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「みんなもっと傲慢になればいいのに」金子純樹(KAYABUKI)〜Forkwell エンジニア成分研究所

江戸末期の古民家を改装したレストランです

――金子さんの、今の肩書きから伺えますか?

金子 「古民家レストランの技術顧問」が、一番近いかもしれないですね。技術的なアドバイスをする代わりに、住むところと食べ物をもらってる感じです。

――現物支給なんですね。

金子 そうなんです。報酬は現物でもらってます。

――面白いですね。現在の業務内容を、詳しくお伺いできれば幸いです。

金子 結構幅広くてですね。簡単なものだと、今製作中ですがHPを作ったり、通販も考えているので通販機能もHPに入れたりですね。

――お店の名前は「KAYABUKI」っておっしゃるんですね。すごく雰囲気がよくて、料理も美味しそうです。

金子 そうです。江戸末期に建てられた、茅葺き屋根の古民家を改装したレストランです。

――伺っていると、鮮やかな転身という感じがします。

金子 POSシステムの導入を提案したり、実際にAirレジを入れたり、顧客属性を分析したりもします。他にも、注文管理システムの導入をオーナーから提案されたんですが現在の規模だと必要ないというジャッジをしたり。

――そういう人が1人いたら、全然違いますよね。

金子 そうなんですよ。ITに詳しい人がいない地域なので。

――都心部からは離れたところなのですか?

金子 そうですね。1番近い都市が日田市なんですけど、そこからも車で2、30分ぐらいかかる場所です。

ただ、個人的に不便は感じてないですね。日田まで行っちゃえば久留米や天神までバスで1時間ちょっとで行けるので。車があれば、福岡や久留米にも通勤もできるんじゃないかなと思いますね。

――1度行ってみたいです。その中で、ここで仕事をしようと思われたきっかけってどのあたりなんですか?

金子 レストランのオーナーは、福岡市に住んでた頃からの友人なんです。当時の家の近くで、別の飲食店をやっていて。

彼が、中津市の方で新しい店舗を立ち上げたいとのことで。「田舎×最新のITを使って新しいことをやりたい」ということで、「家と食べるものをくれるなら力を貸します」という話をしたんです。

――それまでは、どこにいらっしゃったんですか?

金子 引っ越す前は、福岡市の天神に住んでいました。がっつり繁華街でしたね。

うちは家賃3万の「高級住宅」です(笑)。

――がっつり繁華街から、いきなり田舎に引っ越し。躊躇はなかったですか?

金子 なかったですね。引っ越す前からフルリモートで仕事をしていて、1番行くのは近場のコンビニ。他に福岡市内に用事があるかというと、月に何度もあるわけではなく。

今住んでいるところも歩いてすぐにローソンがあるし、道の駅や温泉も近くにあるんです。

――じゃあ、生活に支障はないんですね。

金子 むしろ、天神より温泉が近くなりましたね(笑)。しかも1回300円で入れちゃう。気分転換に風呂に入ることができるので、天神より快適に過ごしてると思います。

――伺った限りだと、すごくフィットしていそうですね。

金子 そうですね、アマゾンも届くし。基本的に原付で移動してるので、雨降った時に下行くのが面倒だなって思うぐらいですね。これといって不満はないです。

――田舎×ITというキーワードで、今後フックにしていきたいものはありますか?

金子 展望は、まだまだ練っている状況ですね。とはいえ田舎は生活費が安いですね、一軒家でも頑張れば家賃5,000円ぐらいからあります。

――5,000円! 雨漏りとか大丈夫なのか気になってしまいますが(笑)。

金子 多分住めると思いますよ。うちは家賃3万ぐらいの「高級住宅」です(笑)。

日本にも意外と、そういう場所はあるんですよ。食べ物ももらってるぐらいだし、生活費の安さを活かしたら起業はしやすいのかなと思います。

――技術をすでに持っていらっしゃるわけなので、いろいろな可能性がありますよね。

金子 維持費が安い分、有利にやれると思いますね。

古民家レストラン「kayabuki」

自衛隊で身につくスキルは、自衛隊でしか使えないんです

――これまでのご経歴を伺えればと思うのですが、Facebookに日本一周をされて、ニートをされて、それから航空自衛隊、福工短大、カラビナテクノロジーさん、Fusicさんと移られたと書いてありますね。

金子 レアキャラだろうなと思います。

――エンジニアリングにご興味を持たれたのはいつ頃からなんですか? 

