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モダンさと泥臭ささ、両方必要な環境です。蛭田慎也(neuet株式会社)【後編】

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福岡市で人気を博している、「メルチャリ」というシェアサイクルサービス。そのサービス展開・開発を担っているのが、neuet(ニュート)株式会社です。

スマホで決済し、さっと乗ってパッと移動できる。電車やバスが走っていなかった場所にも、スムーズに移動できる。人が新しいルートで移動するということは、「発見」される場所も増え、ひいては街の活性化に繋がる……夢が広がるサービスです。

そんなサービスをイチから立ち上げ軌道に乗せてきたのが、エンジニアの蛭田慎也さんです。後編では蛭田さんが働く上で大事にしていること、日々努力していることなどを中心に伺いました。 

心身の健康を考え、クラヴマガをやっています

――働く上で、蛭田さんが大事にしていることを教えてください。

蛭田 難しい質問ですね。やっぱりお客さんが最終的に使うモノなので、どう使われるのか、を常に意識して設計することですね。バックエンドエンジニアとしてもサーバ側だけを最適なものにするのではなく、カスタマーサポートも運営のクルーも、まるっと込みで考えた上で作る。それを気を付けるようにしています。

――業務を行う上で大事にしているモットーや好きな言葉を教えてください。

蛭田 「サービスを作れば良い」ではなく、ちゃんと品質を高く作ることですかね。

品質といっても、大まかには外部品質と内部品質とに分けて考えられますが、エンジニアリング的には内部品質を特に気をつけています。テストコードをきちんと書いていくとか、コードレビューによって保守性の低いコードが混ざらないようにしたりとか、そういう事で日々のリリースの速度が速くなったりバグが出にくくなるので。

最初はちょっと面倒くさいんですけど、それが後々のスピードの加速に繋がっていく部分はあります。そういう所は気にしています。

――ありがとうございます。続きまして、ご自身の成長の為に日々行っている事を教えてください。

蛭田 成長もいろいろあると思うんですけど、心身の健康が一番大事だと思っていて。メンタルがやられちゃうと、どれだけ頑張ろうとしても仕事ができなくなってしまう。肉体的にも精神的にも両輪で強くしていかないとな、とすごく感じているので、趣味でやっているのがクラヴマガです。

――近接格闘術ですよね、イスラエルの。いろいろ変わったトレーニングとかあると聞いています。

蛭田 ありますね。この前はイスラエル国防軍の教官だった方が日本に来てくれて、土日に10時間くらい本格的な訓練をやりました。格闘技ではなく、護身術として。例えば襲われたらとりあえず逃げて家に生きて帰るのが一番の成功なので、攻撃とかも格闘技で言う反則技はないんです。

相手の急所を狙うとか、防御と同時に攻撃するとか。シンプルかつアグレッシブな動きで、誰でもすぐに習得できる、が基準としてあるんですね。そこは、実はエンジニアリングとも繋がっているなと思って。

――どういう所が繋がっていると思いますか?

蛭田 難しい型をひたすら練習しても、実践では使えないじゃないですか。目的を達成するために最短・最適で習得が早いやり方を常に意識してやること。あとは、絶対に諦めないこと。「絶対に止まるな」と言われるんです。どう考えても絶対に詰みの状況から始まるんですよね、目隠しをして突然後ろから首を絞められたり。

――精神力を鍛える上でも、すごいトレーニングですね。

蛭田 バックエンドの仕事をしていても「これ、終わったな……」みたいな障害とかがあるじゃないですか。そういうときに何とかする力って大事で。どうやってリカバーするのか、傷を最低限に抑えつつ生きて帰るにはどうするか、そういうチカラは意外と実務でも求められていると思いますね。

嵐の中、全員で鍵の全台検査をしました

――「良い仕事をしたな」「エンジニアとして一皮剥けたな」と感じる瞬間はどんな時がありますか?

