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「データベースを超えインフラに。『STARTUP DB』が目指す世界」フォースタートアップス株式会社 戸村憲史・寺田裕也

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国内最大級の成長産業に特化した情報プラットフォームSTARTUP DB(スタートアップデータベース)を提供するフォースタートアップス株式会社(以下、フォースタートアップス)は、2016年9月の創業以来、「世界で勝負できる産業、企業、サービス、人を創出し、日本の成⻑を支えていく」ことを指針に、日本のスタートアップ・エコシステムの構築に注力してきた。

株式会社ウィルグループの子会社である株式会社セントメディア(以下、セントメディア、現:株式会社ウィルオブワーク)ネットジンザイバンク事業部からスタートした同社は、2020年3月には東京証券取引所マザーズに上場、2021年5月には投資事業を行う子会社フォースタートアップスキャピタル合同会社を設立するなど、当初の主力事業だった人材支援だけでなく、資金支援、さらには情報流通や企業間のマッチングやコミュニケーションを促す、インフラとして機能すべく、新たな挑戦を開始した。

2022年3月期を「ハイブリッドキャピタル元年」と位置づけ、人材支援に加え、資金の支援を本格化させる同社の『STARTUP DB』というメインプロダクトについて、CTOの戸村憲史、プロダクトマネージャーの寺田裕也に話を聞いた。

日本のスタートアップを強力に支援

フォースタートアップスは、『進化の中心』にいることを選択する挑戦者達=スタートアップスと定義し、「すべては日本の成長のために。スタートアップスのために。」を掲げ、日本のスタートアップ・エコシステムの構築に貢献してきた。

同社が提供する『STARTUP DB』は、13,000社以上の日本のベンチャー・スタートアップ企業の情報、起業家・投資家、エコシステムビルダーの方々累計100名以上のインタビューコンテンツが閲覧できる。スタートアップとの事業創造をサポートする有償プラン、ENTERPRISE機能も加わり、単なるデータベース、メディアとしてだけでなく、企業と企業、人と企業、人と人をつなぐハブとして成長を続けている。

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「弊社は主力事業が人材支援ということで、人材系の会社にみえていたかもしれませんが、創業当初から、人材支援はあくまでもスタートアップのエコシステムを成長させて、日本から世界へ羽ばたく会社を創出するという目標に対するひとつの手段でしかないんですね。

 今回、VC が立ち上がったことによって人の支援だけじゃなく、お金の支援もできるフェーズに入り、ハイブリッドキャピタルとして人とお金の両面での手段を使ってやっていくということになりましたが、今後も目標を達成するためにどんどん手段を増やしていくことになると思います。」

同社のCTOを務める戸村憲史は、新たなフェーズに入った自社の事業展開についてこう説明する。

データベースを超えインフラに。『STARTUP DB』が目指す世界

2022年3月期から資金の支援を本格化させ、ステージ1の人材支援を中心とするヒューマンキャピタルから、ステージ2のハイブリッドキャピタルへ。同社が掲げるスタートアップのエコシステムの構築、成長の鍵を握るのが、成長産業に特化したプラットフォームである『STARTUP DB』だ。

『STARTUP DB』のプロダクトマネージャーを務める寺田裕也は、『STARTUP DB』が目指すのはあくまでも「国内スタートアップエコシステムのキャッシュフローの総量を増やしていくこと」だという。

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「『STARTUP DB』を一言で表すと成長産業に特化した情報プラットフォームです。プロダクトのゴールは、国内のスタートアップとエコシステムビルダーの方々が信頼のできるパートナーと出会える場所をつくることだと考えていて、この信頼できるパートナーとの出会いがスタートアップのグロース、スタートアップに出資するVCや大企業、海外企業、金融機関などの利益の最大化にもつながる。これらがすべてうまく回ってエコシステム全体が盛り上がっていく。『STARTUP DB』がそのインフラになっていってほしいと思っています」

日本国内13,000社以上のベンチャー・スタートアップ企業の情報、起業家・投資家、エコシステムビルダーの方々累計150名以上のインタビューコンテンツが閲覧できる『STARTUP DB』は、スタートアップの情報を可視化できるサービスでありながら、単なるデータベース、情報集積の場として完結する「入れ物」では決してない。

「色々な企業より営業リストとして利用したいという声も多く問い合わせを頂きますが、スタートアップの事業運営においてノイズになる可能性があるものは提供をお断りすることがあります。プロダクトを運営する中でStartups Firstの観点を大事にしており、数や量より質といいますか、やはり信頼できるビジネスパートナーとの出会いをしていただく場として価値提供したく考えています。スタートアップとの事業創造をサポートするENTERPRISE機能のリリース以降は、さらにそういうコミュニケーションの質にもこだわり、今後はマッチングの仕組みや、スタートアップ×エコシステムビルダー、エコシステムビルダー同士などの出会いの創出を促すような機能を充実させていく予定です」

エンジニアリング力で世界に羽ばたく企業をサポート

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進化を続ける『STARTUP DB』だが、機能面の充実とともにエンジニアリング力の充実が求められている。日本のベンチャー、スタートアップの成長、国内のみならずグローバル市場を席巻するようなユニコーン企業を輩出するためのサポートを積極的に行っていくフォースターアップスの事業を、エンジニアリングの力でどう発展させていくことができるのか?