金子 自衛隊を辞めるあたりですね。多分20歳ぐらい、2014年ぐらいのことだと思います。

――航空自衛隊ではどのようなことをされていたんですか? 

金子 航空自衛隊では「情報員」というのをやっていました。この世界の情報とは意味合いが違うんですけど、国内外の情報を集めて政府とかにいろいろ報告をしていくというお仕事をしていましたね。

――それはすぐに国家機密につながるような話ですね。

金子 そうなんですよ。あまり変なことは言えないという。

――自衛隊には何年いらっしゃったんですか? 

金子 3年ぐらいですね。

――民間に戻ろうと思ったきっかけって、どのあたりだったんですか? 

金子 自衛隊にいた時に身につくスキルというのは、自衛隊でしか使えないものなんですね。他の会社に行ったら白紙状態だし、他の部隊に行ったらやり直し状態になる。そういう状態だと、漠然とした不安があってですね。

自衛隊というのは国家公務員なので、安定していると言えば安定しているんですけど、個人として安定感を感じられなかったんです。だから、やめようと思ったんですよね。

――その際に、「スキルを身につけるとしたらエンジニアリングだ」と思われたんですね。

金子 そうですね。エンジニアリングは個人に紐づくスキルばかりだと思っているので。実際、Fusicから今の会社に移っても特にギャップもなく働けているので、当時の考え方は間違っていなかったなと思います。

覚悟を決めて、数学を思い切り勉強しました。

――前職Fusicさんでは、どういうことをやられていたんですか? 

金子 Fusicはウェブシステムの受託開発がメインでした。僕は主にウェブアプリケーション開発を得意としていました。システムにビジネスロジックを組み込んたりするところですね。逆に、インフラを触ったりUIデザインをしたりとかはあまりしませんでした。

――前職の経験で活きたところってありますか? 

金子 受託開発だったので、要件定義からリリース、そのあと運用というサイクルを何周も経験できたのはいい経験になりました。今の仕事がなんとかこなせているのも、この経験値の影響が大きいです。自社サービスにしか関わっていないと、追加開発や保守しかした事のないエンジニアもいると聞くので、キャリアのどこかで受託開発をしてみるのはいい選択なんじゃないんでしょうか。 

――機械学習の知見は、独学とカラビナさんでのご経験というのが大きかったんですかね? 

金子 そうですね。

――じゃあほぼ独学で講師ができる状態になったということなんですね。

金子 なんとか運が良くそうですね。

――どのぐらい機械学習については勉強されたんですか? 

金子 勉強を始めたのは短大時代でした。元々はAIをやろうと思っていたわけではなかったんですが、「公務員を辞めて短大に行く」というのは覚悟のいることなので。さすがに数学ぐらいちゃんとやろうと思って、覚悟を決めて思い切り勉強しました。

入学して3ヶ月ぐらいは、授業以外はずっと勉強していた気がしますね。書いたルーズリーフを積み上げていたんですけど、結構な高さに行きました。辞書何冊も積み上げるぐらい。なんとか線形代数とか微分・積分とかまで到達して、「数学って面白いな」と思って。それを使って何か仕事できるかなと思ってた時に、ディープラーニングブームが起こったんです。

――今も機械学習のお仕事ということなので携わっているとは思うんですけど、他にも日々ずっと勉強されてはいるんですか? 

金子 そうですね、最近はシステムの設計とかビジネス書を読んでいることの方が多いですね。機械学習の知識は普通にアップデートするぐらいで。今システムの開発の方がメインで、機械学習のモデルを作ったりというのはまだやってないですから。

――これからエンジニアに入られて機械学習のフェーズに移られたらいよいよ本領発揮みたいな感じなんですね。

金子 そうですね。そこで真価が試されます。

近所の日本庭園

「やります」と言ってから勉強することは、結構ありますね。

――業務を行う上で大事にしているモットーや好きな言葉を教えてください。

金子 傲慢ですかね。僕自身が大事な決断をするときは、傲慢に決めているんですよね。根拠なく自信マックスの状態で決めるようにしているので。だって、何か正常なリスク判断をする人だったら公務員辞めないじゃないですか。

