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「働き方は、どんどんクリエイティブ寄りになっていく」前島治樹(株式会社MUGENUP)〜Forkwell エンジニア成分研究所

2Dイラスト/3DCGなどのクリエイティブ制作事業を展開する株式会社MUGENUP。今回は、システム部の部長である前島治樹(まえじま・はるき)さんに登場いただきます。

若くしてシステム部を取りまとめ、社内インフラだけでなく基幹事業であるクリエイティブ制作を支える業務管理ツール「WORKSTATION」や、スマホゲーム業界で大きなシェアを持つSaaS型プロジェクト管理ツール「Save Point」の開発や運営、さらに月間1,300万PVを達成する小説・漫画投稿サービスまで、様々なプロジェクトを統括する前島さん。

現在の業務からこれまでのキャリア、今後のキャリアパスまで伺いました。

熱帯雨林を歩いて、迷子になった院生時代

――今回初登場ということで、御社の紹介から簡単にお願いできますでしょうか。

前島 弊社MUGENUPは、主にシステムを活かして2Dイラストや3DCGなどのクリエイティブを制作している会社です。「WORKSTATION」という社内システムでクリエイターのデータベースを保持し工数や進捗状況を管理したり、このシステムを外販化してクラウド化したSaaS「Save Point」を提供したり、小説投稿サイトを運営するなど複数のプロダクトがある会社です。

――その中で、前島さんはどういうお仕事に携わられておられるんですか?

前島 私はシステム部の部長なのですが、システム部は「Save Point」や小説投稿サイトのプロダクトの他に、社内ネットワークなど情シス的な役割も持っています。私自身は部長としてそれらの業務の取りまとめに加え、所属するエンジニアのマネジメントや、監査への対応もしております。

――ご自身でプログラミングなり、手を動かす機会はありますか?

前島 あまりないですね。ただ、エンジニアのコードレビュー、設計レビューのほか、自分自身も設計してはいます。弊社の代表から「こういう技術を取り入れていきたい」という相談を受けたり、技術戦略・ビジネス戦略をシステムに落とし込む設計などもしています。

――大学で土木を学び、大学院では環境科学を専攻されてからITコンサルタントとしてキャリアをスタートされたと伺っています。

前島 そうですね。東京理科大学の土木工学科に入って、当時はざっくり「国土交通省に入ろう、公務員を目指そう」と思っていたんです。日本で一番担当範囲が広いのは国土交通省であり、陸・海・空すべて国土交通省なんですね。なので国土交通省に入省すれば、幅広い活躍ができるんじゃないかと期待していました。

でも大学3年生の時に、インターンで国土交通省に入ったら「あ、公務員は全然違う」と思って(笑)。それで志望を変えることにしたんです。そうなったら土木を専攻し続ける必要も特にないため、これから何をしようか考えたんです。それで、環境科学のほうに移りました。

――環境科学に移ったのはどういう理由があったんですか? 

前島 衛星画像を使えて、フィールドワークも自由にやれる点に魅力を感じたんです。学部4年のときは衛星画像の解析をやっていたんですが、例えば沖縄の海の画像解析をやっていても僕自身は一度も沖縄に行く機会がなくて。

そこから「(現地に行かないと)意味ないんじゃないか」と思い、フィールドワークを自由にやらせてくれる研究室を探して筑波大学の大学院に入りました。大学院では生命環境科学研究科の環境科学を専攻し、ボルネオ島の村に3カ月ホームステイしました。世帯調査し、80世帯ぐらいを調査しましたね。

――印象に残っているエピソードはありますか?

前島 熱帯雨林を歩いていて、迷子になったことですね。インドネシアでは道が整備されていないことが多いので、よく迷子になっちゃうんですよね。GPSを持っていてもざっくりした座標しかわからないんですよ、緯度と経度ぐらいとか。

――それはめっちゃ怖いですね。

前島 怖いです。他にも印象に残った点としては、村民の生活ですね。ホームステイ先は木造の小屋だったりするんですけど、みんなテレビを持って、パソコンもあるんですよ。 

――全然イメージと違う!

