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「主催者は、つらいよ」 エンジニアコミュニティ座談会【1】

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エンジニアコミュニティが活況を呈している昨今。成長し続けるエンジニアを応援しているForkwellではコミュニティへのインタビューを通じ、コミュニティがより盛り上がるよう、お手伝いをさせていただいています。今回はコミュニティ主催者8名による「エンジニアコミュニティ座談会」を敢行し、全3回にまとめました。第1回ではコミュニティでの困った参加者を避ける方法や、集客、運営を続けるモチベーションをお話いただきました。

記事ではどのコミュニティなのか、発言者が誰なのか特定できないよう、会話の内容を再構成いたしております。同じ発言者に別の人格が混ざってますので、あくまで「そういった発言があった」程度に捉えてお読みください。

エンジニアコミュニティ座談会

第1回 「主催者は、つらいよ」エンジニアコミュニティ座談会【1】
第2回 「責任を持つのは懇親会まで」 エンジニアコミュニティ座談会【2】
第3回 「発表内容以外ぜんぶ、誰かに任せたい!」エンジニアコミュニティ座談会【3】

インタビュアー:Forkwell 事業責任者 赤川朗(@akira_akagawa

「お寿司のネタだけを抜き取る」困った参加者の撃退法

――コミュニティ主催者にはいろいろ大変なことがあると思います。パッと思いつくのは、どんなことがありますか?

主催者A まずは場所取りですよね。ある程度の規模になると、1カ月前からおさえなきゃいけなかったりします。あと、よくあるのが「寿司を頼んだら、寿司ネタだけ取るやつ」とか。

――なんですか、それ?(笑)

主催者B 割と有名なやつですね。

主催者A まんまです、懇親会で出る寿司を、ネタだけ取って食べてしまう人がいるんです(笑)

――シャリだけ残すと。今でも現れるんですか? 

主催者C いるといううわさは聞きます。有名な人だとマークされていて、ニックネームが付いてたり(笑)。

主催者A そのあたりの情報は、他コミュニティとも共有したいですね(笑)。そういう笑えるものはいいのですが、マルチをやってる人が運営しているコミュニティもあるとか聞くので……。

主催者B あー、いるみたいですね。マルチを排除できるかは僕らには厳しいですけど、寿司だけ食べて帰る人は参加費500円取ったら来なくなりますから(笑)。そういう意味でも、懇親会費はちゃんと取ったほうがいいですね。

主催者A ウチも懇親会費は無料にしていないです。ただ、ギリギリまで参加人数が見えないので、どのくらい頼めばいいか確定しないんですよね。「だいたいこれぐらい増減するだろう」と経験則で予測して注文してます。

主催者C それでいうとウチは最終的にお酒を巻き取ってくれる会場を選んでます。余ったやつを喜んで引き取ってくれる会場があるんです。それなら多めに発注がかけられるので。

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参加費無料だと、キャンセル率が50パーセントになった

――皆さん、スポンサー費は取られてますか?

主催者A 今年から取り始めました。ただ、スポットでやるのは基本的にNGですね。勉強会の時間自体、平日夜の19時から21時までとか、限られた時間しかない。その中での5分ってかなり貴重なんですよね。

主催者B もちろんスポンサードしていただくわけなんですけど、正直その5分も時間を割きたくないというか。

ですので、スポットで5分喋っていただくというよりは、Forkwellさんが現在やってくださってる「年間支援する代わりに、スポンサー会社の方は何人か無料」みたいな形のほうがWIN-WINかなと思います。

主催者C 話を寿司のほうに(笑)戻すと、ウチも懇親会費だけは取ってますね。1,000円ですけど。無料だとキャンセル率は高くなるし、本当に来たい人が来られないんですよね。

補欠で並んでる人が来られない、当日キャンセルが増えるみたいなのはよくないので、事前決済で1,000円いただいてます。それで、うまく回ってるかなと。

主催者B それありますね、無料だとキャンセル率が50パーセントまでいったことがあって。

主催者A ウチも毎回無断キャンセル、無断欠席に頭を悩ませてます。最近、経験則で「だいたいこれぐらいキャンセルが入るぞ」とわかるようになってきてはいるんですが。

「雨かどうかで全然変わる」

――当日の天気でも左右されたりしますか?

主催者B します、します。雨かどうかで全然変わる。

主催者C ウチは加えて、ライブラリそのものが軽いので、話すネタが少なくなるという悩みがありますね。登壇依頼ができる方はいるんですけど、内容がカブりがちで。悩みどころです。

主催者A そこはウチは割と工夫してるかも。来てもらってLTしてもらうのではなく、テーマを選んでから喋ってもらう人を決める。

例えば「登壇を魅力的に見せるには」というテーマなら、アイスブレイクの入れ方や喋り方などに強い人を呼ぶとか。ペルソナを決めて、この人に刺さるだろうという形で作ってます。 

スピンオフ的イベントを立てて、継続率を維持

――そういえば皆さん、ゲストのアサインは自分たちで行なってるんですよね? 

