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「稼ぐ力×エンジニア力で紡ぐ新規事業の可能性」双日株式会社

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世界50ヵ国で事業を展開する双日株式会社は、ニチメン、日商岩井をルーツに持つ総合商社だ。幅広い分野で事業を行う双日が、新規事業の開拓、市場に新しい価値を提供することをミッションとした新たなプロジェクトを立ち上げた。核となるのは自社プロダクト。成功の鍵を握るのは”エンジニアの力”だという。150年以上にわたって世界中の企業をサポートしてきた総合商社が目指す新たな可能性とは? 自動車本部でエンジニアリングマネージャーを務める高柳彰氏、プリンシパルエンジニアの李光氏に話を聞いた。

世界規模のビジネスに貢献するプロダクト開発

総合商社として幅広い分野で事業開発を行う双日のなかでも、自動車の卸売・組立と小売を中心に事業を行う自動車本部は事業展開30社超、グループ従業員4,000名超を誇る比較的大きな事業体だ。日本、アメリカはもちろん、成長市場であるアジア・ロシアNIS・ラテンアメリカでも多様なビジネスを展開する自動車本部が昨年から注力しているのが、自社プロダクトによる事業の推進と新規ビジネスの開発だ。「大きくは、ディーラー事業支援、新規サービス事業、toB向けシステム導入のプロジェクトが進行中なのですが、新規ビジネスの開発を手がける自動車第二課という専属部署の中で、プロダクトを自前で開発して商社の強みである”稼ぐ力”と、マーケットの裾野部分までをカバーする新たな事業の相乗効果を高めようという狙いがあります」

独特の商習慣を持つ自動車業界を変革

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自動車本部自動車第一部第二課の高柳彰エンジニアリングマネージャーは、新たな開発チームの取り組みについて、こう説明する。「自動車業界はビジネスの規模も大きく、歴史もあるため商習慣的に古いところがあります。しかし時代の変化とともに、すべてをオフラインで完結することは難しくなっている。『車を売る』というビジネス一つとってもITを活用すればまだまだ業務効率化の余地があります。」自動車本部では現在、国内における主力事業の一つである「ディーラー事業」のため業務支援ツールの開発や、双日の事業ネットワークを活用した新規プロダクトを開発中だ。商社である双日がプロダクト開発を始めるに当たっては、外部に委託するという選択肢もあった。これを内製で進めことこそが、今回のプロジェクトの意義深いところともいえる。「自動車業界のDX化を進めるに当たっては、当然、開発が要になります。これまでは、外注ベースで進めることも多かったのですが、今は内製で進める前提でチームのメンバーが集められています。内製化する理由についてはいろいろありますが、自動車本部がこのプロジェクトに継続的に、スピード感を持って取り組むことの表れだと思っています。」

プロジェクトの成否を握る「内製化」

開発を切り離す外注にももちろんメリットはある。しかし今回は、開発のスピード、クオリティコントロールの面で、プロジェクトスタート時から自社開発、内製を前提として話が進められたという。先行しているディーラー支援プロダクトの開発を見ても、ディーラーから上がってくる問題点、改善点をITの力で解決していく性質から、現場の声に耳を傾ける必要がある。内製化することでコミュニケーションコストを減らし、細かい改善を即座に反映できる環境を構築することができた。「現場から上がってくる細かい要望の全てを委託先に都度依頼していくと思うと、意思の疎通も心配ですし、スピードもかなり落ちてしまうでしょうね。そういう意味では、社内に手を動かせるエンジニアがいる状況は仕事が進めやすいです。」

5年前に来日、ゲーム畑を歩んできたエンジニアが総合商社へ

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開発の実務を担うプリンシパルエンジニアの李光氏は中国出身で、特にサーバーサイド開発やビッグデータの扱いを得意とする。昨年9月に双日に入社する前は、日中双方のゲーム会社などで開発に当たっていた。「関連会社共有のプラットフォームの構築や、業務にかかわるさまざまなデータを収集、分析するシステムなどを担当しています」キャリアの中で初めて「IT企業じゃない会社」で働くことになったという李氏。なぜ、総合商社である双日でエンジニアとして働こうと思ったのか?ここからは、李氏、高柳氏に質問をぶつける形で二人が担う業務について深掘りしていこう。