ここからは技術スタックの面、エンジニアの事業との関わり、働き方について技術選定にも関わるCTOの戸村、プロダクトの進捗管理を担うプロダクトマネージャーの寺田に質問をぶつける形で紹介していこう。

── 企業情報やインタビュー、企画記事などを提供するという点ではメディア的な側面も持つ『STARTUP DB』ですが、ニュースサイトのような存在ではなく、将来を見据えたエンジニアリングが効いたプロダクトになっています。プロダクトの技術選定などで気をつけていることはありますか?

戸村 技術スタックの話でいえば、インフラは全てAWS上で動いています。そして、Terraformを使用しコード管理をしています。

 サーバーサイドは Rails をメインに使用しています。一部バッチなどでNode.js や Pythonを使っているところがあります。管理画面についてはRails の SSR で描画しています。今後、 SPA 化していくのかについては悩んでいますが、新規で作る機能については Hotwire での開発を試しています。一般のユーザーに見える画面はNuxt.jsを使って開発しています。

── 言語選定などもやられていると思うのですが何か気をつけていることはありますか?

戸村 大前提として技術はサービスを開発するためにあるので、技術ありきで何かを決めることはありません。しかし、新しい技術は何かしらのペインを解決するために生まれてきているので、サービスをより効率的に開発するための新しい技術がないかは常にウォッチしています。そして、より効率的に開発できる技術については積極的に取り入れるようにしていますね。

── 開発ポリシーというか、プロダクト開発について大切にしていることはありますか?

戸村 開発に関しては、自社ですべてのコードを書き続けるというよりは、SaaS型も含め、外に切り出せるものと両立しながらやっています。細かい運用をSaaS提供事業者に一任できる点も合理的ですし効率的です。

 スタートアップ企業が急増している中で、エンジニアの取り合いが起きているのは事実です。SaaS をうまく使うことで、エンジニアの限られた工数を本来やるべきことに集中できる環境に整えるのもCTOの大きな役割の一つだと思っています。

寺田 たしかにエンジニアのリソースは限られているので、エンジニアとしての価値を最大化できる場面、もととも力を発揮できるシーンでがんばってほしいというのはありますね。

「やりたいことはこれだった」テクノロジーで新しい価値を創造

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2011年、セントメディアに入社し、前身となるネットジンザイバンク事業部に配属された寺田は、非エンジニア人材でありながらプロダクトマネージャーとして、エンジニアとビジネスサイドの橋渡し役を務めつつ、エンジニアリングとビジネスの融合を進めている。

「そもそもネットオークションを小さい頃からやっていたくらいで、実はITに関する感度は他の人よりも低い方だったんです。それがヒューマンキャピタリストとしてテック系の会社とも関わるようになって、人材に対してのテクノロジー支援のインパクトがとても大きいことに気が付いたんです」

ヒューマンキャピタリストとして、人と企業をつなぐ業務の中でも、テクノロジーやツールが、スタートアップ、個人の方のの可能性を引き出し、より精度の高い人材紹介、人と企業とのシナジーが生まれる経験を何度もした。

「例えばひとつの事例です。南米の日系企業に所属する担当候補者様が、会社都合で日本へ戻らなければいけなくなったんです。彼はそのまま現地で働きたいという希望を持っていたことから、転職を考えていました」

現地での案件はなかったが、ある記事で企業の社長が南米を訪問したという記憶が呼び起こされた。営業担当と連携をし、その企業に提案を行った寺田だったが、この行動が功を奏す。

実はこのとき、同社では海外展開の構想が現実化しようとしていたのだ。寺田の担当候補者様は、同社にピッタリの人材だった。

「とはいえ、すぐに採用というわけにはいきません。現地の情報に明るい候補者様が、同社とともに事業検討を行い、事業可能性があると判断して採用に至りました」

寺田がつないだ縁は、担当候補者様の希望をかなえただけでなく、適切な人材が関わることでスタートアップ自体のポテンシャルを最大限に引き出す。課題解決と、シナジー、世界へ飛び出す企業の後押しという「新しい価値を創造するビジネス」を生み出したのだ。

「これこそ自分がやりたかったことだと思いましたね」

ヒューマンキャピタリストのやりがいを感じるとともに、かねてから感じていたテクノロジーの介在によるブースト力をさらに強く感じるようになったという。

── 非エンジニア人材としてプロダクトの方向性をどう導いていくかなど、苦労もあったのでは?