主催者A そうですね、ウチは自力で行なってます。

主催者B ウチは、勝手に登壇してくれるのでラクです(笑)。「この言語を仕事で使ったらこういうことがありました」とか、「OSSをコントリビュートしたらこうでした」とか勝手に喋ってくれるんですよ。

――それは、connpassで募集をかけるんですか?

主催者C そうですね。だいたい2時間ぐらいで埋まります。

主催者A ウチは逆で、「いつ開催するか」を発表者の都合で優先して決めますね。調整さんを立てて、テーマについて発表したい人を募集して、その中で一番参加できる人が多い日程に決めて、そこから会場を探して。

主催者B それはSlackのコミュニティ内でやるんですか?

主催者A いや、オープンな場で立てます。Slackでやるのはテーマを決めるところだけですね。オープンな場で調整さんを公開して登壇者を募集し、決まったら会場を探して、connpassにイベントを立てる感じです。

――なるほど。それにしても、いろいろな勉強会を回っていると参加者の色が全然違って面白いですね。スーツをがっつり着込んでる人がメインの会もあれば、すごくラフな会もあって。

主催者C ウチはそれでいうと、スーツがメインかもしれません。昔はそうでもなかったんですけどね。ウチが取り上げているジャンルがちょうどビジネス的に注目されたこともあって、エンジニアっぽい人よりもスーツ寄りの人が多いなと(笑)。

ただ、出席した人からアドバイスをもらい、スピンオフ的なイベントを作った結果継続率を保てていたりします。

――なるほど、参加者からのフィードバックももらいつつ濃度を保つ工夫をされているんですね。

主催者C そうですね、僕らがやりたいこととは別に参加者の期待値もありますから。その差をすべて吸収するのは大変なので、各領域に寄せてやりたい人をピックアップして任せる、みたいなことはやります。それぞれで目的に沿った形で盛り上がりやすいし、今はこのやり方でうまく回ってるかと思います。

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「やっている側が楽しい」は、大事にしたい。

――コミュニティ運営を長年やると、やっぱり当初と趣旨が変わってくるケースもあるんですか?

主催者A そうですね、最初は20人ぐらい来ればいいやという気持ちで始めたコミュニティが、だんだん人数増えると「この人、勉強する気あるのかな?」みたいな人が混ざるケースはありますね。

主催者B 参加することが目的化してるというか。「期待したのと違ったけど、帰るのもめんどくさいから」ぐらいのモチベーションでその場にいる人もたまにいますね。

――なるほど……初めた時の目的は達成できていますか?学びの場としての機能はできているとか。

主催者A さすがに、そこの目的が達成できてなければモチベーションは続かないですけど(苦笑)。最初は1人でやっていたんですが、今は複数人で回せているので、そのおかげで大きくなった今でも全然やっていける部分はあります。

――幹事が増えることで、運営側としてのモチベーションにもバラつきが生まれるケースがあるみたいですが、そういうことはありませんか?

主催者A 今のところは大丈夫ですね。バックグラウンドが似ている人たちが多いので。

主催者B ウチも大丈夫ですね。やっぱり、コアで熱心に動く人って10名ぐらいしかいませんから(笑)。

――10名って多い方ではないですか?

主催者C 多いと思う。ウチもまあまあ人数多いですが、本体は僕ともう1人ぐらいですよ。手伝いたいって言ってくれる人はもちろんいますけど、そういう人はスピンオフを任せたりしますから。

――本体を任せないってのは、やっぱり「最初にやりたいこと」を守りたいからですか?

主催者B そうですね、やっぱり「やっている側が楽しい」ってのは大事にしたい

本体の部分に関しては、スタッフを集めたいとは思わないです。

主催者A あーすごいわかる。

主催者C ウチは5人ぐらいで、自分はそこまで主体的に関わってないですね。「勝手にやっていいよ」ぐらいで。他のメンバーがメインでやって、自分は当日「どうも」って感じで顔を出して、一緒に座ってるだけ(笑)。

――会長っぽい(笑)。

主催者C もともと、人と交流するのがそんなに好きじゃないから。お酒も飲めないです。当時、このライブラリのコミュニティが存在しなかったし、困ってる人が多いだろうと思って立ち上げたんですね。大きくなった今でもこのスタンスで回ってますから、いいのかなと。

さっきの話でいうと、分科会とか。勝手に他メンバーが立ち上げたミートアップができたり、別のコミュニティが立ち上がったりしてますけど、そこはもう好きにしてくれというか(笑)。

――ある意味、ご自身は役割を終えられた感もあったりしますか?

