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■エンジニアの軌跡
2019.02.21 2023.12.14 約3分
エンジニアとしてキャリアを築く意気込みと展望に注目する Next Unicorn Engineer 。今回は元教師の肩書きを持つ道下翼氏にお話を伺います。2018年7月からDIVE INTO CODEに入学した道下氏は、自分の教職の経験を生かして将来は管理職に就きたいと語ります。教師からエンジニアに転身した経緯や今後のビジョンを詳しくみていきましょう。「ものづくりができて教育もできる」から教師に
──初登場ですね。まずは株式会社manabyのご紹介をお願いします。
道下:主に、就労移行支援事業を行なっています。障害があり、就労を希望している方に、自社のeラーニングシステムをベースに就労支援を行っています。「うまく」生きるのではなく、「らしく」生きるための学びを提供する、自分らしく生きていく人を増やす、という理念に基づいて事業を展開しています。
私はエンジニアとしてeラーニングのリニューアルプロジェクトに主に参画しています。弊社のeラーニングはもともとPHPで書かれているのですが、それをRailsで書き直しているところですね。自社で制作する動画コンテンツが主なのですが、そのコンテンツを載せる側を作っています。
弊社以外にも就労支援事業サービスは幾つかあり、対話をしたりして働くためのスキルを高めていくことをやっている会社さんが多いのですが、ウチでは強みとしてWeb系のeラーニングに加え在宅訓練できることが大きいですね。基本は通所してからの訓練ですが、遠隔でできて就職自体もリモートでできる。そこは強みです。
──本社は現在仙台の会社さんなのですね。道下さんは東京の事業所にお勤めなのでしょうか。
道下:今は川崎の事業所にエンジニアとして所属しています。今後は東京にも拠点を置く方向だと思います。
──プロフィール拝見したところ、長崎ご出身で大学までそちらで過ごし、それから上京して中学校の教師としてお勤めになったんですね。教師になられたきっかけはどのあたりにあったんですか?
道下:もともと人に物を教えることに興味があり、さらにものづくりにも興味があったんです。小さい頃からミニ四駆を作るのも好きでしたし、親が元エンジニアだったので自宅にパソコンがあったんです。それでHTMLを書いたりして遊んでいたこともあって、ものづくりも技術にも興味がありました。それで、技術の教員になったんですね。「ものづくりができて、かつ教育もできる」というところで、当時の自分の選択肢としては最善だったなと。
──教員時代に印象に残っているエピソードはありますか?
道下:やっぱり、教員になった瞬間から「先生」と呼ばれるのは衝撃でしたね。本当に何も知らないのに、子どもからも自分より年上の親御さんたちからも「先生」と呼ばれる立場になったわけで。呼ばれるに相応しくなるための努力をする、というところが一番大変だったかもしれません。
──すごくわかります、私も以前に講演させていただいた際に「先生」と呼ばれて、同じように思いました。道下さんの場合、一日中先生でいなきゃいけないわけですから、その感覚はもっと強かったのでは。
道下:それはあるかもしれませんね。2〜3年ぐらいはそう思っていました。ただ、ある時から「自分の素を出したほうが子どもがついてくる」と気づいてありのままを出すようにしたんですね。例えば、学校で教えていることは基本的に過去のものなので、テストにVRとかブロックチェーンとかドローンなど現在の事例を織り交ぜて出したり。
どんどんやり方を更新しつつ、子どもたちに「もっと夢を見ろ」と言い続けていたら、気がついたら自分自身が夢を追う立場になりました(笑)。
──子どもたちに夢を追えと言うなら、自分も追わなきゃいけないですもんね。周囲の先生たちから浮くことはなかったですか?
道下:それはなかったですね。私の担当が技術で、基本的には一人で行なうことも大きかったかも知れません。生徒からは「この先生、新しいこと言っていて面白いな」という形で好評だったようです。もちろん先生間では空気を読んで(笑)、波風立てないようにはしていました。
ビットコインについての話もしましたね。そもそもお金について考えるところから話して、概要を説明して、「君たちがお金と思っているものは、ただの紙に信用があるものだ。それが電子になっても、本質的には同じ。だったら、便利な方がいいよね」とか。
ただ、実はキャリアを考えた時、ずっと教員を続けるという選択肢はなかったんです。3年から5年で次の仕事をやりたいと思っていて、それがたまたまエンジニアだったんですね。やりたいことを突き詰めたときに、それはプログラミングだろうと思って。
──実際、子どもに最先端のことを教えていたら、自分でもやりたくなってしまうものですよね。
──エンジニアを目指すと決めた時、周囲はどんな反応でしたか?