前島 スマホもあるし、Facebookアカウントも持っている。戸籍がないのにFBアカウントだけはある(笑)。ガスも水道もないし、電気なんてどこかから盗んでるやつなんです。

「この状況はすごいな、これからはITを知っていなきゃいけないな」と思ってIT業界を目指し、卒業後のキャリアとしてはITコンサルティング企業に入ろうと思ったんです。

――完全にそこで影響を受けたんですね。

前島 そうですね。経歴だけ見るとあちこち行ってる人に見えますが、私の中で一貫した流れがあるんです(笑)。

上司の「失敗しないでね」に込められた重み

――ITコンサルタントとしては、どういったお仕事を?

前島 新卒1年目は下っ端なので、まずは雑務やデモ環境の準備をしていました。しかしそればかりではなく、取引をするお客さんは日本を代表するような大きい会社さんが多かったのですが、早い段階からクライアント先に行かせてもらえたり、そういう機会も結構多かったですね。

3年目からはプロジェクトリーダーとして、大手クライアントの貿易管理システムを担当させてもらえたり。主にパートナー企業のエンジニアの工数管理、お客さんからの機能要望に対し提案・設計したりという仕事をしていました。

印象に残っているのは、辞める前に担当した大手メーカーさんの貿易管理システムでした。3年目の仕事としてはかなり大きい案件を持たせてもらえましたね。

リリース失敗してシステムが止まると、その会社さんの貿易自体が止まり、決算に響くような損失を出しかねないので、当時の部長から「失敗しないでね」って念押しされたのが今でも頭から離れないんです(笑)。

――恐ろしい(笑)。もし失敗していたら……。

前島 「某メーカーの貿易が、システムトラブルで止まった」っていうニュースが、間違いなく日経新聞で出たでしょうね(笑)。損失規模はこのくらい、だとか。システム自体はクライアントのものなので、損害賠償の責任が具体的にどうなるのかまではわかりませんが、とはいえ直接のきっかけはリリースの失敗ですし、そこはこちらの責任ですよね。そういう諸々の意味が、「失敗しないでね」の一言に込められています(笑)。

あとは、小さい失敗ですけど、デモ環境をお客さんのところに行く前に全部壊してしまったりとか。先輩社員たちがプレゼンで見せにいくときに、システムのデモ画面とかを見せて、実際に動く様子を見せたりするんですね。その環境を、直前でちょっと直そうと思ったんです。そうしたら、環境ごと壊しちゃって。今思い返してみると怖いエピソードしかないですね(笑)。

「創る人」を増やしていきたい

――MUGENUPさんに入社を決めた経緯は、どういうものでしたか?

前島 接点は、エージェントからですね。非公開求人で「特別オファーが来たんですけど、どうですか?」って言われて。1次面接から代表の伊藤と面接し、2次面接も代表の伊藤と面接し(笑)。

――両方とも代表の方なんですね(笑)。

前島 1次面接は伊藤と人事部長、2次面接が代表と1対1、3次面接は代表以外の取締役2人と面接、最後は飲み(笑)。「こんな感じのオファーだけどどう?」って聞かれて、受諾し、その後ハロウィンパーティーに参加(笑)という流れですね。

――MUGENUPさんに入ろう、と思った決定的な理由はありますか?

