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2015.03.01 2023.12.14 約4分
最近ブームとなっているIT技術の中に、「人工知能(AI)」があります。皆さんも最近は耳にする機会が多いのではないでしょうか。またAIが発達した数十年後には、人間のおこなっている単純仕事がAIに奪われてしまうとも言われています。他にも自動運転の実現にAIが利用されているなど、私たちの生活と切っても切り離せない密接な関係になりつつあります。
今後急速な発達が予想されるAIを扱えるエンジニアの需要は非常に高く、AIエンジニアの求人は高年収であることが多いです。そこで高年収を得るためにAIエンジニアを目指す方も増えてきています。
では、実際に他のエンジニアと比べてどれくらいの年収をもらっているのでしょうか。今回は、これからAIエンジニアを目指して本格的に勉強する方へ向けて、AIエンジニアの年収について解説していきます。
結論からいうと、国内のAIエンジニアの年収は平均を大きく上回っています。
しかし、勤務場所によっても年収の差が生じる場合があるので詳しく解説していきましょう。
求人ボックスで掲載されている求人情報では、AIエンジニアの平均年収は601万円で、月給に換算すると50万円程度が相場です。ソフトウェア開発エンジニアの平均年収は499万円で、月給に換算すると42万円程度が相場となっているため、AIエンジニアの平均年収の方が100万円程度上回っています。このことからも、より高収入を目指したい方はAIエンジニアを目指すのがおすすめといえるでしょう。
AIエンジニアとして高収入を目指した場合、どこで働くかも重要です。平均年収が最も高いのは関東で、最も低い近畿と年収が90万以上の差があります。そもそも関東は生活費が高くつくこともあり、AIエンジニアに限らず他の職種でも平均給与は高いです。そのため、必ずしも年収が高いからという理由で勤務場所を選ぶべきではありません。なお他の地方都市と近畿では大きな差はないため、選ぶときの参考にしてください。
国内でも大手企業とされる「DeNA」では、AIエンジニアの採用に力を入れており1,000万円を超えることがあります。また新卒のAIエンジニアに最高で1,000万円の年収を提示するとされており、新卒の時点で1,000万円を達成できます。他の職種の新卒は年棒500万円をベースとしているためAIエンジニアに対する期待が見えます。
DeNAではAIエンジニアに、機械学習を活用して「どのような新たな価値ある体験提供ができるか」ということを、デザイナーやサービスエンジニアと一緒に設計・議論をおこなっていくことが求められています。また、その価値提供に必要な機械学習や深層学習を独自の研究開発で挑戦し実現していくことが重要視されています。
他にもヘルスケア領域で1,000万円以上を超える企業があります。ある企業では、ヘルスケア領域における人工知能系システムの研究解析をおこなっていくことが主な目的です。業務内容としては、クライアントとの対話を通してクライアントの課題を抽出・具体化し、人工知能エンジン解析結果に基づいた課題解決案を提案していくことです。提案内容の検討から運用環境の立ち上げまで、一連の業務を遂行していきます。AI分野の知見があるのはもちろん、医療分野に関しての知見も必須です。またクライアントの課題を抽出するために、相手のニーズを汲み取る力が必要になります。
これらの1,000万円を超える企業に共通していることは、単純に機械学習をプログラミングで実現できるだけではなく、機械学習を使うことでどういったことに活用していくのかを提案できるというスキルが求められているということです。
国 | 平均年収 |
---|---|
アメリカ | 約3,300万円~5,500万円 |
中国 | 約450万円~900万円 |
カナダ | 約900万円 |
イギリス | 約1,000万円 |
ここまで、国内でのAIエンジニアの年収をご紹介しました。実は海外のAIエンジニアは国内のAIエンジニアよりもさらに高年収となっています。上の表は主な海外の平均年収です。
アメリカのAIエンジニアは、平均年収が1,000万円を大きく上回っております。2017年10月時点で、博士号を取得したAIエンジニアの平均年収が約3,300万円~5,500万円となっています。IT先進国と言われているアメリカだけあって非常に高い年収です。またサンフランシスコに位置するシリコンバレーと呼ばれているIT大企業が集結している拠点では、新卒で2,000万円以上を提示する企業もあります。日本においては新卒で1,000万円台が最大となっているため、アメリカのAIエンジニアに対する需要の高さが伺えます。そして、現在アメリカでは日本と同様にAIエンジニアが不足している状況です。相応のスキルは求められますが、今後は需要の増加とともに年収も増加していくでしょう。