 双日が、私にとって初めての「IT企業じゃない会社」です。双日は、自分が入る少し前までエンジニアチームを社内に持っていなかったので、その部分については少し心配しているところもありました。でも、当初思っていた『商社』というイメージとは違って全然お堅い会社じゃなかった(笑)。大きな企業ですから、セキュリティの面とか、利用できるツールに制限があるとか、これまでと違うところはありますが、会社自体は思った以上に柔軟でエンジニアの働きやすい環境をつくろうとしてくれています」

高柳 私も李さんが入社する1カ月前にジョインしましたが、開発チームから提案ベースで開発を進めていける自由度は高いですね。

── コミュニケーションは取りやすい?

 入社前は自動車の知識などまったくなかったので心配していた面もありましたが、知識は後からついてきますし、営業のメンバーも話しやすいです。エンジニアと営業では考え方の違いもありますが、エンジニアの考え方を理解して、コミュニケーションを取ってくれているように感じます。あとは、日本に来てから勤務時間とか、待遇面などの労働環境に結構戸惑うこともあったのですが、双日ではそういう悩みは一切ないですね。

── 日本に来たのはいつですか?

 5年前に来て、1年間は日本語の勉強をして、そのあとゲーム開発会社に就職しました。

── なぜ日本に来ようと思ったんですか?

 子どもの頃から日本のゲームをして、アニメを見ていた影響があったので、日本に行ってみたいという気持ちがありました。

 技術でいえばプログラミングは世界共通言語なので、日本でも仕事ができると思って意外と軽い気持ちで(笑)。文化の違いとか、仕事のやり方の違いはあるだろうから勉強しなきゃいけない部分はあると思いましたが、技術の面で困ったことはなかったです。

既存事業にもITの力を!広がる可能性

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── 高柳さんは、なぜ双日に?

高柳 これまで、新卒で入社した業務系のERPパッケージを開発している会社で、会計周りのモジュールの企画から設計、開発テスト、オフショア開発の依頼などいろいろな業務を経験してきました。その後スタートアップも経験して技術に関しては幅広く身に付いて来たと感じていました。身に付けた技術を生かしつつ、ビジネスについての理解を深めたいと考え、総合商社である双日の求人に応募しました。正直、自分は開発を極めるというよりは幅広い経験・知識を得た上でそれを実業に活かしていきたいと思っていまして、ビジネスのプロフェッショナルが集まっている総合商社に入って、そこの知見を吸収しながらスキルを活かしていきたいと思いました。

── お二人が中心になっているエンジアチームでは、今後さらに新しい展開があるそうですが。

高柳 まずは現在進めているプロジェクトにでしっかり成果を出していくということになりますが、その中で現場からの要望等からどんどん話が広がっていく可能性はあります。進行中のプロダクトを形にしていければ、既存事業に対しての支援は自然とスケールしていくと思います。

 自動車業界では、 IoTを使ったユーザー情報の取得活用も進んでいきます。ビッグデータでみんなの生活が便利になっていくといいんじゃないかな と思っています。中国では IT 化が進んで、みんなの生活が便利になりました。日本でもそういうことが進んで、自分の力が生かせたらいいなと思っています。大企業の中でも新規事業に特化した部署で働く2人は、総合商社ならではの高いビジネス力をITの力を使ってさらに進化させる役割を担っている。開発チームは立ち上がったばかりで、エンジニア4人、デザイナー1名という体制だが、既存事業のネットワークを活用した、自動車を主軸とした複数のサービスを展開していく予定の自動車本部では、「すぐにでも拡充が必要」(高柳氏)という。今後もエンジニアが働きやすい環境を作り、チームを拡大していく同社の”エンジニアの力”が日本を代表する総合商社の可能性をさらに広げていく。

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フォークウェルプレス編集部

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本サイト掲載の全て記事は、フォークウェル編集部が監修しています。編集部では、企画・執筆・編集・入稿の全工程をチェックしています。

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