寺田 実はエンジニアの勉強というか、ヒューマンキャピタリストの傍ら、戸村の横についてコードを教えてもらうところからスタートしたんです(笑)。最初はアナログで運用していた社内の案件管理表が、スプレッドシートになり、エンジニアを採用したタイミングで独自の案件管理システムをイチから立ち上げることになり、そのシステムのプロダクトマネージャー的な動きを自分がやるようになり……。そうこうしているうちに、案件管理システムの一部を自分がコーディングしたり、STARTUP DBの前身となるプロジェクトが立ち上がって、その担当をということになり、いまに至るという感じなんです。

── プロダクトマネージャーとして気をつけているとこはありますか?

寺田 エンジニアが入らなくても自分でできるところはどんどん自動化して省力化していこうというのは心がけていますね。例えばGoogleデータポータルをつかってダッシュボードをつくったり、To doやタスクをNotionやTrello、ZenHubで管理しているんですけど、Zapierを使ってSlackのメッセージからNotionやTrelloにカード化される連携の仕組みをつくっています。また、改善要望やバグ報告があった場合にはフォーム登録からSlack、SlackからGitHubに収録されるようなエンジニアにもわかりやすく、手間をかけなくていい方法を心がけています。

「入社するよりサポートする方が可能性が高い」世界に羽ばたくユニコーン企業の増やし方

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── 一方、CTOを務める戸村がフォースタートアップスに加わったのは2016年のこと。SIerから不動産系のスタートアップ、次のステージを探していたときに創業者の志水と出会った。

「世の中に必要なサービス、成長を促すようなサービスをつくりたいといろいろ考えていたんですけど、結局日本という市場の中でやっている限り、どんどん人口が減り、GDPが下がっていく。シュリンクしていく日本市場ではなく、初めから世界に目を向けた企業やサービスに携わりたいと考えていた。そんなときに志水を紹介され、自分とまったく同じことを考えていることがわかったんです」

インテリジェンスで求人媒体「DODA」を立ち上げた志水は、人材支援を行うに当たり「日本の人事部」になることを掲げ、日本全体の経済成長を志向していたが、同時に国内の人材流動性の低下、そもそものリソース不足など、さまざまな課題を抜本的に改革しなければいけないと考えていた。

「当初ユニコーンになる企業で働きたい。そう思っていたんです。でも志水に、『自分が働く企業をユニコーン企業にするのと、うちでユニコーン企業をたくさん生み出すサポートをしていくのと、どっちが日本にユニコーン企業が増える確率が高いですか?」と問われて。

『そりゃ、ユニコーン企業が増えるサポートをする方に決まっているよな』と思ったんです。世界に出ていくようなユニコーン企業を増やす方が自分が抱えている課題感の解決になると思ったので、この会社に入ろうと決めました。」

スタートアップのエコシステム構築、成長を目指し、着実に歩みを進めるフォースタートアップスと、それを担うインフラとして整備が進む『STARTUP DB』。

今後の展開、その発展性を戸村と寺田はどうとらえているのか?

戸村 『STARTUP DB』、ENTERPRISE機能をリリースしてきましたが、まだまだ入口だと思っています。このふたつとは別なのか、延長線上にあるのかはわかりませんが、必要に応じてプロダクトも増えていくと思いますし、機能も拡充されていくはずです。

 技術面では、今の技術は本当に正しいのかということを常に自問自答しながら、その時々に合わせて技術をしっかり変えていくことが必要だと思っています。実際の例をあげると、バックエンドはマイクロサービスにしていますし、フロントエンドでもマイクロサービス化を検討しています。問題の切り分けをしやすくしたりサービスのアップデートを容易にする仕組みは構築していかなければならないと思っています。

 何でもかんでも新しくすればいいと言うことではありませんが、状況に合わせて変化させやすいということは重要だと思っています。

ダーウィンの進化論にある「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるわけでもない。 唯一生き残るのは、変化できる者である。」じゃないですが、状況の変化に適応するために変化し続けられるアーキテクチャだったり、チームでありたいと思っています。

寺田 『STARTUP DB』をエコシステムの中のインフラになるプロダクトにしていきたいです。『STARTUP DB』のなかで、本気でグロースをさせたいと思っているスタートアップ、エコシステムビルダーの方々にいい出会いが生まれる。エコシステムに関わる人は『STARTUP DB』に全員登録しているような状態をつくりたい。データベースという切り口だけでなく、直接メッセージのやり取りができるコミュニケーションツールだったり、マッチングの機能など、よい出会いをつくって、信頼できるパートナー同士が事業創造を加速化させていくような仕組みをつくっていきます。

人材支援から資金面での支援へ。情報の流通から企業をつなぐ懸け橋へ。

フォースタートアップスと『STARTUP DB』はさらに進化を続けている。

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フォークウェルプレス編集部

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本サイト掲載の全て記事は、フォークウェル編集部が監修しています。編集部では、企画・執筆・編集・入稿の全工程をチェックしています。

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