前島 弊社は、「創ることで生きる人を増やす」という経営理念を掲げています。サービスを見ても、それはクリエイターのことを指していることはわかりました。クリエイターの人たちが生きる世界をどんどん広げ、活性化させていくということに興味を持ちました。

個人個人が本業にとらわれず、自分のスキルを活かして、様々な働き方でキャリアを重ねていく。兼業や副業じゃなくても、すきま時間を活用して誰かにコンサルティングしていく、そのことでスキルを伸ばして本業にも活かしていく……そういう働き方の多様性は、これからどんどん増えていくと思ったんです。

MUGENUPは、クリエイターが完全に在宅で仕事ができる環境が整っているし、クラウドソーシングのシステムを作って今までなかったくらいに大量にイラストを生産できるようにもしています。

クリエイターの人たちに、いろいろなことを還元しているんですよね。これは、今までなかったことだなと思って。「創ることで生きる人を増やす」というミッションを実現しようとしている、というのは印象的でした。

――改めて伺って、本当に良い会社ですね。

前島 これからいろいろな作業が自動化され、効率化されていきます。それにしたがって、人の働き方ってどんどんクリエイティブ寄りになっていくと思うんです。

そうすると単純に絵を描くだけじゃなく、企画するとか、考える仕事が多くなってくるんですね。なので、そういう人たちが「これをどうやってお金に変えていこうか」と悩まなくてもすむよう、「とりあえずMUGENUPのサービスを使えば仕事が見つかる」「スキルを高めていける」という求人プラットフォームになるという画が見えたんです。

今はひたすら、MUGENUPを成長させたいんです

――この先やってみたいことは、どういうことですか?

前島 MUGENUPの事業を、もっと成長させていきたいです。それだけですね。自分に足りないことを伸ばしつつ、自分に何ができるかを常に考えてやっていきたいです。

――5年後、こういう人になっていたいというビジョンはありますか?

前島 例えば他社のCTOとかエンジニアリングマネージャーで、「あの人コミュニケーションできないよね、コミュニケーション能力がないよね」とかって結構言われたりするんですけど、そうはなりたくないなと思っています。

例えば自分は営業をしたことがないのですが、経験したことがない職種の知見を得るには、職種を変えるか、実績ある人とどんどん接するかだと思います。そういう社外の人に接する機会も、前職時代には結構作ることができました。経験のある人に会っていろいろな話を吸収し、知見を広げていきたいですね。

そして今はエンジニアをマネジメントする立場ですが、もう少し経営をわかるようになっていたいです。5年後の自分の姿としては、そういう部分でしょうか。

――業務を行なう上で大事にしているモットーや好きな言葉があれば教えてください。

前島 やっぱりユーザーさんを考える、ですね。何をやるにしても。必ず使ってくれるユーザーさんがいるので、その人たちが、どういう状況で何を考えてどう使うのかを考えながらシステムを作っていきたいと思っています。

――ご自身の成長のために日々行なっていることがあれば教えてください。

前島 読書くらいしかないですけど、さっきも言ったように、自分に不足しているところを補うために色んな人と会って、知見を吸収していくことですね。

――それでいうと、最近会った中で「この人面白い!」って人はいますか?

前島 知り合いの転職エージェント会社の社長です。日系大手企業で何度もMVPを取った人で、その後も大手外資企業で営業を経験してきた人です。何を考えて営業しているか、すごく勉強になって面白かったですね。

結局その人もユーザーのこと、目の前の相手のことだけを考えて、どうすればお客に満足していただけるか、課題を解決していけるかを徹底的にヒアリングしているだけだって言ってましたね。自分から売ろうとはしていない。コンサルタントとも似ていて、面白いなと思いました。

あとは、大学在学中で事業を売却して、何億円もキャッシュを手に入れた人とか。接していると面白いですね。なんで若い時にそこまで考えていたのかとか、今は何してるんだろうとか。

――たしかに。20代で億を手にした人って、人生二周目に入っている感ありますよね。

前島 そうですね。退屈しちゃうらしいんです。稼いだお金は何に活かそうってなった時に、多くの人に共通してるのは社会貢献なんですよね。寄付したり、売れない画家さんの絵を買ったり。

でも途中で「あれ、これサービスになるんじゃないか」と考えて、立ち上げて、またバイヤーを通したりとか。バイヤーとして実績があるのでお金が集まっちゃうんです。それでまたお金が入っちゃう(笑)。

