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クラウド&インフラストラクチャ

2/3「企業に必要とされているインフラ技術とこれから」GMOペパボ株式会社 山下 和彦

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Forkwell が主催する技術イベント「Infra Study」。今回のテーマは「企業に必要とされているインフラ技術とこれからです」(開催日:2020年 8月31日)。第2部では「エンジニアは業務時間外で学べきか」を議題に、登壇者の山下さんの考えを紹介します。また山下さんが考えるインフラエンジニアの必須スキルも紹介します。

本レポートは全3部です。

1/3「企業に必要とされているインフラ技術とこれから」GMOペパボ株式会社 山下 和彦

3/3「企業に必要とされているインフラ技術とこれから」GMOペパボ株式会社 山下 和彦 × さくらインターネット研究所 松本 亮介

エンジニアは業務時間外で学べきか

ここから少し脱線します。この前 Twitter を見ていたら、エンジニアは業務時間外で学ぶべきか否かという話題が出てきました。

エンジニアとして働く以前に我々は人間である

僕は、エンジニアが業務時間外に勉強云々よりも「エンジニア以前に僕ら人間じゃん」と思っています。エンジニアの評価は優れた課題解決を実行できるエンジニアの方が、評価されやすい世の中だと思います。また絶対評価ではなく、組織に所属している以上は、大体の場合が相対評価です。

相対的に決まる理屈でいくと、たとえば隣にいる人が僕の10倍学習していたら、エンジニアとして出せるバリューも、おそらく彼の方が出ますし、結果的にバリューが大きい方が評価されるのは仕方ないと思います。

一方で、隣の人が10倍勉強してる時間に他のことをやるのは自分の自由だと思います。たとえばその間にキャンプや旅行に行くのも自由です。なので結果的にどちらが幸せかは、わからないと思います。

僕は「人が寝ている時間に勉強して、差をつけよう」といいます。人より研鑽すれば、より評価されて経済的に豊かになり、好きなものを食べたり、旅行したりできるので、業務時間外にインプット、アウトプットするのが僕のスタンスです。

この話題を考えた理由は、日常の業務から得られる成長の機会もありますが、それだけで成長するのは難しいからです。業務から受動的に受けるきっかけで結果を出すよりも、人が寝ている時間に何かに取り組んだほうがよい結果を出せるので、僕はこういうスタンスで生きています。

学ぶこと、インプット、アウトプットを続けるために

インプット、アウトプットしたり、学ぶことを継続するのは大変ですが、僕なりのコツがあります。

学び続ける努力

以前 Forkwell さんとイベントしたときに話した内容が、ログミーに掲載されているので、興味があれば読んでください。体系的に学ぶこと。余暇を作ること。自分を受け入れて、人を模倣することを話しました。

僕は鹿児島県出水市の企業でキャリアをスタートしました。当時は遊ぶ環境がなく、今みたいに技術イベントもオンラインではなかったので、ひたすら資格を取って体系的に勉強していました。21歳くらいのときに、「このままじゃ、俺はおもしろい大人になれないんじゃないか」と不安になり、大学に通信で通うことを決心しました。大学時代は経営情報学に進みましたが、経営や自分が興味のない領域を強制的に浴びせる手段として、大学に通いました。

継続するために必要な余暇に関してですが、ずっと張り詰めているとしんどくなるので、余暇を取る必要があります。僕は定期的に旅行や外食に行っていました。21歳くらいのときに鹿児島県から福岡県に出てきて、初めて遊ぶことを知りました。鹿児島県の僕が住んでいた地域は、レジャーがパチンコくらいしかなかったので、遊びを知りませんでした。福岡県に来ると、スポッチャや合コンもあるので、そこからうまく遊べるようになりました。

次も似たようなトピックですが、ずっと継続してやっていくとやる気が出ない日もあります。しかし、自分を嫌いになることなく、やる気が出ない日はゲームをするでもいいと思います。自分を受け入れて緩く継続していくことが大事なので、継続が止まるよりも、自分を受け入れた方がいいと思います。

よりよいアウトプットをしている人を模倣することについては、大体世のなかに自分が作ろうとしているものと似たものがあるので、コード設計で悩んだときは GitHub などでコード設計を学んでいます。また自分が優秀だと思う人が普段何をしているかを観察して、いい習慣だと思えば真似するようにしています。GitHub のアクティビティを見ると、継続的にアウトプットしていますし、ブログも継続的に書いてる方が多いので、僕も真似していきたいと思います。

