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2020.06.17 2023.12.14 約3分
株式会社サーチライフと株式会社テクロコが合併して誕生したSO Technologies株式会社。
SOT執行役員兼プロダクトオーナーの和田氏、開発責任者の吉村氏に、同社が掲げるミッションに込められた思いや、お二方の中小企業に対する思いを中心に伺いました。
――SO Technologies株式会社(以下、SOT)は、ソウルドアウト株式会社の連結子会社である株式会社サーチライフと株式会社テクロコが合併し、2019年7月1日に誕生しました。
同社の主要プロダクトである運用型広告の統合管理ツール『ATOM』のプロダクトオーナーであり、開発およびマーケティングセールス統括である和田広大さんは、SOTのミッション「稼ぐ力をこの国のすみずみまで。」には、日本のあらゆる産業を支える中小企業への思いが込められていると語ります。
和田 日本にある中小企業の数はおよそ350万社、これは全企業数の99.7%にあたります。日本の産業を支えている中小企業を一社でも多く支援することを目指して誕生したのがSOTなんです。「稼ぐ力をこの国のすみずみまで。」をミッションに掲げていますが、基本的には中小企業支援の会社と思ってもらえれば。
和田 中小企業にとって一番の悩みは、自分たちだけでやっていてもなかなか売り上げが拡大していかないことだと思います。この課題に対してどのような支援ができるのか?僕らの専門領域であるデジタルマーケティング、特に集客にフォーカスしたプロダクト開発の実績で中小企業支援ができるんじゃないか?と。中小企業を自分たちの得意分野で支援していく、これはSOTの前身であるテクロコ・親会社のソウルドアウトから一貫して変わらないことです。
和田 もともとは新卒で横浜の鉄道会社に就職したのですが、リーマンショックの煽りを受けて父の会社が倒産したことをきっかけに転職を考えました。父は中小企業の経営者でしたが、今までに見たことがない心細そうな姿を見て、中小企業を支援したいと思うようになりました。
――SOT、そして『ATOM』で中小企業支援にフォーカスするのは事業面でも意味がある?
和田 SOTでは、中小企業をクライアントに持つ広告代理店の業務支援をおこなっています。そもそも日本の広告代理店は、電通、博報堂、デジタルだとサイバーエージェント、ほかにも大手が何社もあって、僕らがやらなくても他にやってくれる人たちがいっぱいいます。広告主側も大企業がほとんどなので、広告出稿に慣れていたり、専門の担当者やリテラシーが高い人たちが在籍しています。
でも中小企業は専門の担当者がいないことがほとんどだし、リテラシーも決して高いとはいえない。「中小企業支援」といいつつ、とりあえず一度出稿してもらう“焼畑農業”的なことをやっている企業もありますが、それでは支援になりませんよね。デジタルツールを使うことで広告代理店の業務が効率的になり、その先にいる中小企業が売り上げ拡大などの成果を出せる。そのために事業ドメインの真ん中に中小企業支援を置いています。
「中小企業支援」に並々ならぬ思いを抱いているのは和田さんだけではありません。大学職員からエンジニアへジョブチェンジという一風変わった経歴の持ち主である吉村卓生さんも「中小企業支援」というミッションに惹かれてSOTにジョイン。
吉村 新卒で大学職員になって所属したのが機械工学科でした。仕事でプログラムを使う機会が多かったので学校に通って Java を勉強していたんです。その学校の外部講師の方からスカウトされてエンジニアになりました。
2019年にSOTへ入社し、現在は『ATOM』の開発責任者を務めています。 前職はアドテクの会社で広告の効果計測やプライベート DMP、LINE の配信のサービスに携わっていました。
実は前職で技術的には割と最先端な仕事をしていたのでまったく転職する気はなかったんですが、やっぱり「中小企業支援」を理念として掲げていた点に惹かれました。
――「中小企業支援」というワードが目に付いたのはなぜでしょう?
