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2020.03.12 2023.12.14 約3分
「一生に一度のかけがえのない人生の成功をサポートする」 をビジョンに掲げ、ヘルステックベンチャーとして存在感を着々と高めているFiNC Technologies。外部からは「完成した/しつつあるサービス」という見られ方をしながらも「全く完成されていない」と異を唱える執行役員 VPoEをメインにインタビューを実施しました。
――御社の事業概要について教えてください。
清水:弊社はヘルスケアとAIを掛け合わせることで健康に関連する課題の解決を目指すヘルステックベンチャーです。ヘルスケア/フィットネスアプリ「FiNC」や有料会員様向けのサブスクリプション、企業様や広告主様向けのtoBのサービス、EC、パーソナルジムなどマルチにヘルスケア関連のビジネスをやっています。
――その中で、清水さんの現在の業務内容について教えてください。
清水:僕はエンジニアのマネジメントですね。品質管理もしていますが、開発組織全体の品質改善やデリバリー改善、採用、チーム作りなど主にマネジメントをやっています。
――小林さんは、どのような業務内容になるんですか?
小林:僕はエンジニアリングマネージャー、特にサーバーサイドのエンジニアマネージャーを担当しています。
業務領域としてはエンジニア組織全体も見るのですが、プロダクト寄りのマネジメントです。設計やプロジェクトの開発プロセスを整えたり、メンバーのヒューマンマネジメント、チーム外の人達との調整などもやっています。
――清水さんは新卒でDeNAさんに入社、フルスタックのエンジニアとして活躍された後、5年前からFiNCに入られたと伺っています。FiNCに入られた経緯は、どういうものだったのですか?
清水:実は、FiNCの前に小さいスタートアップにいたのですが、ものづくりで周りの人たちの役に立つようなものを作りたい、チャレンジするなら大きいスケールでやりたい、良いチームでやりたい、という条件で見ていてFiNCに出会いました。
FiNCは誰も解決していない課題を解決しにいくところやビジョンなど、小さい会社ながらメンバーも良かったので「これはチャレンジしてみよう」と思って入社しました。
――今後、どういうことを成し遂げていきたいですか?
清水:プロダクトは、5年前と比べると知られるようになってきたので、LINEなどのサービスのように「みんなが使っている」状態に必ずしたいと思っています。
――同じ質問を小林さんにもさせて頂きたいのですが、前職は楽天で、2019年5月にFiNC に入社されたとのこと。大きな会社からベンチャーに入られた経緯は、どのようなものだったんですか?
小林:僕の場合は少し特殊で、前職は楽天でしたが、もともとは「フリル」というアプリを開発する会社にいました。当時からモチベーションとして「エンジニアの立場から会社をどう大きくさせていくか」にチャレンジしたいと思っていたので、楽天に吸収されてその文脈では意味がなくなってしまったんですね。
吸収された後の混乱をある程度収めた段階で、次のチャレンジをしようと思っていたタイミングでFiNCに出会いました。
――なるほど、「スタートアップを大きくしたい」というモチベーションはフリルさん以前からあったんですか?
小林:そうですね。もともとサイバーエージェント系列の子会社にいたんですが、そこで結構なヒットを飛ばすプロジェクトにリリース前から参加していて、組織を作っていくことや、一つのプロジェクトを成長させる経験を積むことができたので、次は会社の成長に寄与したいと思いました。
また、そこから視野を広げ、ユーザーのためになるようなサービスを作ろう、と思った経緯もあります。
前職はto CでECサイト色が強かったので、そことは違ったサービスを提供している点からFiNCで新しいことを始めてみようというのが一番強いですね。
――今後、FiNCでどういうことを成し遂げたいですか?
小林:当然、プロダクトが成功するというのが一番で、清水さんが言っていた「ヘルスケアと言ったらFiNC」というイメージを完全に定着させたいです。例えば今は「フリマアプリだとメルカリ」を想起する人が多いと思います。そのレベルまで認知度を上げるために最速で高いクオリティのプロダクトを出していける組織にしたいです。
――エンジニアリングの課題はありますか?