最近あった話

インフラの変化に関して、僕自身にも最近あった話があります。柴田さんという Ruby のコミッターをされている方が僕の上司ですが、今年の年始ぐらいに「山下さん、これからはやっぱりデータエンジニアリングだと思うんですよね」といってきました。データを集めることや ML 、統計などの領域の技術も含めてデータエンジニアリングと、とらえてください。

変化は時に苦しい

僕は商業高校出身で、進学校で扱うような数学を習っていません。あたり前に使われている数学の知識を教育として受けてないことが、苦しかったです。

僕が読んだ本に『スケーラブルデータサイエンス』という本がありますが、このなかにでてくる数式で、何がわからないのかもわからなかったことが、とてもキツかったです。今まで味わったことない学びのキツさを今年になって初めて味わいました。

いまは YouTube で中学の基礎や高校数学から大学数学までわかりやすく解説している方がいます。それを見るだけで学びを深められるので、数学の基礎から体系的に学びました。学習がしやすくなったと感じましたが、やはり自分のバックグラウンドにないことをやるのはキツイなって思いましたね(笑)

自分の受け入れた変化がいつか、つながるかもしれない

僕はキツイなと思っても、余暇を作って、自分を受け入れながら取り組むことができました。キツイことでも、やっていくと未来の自分に何かつながると信じています。

データエンジニアリングやマシンラーニングをやりましたが、将来インフラレイヤーに何か適用できる可能性もありますし、将来 Linuxスケジューラーやプロセススケジューラーが MLベースのものになる可能性もあります。そういったときに何かを生み出すきっかけになると思うので、苦しい変化でしたが、いいきっかけだったと思います。

未来のことはわからないですし、何がハマるかわからないので、いま興味があることはやった方がいいと思います。

2020年の僕が今思う コードを書くということ

しばらくは変わらないと思っていることがあります。ズバリ、コードを書くことです。これはインフラエンジニアというよりもエンジニアとして、必須スキルだと思います。

今だと AWS や GCP 、 Azure など、何かマネージドサービスを組み合わせると、大体のものができてしまいまうので、誰にでもできてしまい、差がつきづらくなっています。差がつかないと、給料は上がりづらくなります。

自分の評価や所得の上げ方を考えたときに、他の人ができない価値を生む必要があります。そのデッドラインがコードを書くことだと思います。

AI が進歩すると仕事がなくなるみたいな話はよく聞くと思いますが、AI より先に、隣にいる優秀なプログラマーが書いたコードがあなたの仕事をなくすと思いますし、こちらのほうが近未来にくると思います。なので、コードを書くのが苦手であれば、インターネットにたくさんの教材があるので、学習していきましょう。

企業に必要とされるインフラ技術とは企業の課題を解決することである

今日のメインテーマである企業に必要とされるインフラ技術は、企業の課題を解決するインフラ技術です。その技術を扱う我々は、技術を行使して課題を解決することを生業とする職業であると述べました。

自分たちが使う技術も、絶えず変化しています。その変化に自分を追従させてアップデートすることが大事です。そしてアップデートしていくときに、必ず自分が所属している企業や共同体と方向性、もしくは利益の方向性を合わせて取り組んでいくことが、自分のモチベーションを保つことにもなりますし、キャリアの成功に重なって結果的に得るものが増えると思います。

変化し続けるのはとても苦しいし、大変なことですが、人それぞれハマるコツがあると思っていて、今回は僕自身がハマったコツを紹介しましたが、皆さん自身とは違うと思います。

僕の周りは体育会系の考え方が強いですが、そうでない方のほうが多いと思っていて、自分にハマる変化の仕方を探し続けるのがとても大事です。

そして何か習慣づけて取り組んでいくことができれば、将来に繋がって大きな価値を生めると信じているので、ぜひとも変化を楽しんで取り組んでほしいです。

Infra Study Meetupとは?

Forkwellは「成長し続けるエンジニアを支援する」をコンセプトに勉強会を開催しています。Infra Study Meetupは、インフラ技術の「これまで」と「これから」を網羅的に学ぶイベントです。インフラ技術の各分野に精通した講師を招いた講演や著名エンジニアによる発表を実施しています。

※注意事項

当記事に掲載されている全ての情報は、イベント実施日時点の情報であり、完全性、正確性、時間の経過、あるいは情報の使用に起因する結果について一切の責任を負わないものとします。

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フォークウェルプレス編集部

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山下 和彦(P山)
GMOペパボ株式会社

技術部 技術基盤チーム シニア・プリンシパル エンジニア