中国の平均年収は約450万円~900万円です。しかし、企業によってはかなりの高年収を提示している場合があります。中国企業である「ファーウェイ」では、2019年の新卒社員に対し最高年収3,000万円を提示しました。あくまでトップクラスの話にはなりますが、AIエンジニアはここまでの高年収を実現できる可能性があるのです。また経験を積んだチームリーダーの場合はおよそ2,250万円程度となっており、さらに高額な年収を得ることができます。
海外と日本の年収の差を見ると、約二倍以上も違っています。理由はさまざまありますが、これは日本の企業にまだまだ年功序列の風習が残っていることが原因の1つです。海外の場合、完全実力主義となっているため自分のスキルに応じた年収を実現できます。
しかし、実は日本でも徐々にAIエンジニアを取り巻く環境は変化しつつあります。ZOZOTOWNではAI人材に対して年収1億円を提示したり、文部省が2017年からIT人材育成に力を入れ出したりするなど、日本国内でもIT人材の育成に力を入れてきています。今後はIT人材に対する需要が高まり、平均年収も増加していくことが予想されます。
AIエンジニアが他のエンジニアと比べて高年収であることはお分かりいただけたでしょうか。では、なぜここまでの高年収となるのかを解説していきます。
一つ目の理由は、AIエンジニアの不足です。AIエンジニアは2017年の段階で必要数が100万人と言われていましたが、その時点で30万人しかいませんでした。その状況は現在も続いており、AIエンジニアの需要に供給が追いついていないのです。またAIエンジニアの育成をおこなっている機関も少なく、年に2万人程度しかAIエンジニアの供給ができていません。今後も需要の増加が予想されるため、AIエンジニアの希少性はより高まっていくでしょう。
二つ目の理由は、AIエンジニアに求められている知識の専門性が高いからです。1,000万円以上を超える高給の求人の場合、情報科学系の大学院などで学んだ修士や博士号取得者レベルを求めています。より専門的な知識を必要とするのがAIエンジニアです。そしてAIエンジニアと一言でいっても、多くの知識が必須となります。例えば、データを解析するための手法やそのデータを機械学習に生かすための手法といったように、多くの知識を組み合わせることでAIの実現がされるのです。
三つ目の理由は、実務経験を重視されるためです。AI分野は他の案件と比べてまだまだ少ないため、実務経験をしているエンジニアは少なくなっています。そのため、実務経験を重ねている人はそれなりの学力をもち年齢も重ねた人材が多いから年収が高くなっているのです。まずはAI関連のプロジェクトに何らかの形で参画し、そこでプロジェクト経験を積んでいくことがおすすめです。
AIエンジニアはエンジニアの中でも難易度が高いため、適切な方法で学習を進めて行く必要があります。大きく3つの観点で解説していきます。
まずはAIエンジニアの中でも、どの業務で携わっていきたいのかを決めましょう。AIエンジニアは大きく分けて、機械学習エンジニアとデータサイエンティストの2種類です。
機械学習はディープラーニングと呼ばれることもあり、蓄積されたデータから自動的に学習していくシステムです。私たちの身近なところだとYouTubeに利用されています。YouTubeでいくつか動画を見ると、その人の視聴傾向に応じておすすめの動画を提供しています。これはアカウントごとに視聴履歴としてデータを蓄積し、視聴した動画のジャンルからその人が見る傾向の高い動画を厳選してレコメンドしているのです。こういったレコメンドシステムは動画サービスだけではなく、楽天市場やYahooショッピングといった通販サイトでも利用されています。
データサイエンティストは、大量のデータを分析するのが主な業務です。最近注目されているビッグデータの活用には必須のポジションです。AIの実現のためには、何よりもデータが重要となります。このデータを解析するデータサイエンティストの需要も非常に高いです。
どちらとも将来性は非常に高いため、自分の関わっていきたい分野に応じて決めていきましょう。
AIエンジニアに必要なスキル |
python機械学習データ解析 |