「コミュニティを主催してみないか」と言われたらとりあえずやってみる。機械学習の講師もそんなに経験を積んでいるわけではないですけど、請われたらやってみる。

冷静な人はやらないと思うんですけど、僕はとりあえずやってみるんです。結構、傲慢に決断することがあります。

――それは本当に素晴らしいと思いますし、個人的には傲慢だとは思わないですね。むしろ、正しいリスクの取り方だと思います。

金子 みんなもっと傲慢になった方が良いのになと思いますけどね。

――できると言っちゃって、後から勉強しまくるというのが今までの人生でもかなり有効でしたね。

金子 僕も「やります」と言ってから勉強することは、結構ありますね。

――ご自身の成長のために日々行なっていることを教えてください。

金子 今はインプットの量を増やすようにしています。特に書籍ですね。技術的なものも読むし、他の分野も節操なく読むようにはしています。

具体的なPHPの本とか、具体的なフレームワークとかツールとかじゃなくて、システムの設定とかあとは組織の作り方とかもうちょっと抽象的なハイレイヤーなところを好んでインプットしていますね。

他はコンピューターの歴史を取り扱っている本を読んだり、あとはマーケティングの歴史とか会計の歴史とかを時系列でインプットして行くのを最近は好んでますね。

――最近この本役に立ったなというのを一冊あげるとしたら何がありますか? 

金子 吉川英治の三国志ですかね。自衛隊の頃に読んだんですけど、人がバシバシ死んで行くんですよね、時代柄もあって。それを顧みて今の自分の状況を見ると「大失敗しても殺されることはない」と。失敗しても、破産するぐらいなので。僕の傲慢を支えている原動力にはなっているんじゃないかなと。世界が荒れていた頃の小説とかは結構好きですね。

いつか、人類の失業率を100パーセントにしたい。

――ここからは、金子さんが働く上で大切にしていることについて、「事業内容」「仲間」「会社愛」「お金」「専門性向上」「働き方自由度」の6つの項目から合計20点になるよう、点数を振り分けていただきます。

・専門性向上:2

技術は、手段の1つだと思っているので。今の会社で価値を出さないといけないですけど、手を動かして貢献するのはあくまで一端でしかないと思っていて。ここを専門に、自分の能力を高めたいと思考しているわけではないですね。

・仲間:4

仕事とかで関わる人って家族より関わる時間が長い人たちなので、その人たちと仲良くうまくやっていけるかというのは人生のすごい大事な要素だなと思っています。

・お金:5

お金だけが5だとがめついやつだと思われそうですけど、そういうわけではなくて。「野垂れ死ぬことはない」という安心感がないと、今日の予定を自主的に決めることもできないと思っているんですね。そのためにお金は必要かなと思っています。

・事業内容:4

僕には1個大きな夢があって、人類の失業率100パーセントにしたいんです。そのためにAIとか機械学習は貢献している分野だと思うので、夢に繋がりそうな事業をやっていくというのは重視していますね。

――100パーセントということは金子さんも職を失うというか、働かなくてもよくするということですよね? 

金子 そうですね。

――労働がない世界を実現したいと。

金子 みんな趣味でやりたいことをやれば良いと思います。

・働き方自由度:4

これは自由度が高い状態に慣れちゃったというのが大きいんですけど、Fusicの時もフルフレックスでリモートもたまに可って感じで。今はフルリモートになったので、オフィスに出勤するってもう無理なんですよね。オフィスに出勤するというのは権利であってほしいので。オフィスに絶対行かなきゃいけない、何時から何時まで絶対に席にいないといけないとかいう会社では働けない身体になっちゃったなと思います。

・会社愛:1

普段僕が生活していて、会社という単位を意識することは特になくて。事業内容と仲間を重視していて、別に会社という箱は意識していないという感じですね。

――今の会社がどうこうというわけではなくて、会社という単位がピンとこなくなっているみたいな。

金子 そうですね。

――最後にキャリアに迷っているエンジニアの方に向けてメッセージをいただけますでしょうか? 

金子 迷っているならやってみれば良いんじゃないですか、死にはしないんだし。死ににくい時代に生きているんだから、リスクが大きい方に賭けた方が期待値が高くなると思うので。不安定な方に賭けてみれば良いんじゃないですかね。

――おっしゃる通りですね。死にやしないですもんね。

金子 そういう時代なので大丈夫だと思いますよね。

――そういう考え方って昔からそうなんですか? それとも三国志の影響が大きいんですか? 

金子 一度自衛隊という公務員を選んでいるあたりからしてどこかで中身が変わったんでしょうね。当時は大した考えもなく安定しそうだからという考えで多分公務員になっていると思うので。そこからすると中の人変わるぐらいの変化が起こっているんだと思います。

――自衛隊を辞めるというぐらいから、金子さんの今のパーソナリティはかなり形成されたという感じなんですね。

金子 そうですね。自衛隊を辞めるという決断は、人生をかなり左右したんでしょうね。

<了>

ライター:澤山大輔


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