバリのエンジニアさんには敵わないので、「お金」とか「仲間」が大事かなと思っています。

・仲間:5

fukuoka.exの方々、Facebookでご指導していただいている方々との出会いが大きかったです。昭和なら、とても今みたいなことはできなかった。インフラが整理されたおかげで、行かなければお会いできない方々とネットで繋がれる。貴重な経験だと思っています。

・お金:5

お金に対して、以前は良いイメージがなかったんです。争いの元、業務上横領とか相続の争いとか、人の心を惑わせるものという思い込みがあったんです。

これは間違いでした。お金は、自由を手に入れるもの。自由が手に入れば、やりたいことに没頭できます。これに、ようやく気がつきました。

若い人たちにも、どんどん儲かってほしい。Facebookのマーク・ザッカーバーグとか、Appleのスティーブ・ジョブズみたいな人材を生み出そう、という雰囲気があっても良いと思っています。

・事業内容:2

事業内容は特殊なので。お金とAIの交わったところでやりたいのですが、一般的な人とは変わってくると思います。

・働き方自由度:5

1人でやっているものですから。ベンチャー企業では、やはり自由に働く方が良いんじゃないかなと思います。

仕事ですから納期があってコストを考えると思うんですけど、制約の中で自由な発想をし、常識に捉われないものを作り出すのが重要だと思っています。

これからは、フリーランスの時代です。自動車を作るとかを除けば、個人がもっとクリエイティブに、会社に捉われないところでやっていくのが良いと思います。

・会社愛:0

会社がないものですから。とはいえ、fukuoka.exみたいな会社があったらぜひ勤めたいなと思います。

――最後に、キャリアに迷うエンジニアの皆さんに向けてメッセージをいただけますでしょうか?

笹川 好きなことをやりましょう、です。本当に極めたいものがあるのならば、早いうちからやった方が良いです。

「その前に、これをやれ」とか我慢しなきゃいけないことは、決してない。「好きなことをやるとたっぷり儲かるので、儲けましょう」ということをお伝えしたいです。

<了>

ライター:澤山大輔


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