蛭田 メルチャリも最初はカオスな状況だったんですけど、何とか形にしてリリースすることができました。そこはうまく行ったな、と思った瞬間ではあります。でも、完成度としてはダメダメだったので、継続して改善して、ちょっとずつお客さんに使ってもらえるようになりました。すごく頑張らなくてもちゃんと回るようになったとき、「良かったな」という感触はありましたね。

――蛭田さんは、1年くらいお1人でやられていたそうですね。これだけのプロジェクトのサーバ周りを。すごい精神力ですよね。

蛭田 そうですね、一応メルカリ社内にいたので人には聞けるんですけど、メルチャリチームとしては長らく1人でやっていました。

一時期、2代目となる鍵を開発するというプロジェクトがあって。それで、開発や製造に関しては中国の会社とやり取りをしなければいけなかったんですね。

自転車のロットって、中国のスケールと比べると全然少なかったんです。中国だと10万台とか100万台の生産が当たり前の中、「1,000台作ってくれ」と言ったら少なすぎて相手にしてくれないという状況から始まって。

そこから何度も中国に出張に行って、上海とか北京とか深センで現地のエンジニアとやり取りし、現地の社長と毎晩飲みに行って。バブル期の日本みたいな、飲まないと仕事が成り立たない状態で4軒目まで連れまわされて、朝3時までずっと飲んだり(笑)。

基本は中国語しか通じないので、通訳の方がいないときは身振り手振りGoogle翻訳で頑張って、何とか受注してもらえました。2代目の鍵は、初代よりも多くの点で改善することができました。

――鍵の取り付けは、ご自身でやられたんですか?

蛭田 いえ、取り付けは中国でやっていただいたのですが、博多の港まで持ってきてからはチーム全員で全台検査をやりました。小学校跡地の校庭だったところにバーッとチャリを並べて、メンバー全員で博多に行って、一つひとつ開け閉めテストをやりました。嵐の中、朝から晩まで。 

――嵐の中!

蛭田 鍵の充電も必要だったので、校庭に電気をひいて、ひたすらACアダプタで充電ケーブルを伸ばして。雨が降っていたからビニールシートを買って、被せて、はがして、というのをやっていました。2018年12月から2019年1月にかけて全部やって、それで鍵を2代目に取り換えました。

――すごいですね、青春っぽいし、ちょっと学園祭チックですよね。

何が起きても柔軟にチャレンジできる人に来てもらいたい

――エンジニア人生で感謝を伝えたい人はいますか?

蛭田 感謝したい人……そうですね、鶴岡さんという元ソウゾウのエンジニアで、最初のメルチャリのサーバサイドの基礎を作ってくれた方です。メンターとして、頼れるお兄さんという感じです。結婚式の主賓のあいさつもして頂くくらいお世話になりました。実務でも、エンジニアとしての生き方としても、すごく尊敬しています。

――特に印象に残っている発言はありますか?

蛭田 言葉というより行動ですね。その方はバックエンドがメインなのでそこでの作り方とか、ご自身でも会社をやったりいろいろなサービスを開発してうまく行った経験がありました。それで、どう作ればうまくいくか、今後拡張していける形でどう作るべきか、みたいな部分をコードや組織づくりで見せてくれましたね。

――最後になりますが、こんな人と一緒に働きたい、という人はどんな人か教えてください。

蛭田 メルチャリは泥臭くて、一筋縄ではいかない所も多いです。「何があってもやっていける」という気持ちがある人、柔軟な気持ちでチャレンジできる人、それが楽しいと思える人と働いていきたいと思います。

――この仕事では、どんなスキルが得られますか?

蛭田 やはり「街中で、かつお客さまが自由に使って移動するIoT」ってコントロールの効かない領域が多くて。そういう部分の難しさは経験できますし、今後そういうところが解決できると強みになっていくのではないかな、と思います。

文化としても、メルカリから引き継いだプロダクト中心の考え方や、オープンなコミュニケーションスタイルが根付いています。開発環境もモダンな構成になっているのですが、ハードウェアがあって、ロジスティックもあるので、モダンさと泥臭さの両方を結構な水準で持っていないと成功できないです。求められる技術の水準は、どんどん引き上がっていく気はしますね。

――伺っていて、他の会社とは全く違う経験が出来るだろう、と思いました。ありがとうございました。

<了>

ライター:澤山大輔


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