AIエンジニアになるために必要なスキルは上記の3つです。まずはPythonのコーディングスキルを身に付けましょう。Pythonは文法がシンプルであることから、プログラミングの習得自体はそこまで難しくありません。Pythonを学習していく中で、機械学習に必要なライブラリも並行して学ぶ必要があります。ライブラリの活用なくしてAIエンジニアにはなれません。実際に自分でライブラリを組み込んだプログラムを作ることで理解度が深まるのでおすすめです。
またこういったプログラミングスキルだけではなく、機械学習に関する知見やデータ解析の知見が必要です。こういった知識は身に付けるのが難しく、研究職を目指す場合は大学院なども検討すると良いでしょう。また短期間で学ぶために講座を利用するのもおすすめです。
スキルを身に付けたらAIエンジニアの求人に申し込みましょう。現在エンジニアとして企業に勤めている方でも、その企業でAIエンジニアとしての業務があるとは限りません。そのため、転職をしてAIエンジニアとして入社した方が希望の業務に携わりやすいです。今までは転職に対してマイナスなイメージをもたれることが多くありましたが、最近は転職も一種のキャリアアップです。自分の携わりたい業務があるときは、転職に対して億劫にならずに検討するのも大切なことです。
また求人サイトによってはエンジニアを専門としてスカウトをおこなっているサイトがあります。こういった求人サイトの中でも「Forkwell」はエンジニアに特化した求人サイトとなっており非常におすすめです。Forkwellは、自分のスキルや実際に作ったプログラムをポートフォリオとしてサイト上に登録することができます。そしてその情報を見た企業から直接スカウトがくるような仕組みとなっています。こういったスキルやポートフォリオは他のエンジニア見ることができるため、エンジニア業界の中で自分のスキルレベルを客観的に知ることができます。AIエンジニアとして転職をしたい場合に利用してみてはいかがでしょうか。
AIエンジニアになるにあたっていくつか注意しておきたい点があります。事前に準備しておき、実際にその場面に直面しても対応できるようにしておきましょう。
専門性の高い知識を必要することから、独学でAIエンジニアを目指す場合に挫折しやすい傾向があります。AIエンジニアとして働きたい場合、企業で働く前にデータの解析や活用を実際に経験しておくと入社するときにアピールできます。こういった経験を業務以外でするためには、それ相応の環境を整えることが必要です。具体的には、Pythonでプログラミングをするためのエディタや実際に作ったプログラムを動かすためのサーバー、データを格納するためのデータベースなどさまざまです。これらを環境構築と呼びますが、これからAIエンジニアを目指す初心者の方にとっては難易度が高い内容となっています。
またAIエンジニアは多くの知識や技術が必要です。技術の移り変わりが速いため常にAIの最新状況を把握して新しい知識や技術を習得しなくてはなりません。独学で進めていると、長い準備期間中に「今のままで本当にAIエンジニアになれるのか」という不安からモチベーションの低下を招きやすいです。モチベーションを維持するためには、同じ目標を持つ仲間と切磋琢磨しながら進めるのがおすすめです。
今までエンジニアとして経験がある方は、未経験でAIエンジニアとして転職すると年収は下がるケースが多いです。エンジニアとしての経験はあってもAIエンジニアとしての経験がなければ、未経験として扱われてしまいます。こういった経験がない方は、年収が下がってしまうのを避けることはできせん。しかし、今後実績を積んでいけば希望の年収にたどり着くことは十分に可能なので、勉強会や自己投資を通してスキルを磨いて実務経験を重ねていくことが重要です。
最後に転職先を決めるときは、その企業ではAIをどういった業務内容に利用しているのかを確認しましょう。AIエンジニアと一言で言っても、どういった分野で使われるのか、主な業務内容はどういったものなのかが企業により異なります。入社してからのミスマッチを避けるためにも、自分がどういった分野で活躍していきたいのかを考えてから転職先を選ぶことが大切です。
今回は、これからAIエンジニアに向けて本格的に勉強する方に向けて、AIエンジニアの年収について解説してきました。
AIエンジニアは他のエンジニアと比べて高年収で需要が高いため、今後も年収は上がっていくと予想されます。また海外企業の場合はさらに高年収となっており、中には3,000万円以上となっているところもあるのです。
そしてAIエンジニアとして高年収を目指したいのであれば多くのスキルを必要とします。プログラミングスキルはもちろん、機械学習やデータ解析の知識も必須です。今回の記事を参考に、AIエンジニアになるための準備や必要なスキルを身に付け高年収を目指していきましょう。