道下:2つありましたね、単純に好奇心で「何をするの?」と言ってくれる人と、「もったいない」って言ってくれる人と。案外、前者のほうが多かったかも知れません。
ただ、教員仲間には「教師以外のことをする」とはあまり伝えてないんですよ。「地元に帰る」程度にしか。実際、自分もいつか、地元に戻りたいと思ってます。地方創生と言われていますし、東京に人が集まりすぎてますし。
──それで、2018年7月からDIVE INTO CODEさん(以下、DIC)に入学されたと。4ヶ月で計700時間ほど勉強されたそうですが、1日のスケジュールはどんな感じだったんですか?
道下:僕の場合、WEBコースにおけるフルタイムのゼロ期生だったので朝10時から19時までみっちりでしたね。まずRubyをやり、Railsでアプリケーションを作り、趣味が釣りなので釣り大会に参加できるようなアプリを作ったり。パートタイムと違うところとしてチーム開発がカリキュラムにあり、学びながらチーム開発も経験できてかなりタメになりました。
GitHubを使ってプルリクエストを出したりとか、そういうことは1人で言語を勉強しているだけではなかなかできないんです。それはスクールに通っているメリットなのかなと。土日と祝日はなかったのですが、それ以外の平日は4ヶ月みっちり勉強をしました。
──それだけの時間を勉強に投下したら、短期間でも実力が付きそうですね。
道下:そうだったらよいのですが(笑)。
――Wantedlyのほうに「4ヶ月間(約700時間)の時間を投資し、常に質の高い学習ができるように、毎日KPT(Keep/Problem/Try)を回している。その結果、決められた時間内で最高のパフォーマンスを出すことができるようになった。」とあります。
道下 :そうですね、朝起きて日々の方針を決めていました。最初はあまりうまく回せなくて、Problemが出ても稚拙だったりとかあったんですが、繰り返すことで徐々に上達できました。1日単位で勉強に当てられる時間は決まっていますが、同じ8時間であっても自分は他の人よりも勉強できたのかなと思っています。
──今後、エンジニアとして目指す理想像はありますか?
道下:あります。まず今後3年に関しては技術を習得していく時期かなと思っていて、それが過ぎてある程度コードが書けるようになったらリードエンジニアになり、5年後はCTOになりたいですね。技術を突き詰めることをやっていき、ゆくゆくは管理職になることを考えています。
ただ、実はエンジニアを目指してDICに入る前に「自分で起業するのはどうだろうか」と考えていろいろ企画を立ててみたんですけど、いまいちセンスがなくて。それで、「どうも自分はそちら側ではないな」と思って。共感できるビジョン、価値があって、そこに向けて一緒に取り組む立場が良いのかなと思っています。ナンバーツーというか。
──試してから気づきを得ているのが素晴らしいですね。自分が何に向いているかは、試してみないとわからないものですね。
道下:自分は本当はナンバーワンになりたいんだと思っていたんですが、意外とそうでもなかったんですよね。
──続きまして、現在の道下さんはどのような状態なのか、Forkwell Portfolioのリポジトリ解析結果を見ていただきましょう。
──拝見していると、特にJavaScriptがこれだけ上位にいるのは、始めたばかりということを考えると驚異的ですね。1年目のほとんどの方は、ここまで高い位置にはいません。
道下:ありがとうございます。JavaScriptに関しては、もっと書いてるかもしれないですね。DICに通いながら業務委託でフロントのコーディングをしていたので。とはいえ、まだまだ足りないと思います。
──人によっては、「深夜にたくさんコードを書いています」とか出たりもします。
道下 普通に平日に書いていたので、こうなっている感じなんですね、とはいえ「忍者」って表現面白いですね(笑)。(普通は駆け出しとか表現されるんです)なるほど、そうなんですね。
──今後CTOを目指されるということですが、PMなど管理職になるとコードを書く量が減ってくる部分もあるかと思います。そのあたりに葛藤はありませんか?
道下:それほどないですね。それはそれでいいなと。28歳でエンジニアになったので、やっぱり若い人に比べて10年ぐらいディスアドバンテージがあるので。そこで争うより、自分が教員だった経験、対人という部分に特化してもいいのかなと。そこに技術力を付加するようにできればいいなと思います。
──最後に、これからエンジニアを目指す方へ向けてメッセージをお願いします。
道下:一口にエンジニアといっても範囲が広いと思います。単純にプログラミングが流行っているからエンジニアになる、というのでは続かないなと思うんですね。「技術が好き」とか「楽しい」にならないと続かない気がしますね。
技術が好きでいてほしいし、そういう人には頑張ってほしいですね。いろいろなCTOの方やコードを書ける人と話していると、やっぱり技術が好きな方が多いです。僕も頑張ります、負けないですよ(笑)。