他にもスタートアップに入って、そのスタートアップが上場して、ストックオプションが結構入っちゃって、それを投資に回して、気づいたら投資家になっていたり。そういう話を聞くと面白いですね。

――すごいですね。生まれ変わったらそうなりたい(笑)。

前島 運と巡り合わせが、いろいろ重なるんだなっていう感じですね。

一時の感情で、会社選びを失敗しないでほしい

――ここからは、前島さんが働く上で大切にしていることについて、「事業内容」「仲間」「会社愛」「お金」「専門性向上」「働き方自由度」の6つの項目から合計20点になるよう、点数を振り分けていただきます。

・事業内容:6

事業内容が面白かったり、社会を変えるインパクトがあるとか、何かしら意義のある事業内容じゃないとモチベーションが上がらないと思うんですよね。もちろんお金も大事なんですけど、年収として1,000万円をもらっても、つまらない仕事を何十年もやり続けられるかっていうと続かないと思うんですね。だから事業内容が1番大事かなと。

・仲間:5

一緒に働く仲間が優秀だというのは、すごく貴重だと思います。優秀な人って、世の中にそうそういないと思うんです。そういう人たちと一緒に働けるだけでも、すごい経験だなと思っていて。多少給料が下がっても、ベンチャーやスタートアップで優秀な仲間と共に働いてみるのはいいことなのかなと考えています。

・専門性向上:3

技術力の高さは大事だと思います。とはいえ、何かひとつめちゃくちゃできないことがあっても困るので、スキルの幅の広さは重要だと思いますが、やはりキャリアを重ねていくためには、自分の得意な領域を作っておいた方がいいですね。

例えば私だったらRubyが1番長いですし、インフラが得意な人がいたらプログラミングもやりつつインフラも向上させていくとか。

・会社愛:3

事業内容と同じで、会社に対しても情がないと楽しくないだろうなと思っています。事業内容はめちゃくちゃいいけど、この会社は嫌いっていうのなら、同じ事業やってる別の会社に行けばいいと思うので。

会社愛と事業内容は、本当に大事なところだと思います。会社がめっちゃ好きでも、事業内容が本当に意味のないものだったら続かないだろうなと思っているので。

――そう思いますし、事業内容に意味がないのに会社は好きって状態はちょっと考えにくいですよね。

そうなんですよ。きっと何か騙されたりとかしてて(笑)

・働き方自由度:2

やっぱり人間なので、例えば奥さん/旦那さんが重い病気になってしまったり、奥さんが出産を控えていたりするときに自由が利かないと、仕事のパフォーマンスに影響が出ますよね。そこを制度としてある程度用意してあげられる会社が重要なんじゃないかなと。

・お金:1

人生の中で自分がどのフェーズに立っているか次第だと思うんですが、20代だったら、そんなにお金を気にしないですよね。もっと自分の伸ばせるところを伸ばす、足りないところを補っていく、そういった自己投資できる場所を選択します。

――ありがとうございます。最後にキャリアに迷っているエンジニアの人に向けてメッセージをいただけますでしょうか。

前島 色んな思いがあってみんなエンジニアになったと思うんですけど、一時の感情だけで会社選びを失敗しないでほしいですね。「上司とそりが合わないから転職する」とか「こっちの方がお金がいいから」、といって転職に失敗したエンジニアさんはたくさんいます。

自分にも不足しているところはある、そこを補えていない、という自己分析は必要だと思います。その上で自分をもっと伸ばせる場所を選択してほしいですね。

事業内容も、成長性のない事業内容のところに飛び込んでもあまり成長しません。優秀な人も少ないですから。伸びていく市場をちゃんと見極めてほしいですね、それはエンジニアであっても。

――インタビューは以上となります。ありがとうございました。

<了>

ライター:澤山大輔


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