吉村 以前、九州でお菓子の卸売会社の販売管理システムの受託開発をしており、直接クライアントのところに行って要件を聞き取ったり金額交渉をしていました。当時は中小企業の課題や現実、厳しさを感じる出来事はなかったのですが、直接お客さんの顔を見て、生の声をエンジニアリングに生かすことにものすごくやりがいを感じたんです。そもそも自分がエンジニアになったのも、人の役に立つものをつくりたい思いからです。
和田 広告代理店のビジネス構造って、いわゆる「労働集約型」なんですよね。多くの代理店がすべて人力で、社員一人が何社のクライアントを持てるかという構造でやっている。これには限界があるし、クライアントである中小企業にとっても効率が悪い。テクロコ設立時は、マーケティングツールを中小企業に広げていく方針でしたが、中小企業の一番の困りごとである「売り上げがなかなか伸びない」という課題に対しては、ツールの販売だけでなくネット広告にも事業展開したほうが効果的という結論に至ったんです。そこでSOTでは、中小企業のなかでも中小企業をクライアントに持つネット広告代理店をターゲットにビジネスを始めることになりました。
和田 僕と吉村がメインで関わる『ATOM』は、ネット広告を運用している代理店向けの業務効率化のツールです。広告代理店のビジネス構造は労働集約型のため、業界的に人手不足で、深夜残業・休日出勤も当たり前、旅行にもパソコンを持っていく環境です。 故に離職率が高い。そんな業界の構造を改善するために業務効率化ツール『ATOM』を提供しています。
ーー『ATOM』では、どのような業務が効率化できるのでしょう?
和田 一例を挙げると、広告代理店での成果レポート作成業務は生産性が悪くて負担になっているんです。広告成果を集計してレポートにまとめる基本は月次、週次業務なんですが、一人あたりの担当が増えれば増えるほどこの作業量が大きな負担になって、月初の1週間がこれだけで過ぎていったり、2徹、3徹してメンタルブレイクしていく事態が起きている。それを全部自動化して、レポートを自動生成するのが『ATOM』の一つの機能です。
――開発責任者である吉村さんは、どんな関わりを?
吉村 『ATOM』では、既存サービスと新規サービスの二つの開発チームが動いています。既存サービスは、新機能の追加開発、運用保守の開発のディレクションを、新規サービスのほうは、現在は要件を詰めている段階なのでプロダクトマネージャーやデザイナーと一緒に要件を詰めたり、スケジュール管理をすることが主な仕事になっています。部長業務としてエンジニアの目標設定だったりとか評価にも携わっています。
――『ATOM』の開発は「モダンな開発環境」にこだわっていると聞きました。SOTの目指す「モダンな開発環境」とはどういうことを指すのでしょう?
吉村 2019年に入社して最初に開発言語の選定をしました。元々はPHPを採用していましたが、現在は、サーバーサイドは Go、フロントエンドは Vue と TypeScript が標準になっています。インフラ面は AWS で運用していて、元々はEC2・RDS・S3など昔からあるサービスのみを利用していたのですが、現在はサーバーレスやコンテナを推進していて、ECS・Lambda・RDS、フロントは CloudFront と S3 の構成で開発を進めています。また、開発プロセスは Scrum を導入しており、タスクの透明度を上げることにより属人化を防ぎ、進捗や課題を可視化することで日々改善し、チームとしての成長を促しています。
――開発環境も重要ですが、吉村さんの部長としての業務にエンジニアの目標設定のお話があったように、働く環境、社内の雰囲気も重要です。
吉村 本当にそうですよね。個人的にも仕事をするうえで環境って大事だなと実感しています。エンジニアとして金融系のSEを長くやっていましたが、SIerで働いていると、どうしても技術的に閉鎖的な環境になってしまいます。もっとオープンな環境で、自分が成長できる仕事をしたいなと思ってWeb開発にシフトしていった経験があるので、エンジニア一人ひとりが成長できる環境を意識しています。
エンジニアは、ともするとプロセスや結果だけに目をやりがちです。どんなにすごい技術を使っていても、パフォーマンスがどんなに良くても、ユーザーが求めていたものと違うところに着地してしまっては目的を達成できません。
――巷では「ブリリアントジャーク(タチの悪い凄腕エンジニア)」のような仕事はできるけど、組織としては困ったエンジニアへの批判もありますよね。
吉村 長くエンジニアをやっていると、“難しい人”と一緒に仕事をする経験もありますよね(笑)。技術がバリバリで正論を言うんだけれど、周りにネガティブな影響を与えてしまう人は難しいですよね。技術だけじゃダメで、コミュニケーション能力もすごく大事になってくるのかなと思います。
和田 個人のパフォーマンスの問題ではなくて、チームとしての足場が揺らいでしまうので、ブリリアントジャーク的なエンジニアは弊社には必要ないと思っています。
――エンジニアの技術面での成長サポートというのは?吉村さん何かありますか?
吉村 技術的なアウトプットの部分は強化していきたいと思って取り組み始めています。社内での勉強会を定期的に開催したり、外部公開用のブログを書く時間を業務時間内に設けたり。アウトプットがないと、成長の指標がわからなくてなかなか成長が実感できないんですよね。「こういうことを習得した」「こんなことをやってます」という事例を定期的にアウトプットしていく癖をつけることで、成長の可視化ができると思っています。