清水:課題はたくさんリストアップできますが、うちは事業が複数あるので普通のスタートアップよりも難易度の高い事を3つ、4つ同時にやっているような状況なんですね。そこで、デリバリーや品質の担保という部分で課題が出ていたので、どうにかしたいと思っています。エンジニアリングだけでなく全てがデリバリーや品質にかかわってくるので、重要な課題からいくつか注力してやってきたという感じです。
小林:どの会社でもそうだと思いますが、一番の課題に対して人が少なすぎる、という点です。当然、エンジニアも不足していますし、人数が増えたとしてもマネージャーも少ないです。
一歩間違えたら荒れかねない状態でもあるので、それをちゃんと収めるためにもエンジニアリングマネージャーが必要だし、エンジニア自体もたくさんほしい。それが、今の課題感ですね。
――なるほど、腕の立つエンジニアの方が何人いても仕事が不足する事は無い、という状態なんですね。
清水:基本的に事業がスケールし続けているので、同じメンバー、同じレベルだと不足してしまいますね。この規模感の会社で一番面白い所だと思いますけど、ギリギリでやっています(笑)。
小林:リーダーシップを取って進めてくれる人ですね。チームの中で主体的に声を上げて「これやります」とか「これ誰かやって下さい」と振り分けをしてくれる人がいるとすごく助かるなと思います。
――ある種、自走ができるというか。中途入社で既存のチームに入ってもマネジメントできるような。
小林:もともと、チームを作っていても自己組織化した組織、チームをたくさん作っていけるようになるのが良いと思っていて。そのためには自走していける人材が必要だと思います。
――清水さんのmediumの記事を拝見しました。「アウトプットファースト」を始めようと思った経緯は?
清水:エンジニアリング組織で僕が本格的にマネージャーをやる頃から「学んだことを発信したり共有したりするのがFiNCらしくて良い」、内部組織の強みにしたいなと思ったのが一つです。もう一つが、やっぱりエンジニアって学び続けないといけないし、ある程度キャリアと自分の仕事を重ね合わせないとモチベーションに繋がらないので、そういった意味でもアウトプットが出来ると自分の能力にも実績にもなるし、組織にも良い結果に繋がると思ったことです。これはFiNCとしてもみんなにとっても良いポイントになると思い重点的にしました。
――なるほど、結構外で講演だったり、QiitaであったりTwitterなどで発信する人は多かったんですね。
清水:そうですね。
――入社されて、チームの雰囲気づくりに課題感を感じていたとのことですが、入った時の雰囲気とそれをどういう風に変化させていったのですか?
小林:ちょっと言いにくい話なんですが、僕が入った当初、チームが割と最悪な状態でした。毎日の朝会の時に「いや、それは君の仕事でしょ」って企画とエンジニアが言い合っていることもありました。
まず、そこは直さないといけないと思いましたし、ゴール設定が出来ていない状態だったので全員の認識合わせをすること、あとは「なるべく助け合いましょうね」という空気感を作っていくことを心がけました。
やることがハッキリしていないことから、みんなが不安になって雰囲気が悪くなってしまっていたので、なるべく朝会が楽しく終わるように配慮しながら実施しました。最後の方はタスクが結構固まったので、何とかうまくまとまっていきました。
――マネジメントする上で特に大変だったのはどういうものですか?
小林:開発プロセスがきちんと固まっていない中で進行していたので、今までのやり方や考え方を変えていくというところから説明することに苦労しましたね。
――現在進行形で調整されている所はあったりするのですか?
小林:今まで作ってきたチームの開発プロセスはある程度、固まってきているので、あとは成果の可視化などをしっかりすれば良い形になると思います。
――FiNCでは、どのような経験を得ることができるのでしょうか。
清水:いくつかありますが、「まだ解決されていない大きな課題を、自分たちが考えて解決する」というチャレンジですね。まだまだ未解決なことはたくさんあるし、それらを僕らが必ず最初に解決する。それを一緒に楽しめることです。
FiNCは開発に対して「下りてきたものだけを作る」というよりは、もっとアクティブにコミュニケーションをとって、良いものを作り出していく開発スタイルですね。
スクラムなどのコミュニケーションを重視していますし、技術者もある程度のレベルです。一般的なものだとマイクロサービスや機械学習が得意なエンジニアもいますし、自分に無い要素や、自分が目指したい要素を持っているエンジニアと一緒に働けることにフィットして入ってくれる人が多いと思います。
――FiNCさんって、外から見ると中村アンさんをCMで起用したりと、ある程度「完成されたプロダクト」というイメージがあります。そういった所も変えていきたいと思ってらっしゃるのでしょうか。
清水:本題来ましたね(笑)。
小林:完成されているかと言うと、全然完成されていないです。やらないといけない事がある上に作りたい機能がたくさんあります。また、FiNCのミッションである「すべての人にパーソナルAIを」に関してはまだまだ実現できていないと思っています。
これからパーソナライズしたソリューションを提供することも、今まで積み重ねてきた負債も解消しなきゃいけないので、難しいフェーズだと思います。
さらに、マイクロサービス化しすぎて、サービスを作り過ぎたから統合しないといけないなど、チャレンジしたが故の反省点もあります。
清水:FiNCアプリは今は20〜30代女性に多く使って頂いているのですが、今後は男性や年齢層を広げていきたいです。まだまだ多くの方が利用できるプラットフォームとして不十分なので、これも課題です。
小林:そうですね。プラットフォーム化というのは結構重要なポイントで、外部と連携する時にいかにスピード感をもって追加していけるかが鍵なので、これから仕組みを作っていかないといけないと思っています。