主催者C どちらかというと、「普通にやるのは飽きた」ですかね。ミートアップってライブ配信が公開されるし、ただ行く意味も見いだせないというか。普通じゃない場所で開催するとか、いろいろ仕掛けていきたいですね。

スタッフの人数が増えると、熱量は下がる?

主催者D 私のコミュニティのコアスタッフは、私ひとりです。当日、何人か手伝っていただけるんですけど。10人とか正直羨ましすぎ。企画から何から全部私がやるので、なかなか負担は大きいですね。

ーーテーマとか、毎回どう考えているんですか?

主催者D 基本的には、コミュニティの目的になっているライブラリを外したくない。そうすると、本当にテーマが絞られちゃうんですよね。なのでメインテーマだけはある程度自分で決めて、LT大会は趣向を変えて「何でもLT大会」にしたんです。

すると、ちょっと話題になりましたね。全然関係ないフレームワークの話をする方がいたり、自分のプロダクトを熱く語りたい方もいて。それはそれで盛り上がって、そういう工夫もしていかなきゃダメなんだろうなって思います。

ーーとはいえ、「辛いなあ」みたいなことは?

主催者D 辛いですね(一同笑)。正直、孤独感がヤバいです

コミュニティの前に「ライブラリ」が好き


ーー手伝いたい方はいらっしゃるんじゃないですか?

主催者D 何名かたまに手伝ってもらうことはありますけど、コアでやるのは私1人にしたいので。「結構しんどいな、」って気はしますね。

主催者A それ、続かなくなっちゃうやつじゃないですか。

主催者D このライブラリそのものが、好きすぎるので。そこがモチベーションになってます。コミュニティの前にライブラリが好き。

もう一個、別のフレームワークのコミュニティも入ってるんですけど、あっちも代表がフレームワークを好きすぎて。コアスタッフが5名くらいいるんですけど、代表の人が「やるぞ」って言ったら動きはじめるんですよね。

その人は頭キレキレなので、やる事もぱっぱと決まっていきます。ただ、やっぱり集客が悩ましいみたいですね。要は、あまり使われていないライブラリとかフレームワークなので。

主催者E ウチはコアスタッフが14人いるんですけど、やっぱり増えると増えた分だけ熱量が下がっちゃいますね

ここ2ヶ月くらい私が忙しくてあまり関われなかったんですけど、その間に企画しているものがあまり進んでなかったとか、「本来やるべきことって何だろう」という議論が議論のまま止まってたりとか、あとは方向性でちょっと揉めたりとか。増えたら増えた分、やりづらさも増すのかなと。

主催者C 会社と同じですよね。10人くらいの会社は仲良くやってるけど、50人、100人いるともはや顔を覚えてない人も出てくるし(笑)。

「仕事」ではない「コミュニティ活動」を続ける理由

――とはいえ会社と違って、みなさんに報酬は基本的にないじゃないですか。仕事としてやらされているわけではないのに、なぜそこまでやるんですか?

主催者A 「好きだから」以外にないですね(笑)。

主催者B 「ビジネスに結び付く」って考えてやってる人は、ゼロじゃないと思います。でもねぇ。

主催者C 自分はそんな好きかって言われると怪しいんですけど。

一同 (笑)

主催者C 好きで立ち上げたものが、そこそこデカくなったからやってるみたいなところはありますね。

――新しいことをやることは興味があるんですよね?

主催者C そうですね。せっかくユーザーグループというか、コミュニティを立ち上げたってところで大きくなったので。うまいこと、エンジニアにとってメリットがある形で新しいことをやっていけたら。自分は、そっちの方が楽しいですね。

主催者B 僕は、自分が勉強するためにやってますね。結局、締め切りが無いと論文を読まないみたいな(笑)。

最初は、本当にアカデミック系の論文を読もうと思って始めたんですよね。「真面目に勉強しよう、でも1人じゃこの教科書読まないよね」みたいなところから始まって。今もそこは基本一緒です。

ただ、今は発表する人が増えたので、枠が空いちゃった時だけ自分が手を挙げて発表してます。

――発表するのも自分のため?

主催者B そうですね。発表した方が勉強になるじゃないですか。論文読み込みにしても、「ここ、突っ込まれるよな」みたいなところは必死で理解して(笑)。そういうところでモチベーションを保ってますね。

へ続く>

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本サイト掲載の全て記事は、フォークウェル編集部が監修しています。編集部では、企画・執筆・編集・入稿の全工程をチェックしています。

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