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2019.07.05 2023.12.14 約5分
「ものづくりの民主化」を掲げ、時代を超えて愛されるものを作る、育てる社会を目指している株式会社カブク。その名の由来「かぶく」は「歌舞伎」の語源である「新しい価値観の発見と創造」にあります。
――まずは、代表取締役CEO兼CTOである足立昌彦さんから、貴社についてご説明をいただけますでしょうか。
足立:弊社は「ものづくりの民主化」をミッションに掲げ、ものづくりサービスのインフラを構築している会社です。ものづくりをしたいスタートアップさんや商社さん、あるいはものづくりをしている会社なら当然知っているようなお話であっても、後ろにある協力工場などインフラをゼロから立ち上げるのは非常に時間がかかります。そこで弊社が間に入り、立ち上げに必要なノウハウを整理し、サービスとして提供していくという業態になります。弊社にはエンジニア、プロダクトデザイナー、インダストリアルデザイナーから政府と交渉する人、工場と交渉する人など全部がそろっています。
――なるほど、貴社に「こういうものが作りたい」と相談すれば、プロダクトが出るまで完パケでお願いすることができるんですね。
足立:そうです、これまで企画の経験が無い方でも作れるようになっていますし、アドバイスをするだけでも対応できます。仮に弊社で作れないとなっても、作ることのできる技術を持つ会社の紹介もできます。
――業界における貴社の優位性は、どのあたりになるのでしょうか。
足立:製造業のお客様に対しデジタル化、デジタルトランスフォーメーションをお手伝いできることですね。
お客様からみると、われわれはすごくWeb側の人間なんです。そして、われわれはWeb技術をWebの世界だけで閉じるのではなく、お客様に提供して利便性を高め、流通量を増やすなどのお手伝いをする。そういった立ち位置で事業展開しています。お客様自身でデジタルトランスフォーメーションを行なうのはなかなか難しいんですね。例えばFAXをやめることだったりしますが、それをPDFでもなく3Dプリンターにしましょうとか、特定のソフトウェアからブラウザ1本にしましょうとか。内容確認だけなら、今やスマホでもできますから。工場の皆さんが自分でデジタル環境を構築しようとするとやはり数千万、下手すると数億円かかってしまいます。しかも自分たちでしか使えないものになってしまう。そうするとお客さんからFAXで来たものを自分たちの中で変換する膨大な作業が発生してしまうわけですね。そこをお手伝いすることで、最初からブラウザでお客様と取引先の方にも共有できるようになり、管理効率も物量も増やしていける。
――貴社は立ち上げに際し、どういう経緯でこの業態を選ばれたのでしょう?
足立:2013年に、「メーカーズムーブメント」という流れがあったんです。ちょうどアメリカで3Dプリンターが出てきた頃で、個人向けで格安な3Dプリンターが登場したんですね。それを見て面白そうだなと思ったこと、あとは自分の嗜好としてWebをパソコンの中だけで留めるのはつまらないなと思っていたんです。世界に向けて、よりITの技術を活用できないか。そういう単純な好奇心と欲求で動き出したところがあります。
――足立さんは米国でエンジニアとして働いた後、Simejiというサービスを立ち上げ、2011年12月13日にBaiduに売却されました。
足立:そうです。そこで、スマホもAndroidもだいたいはわかってしまったんですね。できることも、できないことも。だったら、できないことをやりたいな、と思って。Webでも広大なクラウドの世界に行こう、かつリアルな世界に行こうと思いました。
――以前にインタビューで伺ったことと若干重複しますが、貴社の代表的なプロダクトはどういうものがあるのでしょうか?
足立:最初にやったのが、クラウドベースで提供されるデジタル製造技術ソリューションの「Rinkak」というサービスです。3Dプリンターを使ったCtoCのマーケットプレイスですね。クリエイターや設計の方々が3Dデータを通してものを販売できる、というものです。実際に誰かがその製品をほしいと思ったら、そのタイミングで初めてデータが工場に渡り、工場で作ってエンドユーザーにお渡しする。在庫が必要ないものです。その後は工場向けのサービスの3Dプリンター工場のオペレーションマップを開発しました。見積もり受注からオペレーション周りを簡単にする「MMS Connect」、さらに発注者側が便利になる試作・特注品・技術購買のアウトソーシング「Kabuku Connect」というサービスを作っています。
――今後、成し遂げていきたいビジョンはどういったものでしょうか?
足立:ものづくりのデジタルプラットフォームをサービス提供しておりますが、まだまだ完璧ではないんですね。特定のパターンしかできない、というケースも多いので。あとは3Dプリンターを主軸にやってきましたが、今後は少数ロットで始めたい人にとってのインフラを整えることができればと思っています。例えばクラウドファンディングでものづくりを始める場合でも単価を高めに設定しなきゃいけなかったり、大きな会社なら企画する時いくらの売上を見込むかを出さなきゃいけなかったり。結果、挑戦的な商品開発ができないんですね。そういうケースでも、ちゃんと利益が出るような状態を作りたいですね。そのためのインフラが今は足りていません。整備できれば面白いものを作る人をサポートでき、結果的に面白いものが世に広がっていくと思います。
――その中で今回、竹内和騰(かずと)氏と尾崎沙耶氏というお二人の中途採用エンジニアにご同席いただきました。お二人のポジションは、どういったものになるのでしょうか?
足立:2人ともフロントエンドの開発に携わってもらっています。一応Webの会社なので(笑)ただ先ほど説明させていただいたとおり、弊社の仕事では特別なソフトが必要です。扱っているものは3Dのデータや2Dのデータ、いわゆるCADが必要なものが多くて。あとはCG系のソフトなど専門ソフトが入ると、一度ローカルに落とさなきゃいけなかったりするんですね。そういう部分を全部クラウドでやれるようにしたい。となると、一度ローカルに落とさなきゃいけないものをブラウザで受けられるようにする必要があり、ブラウザ自体がいわゆるアプリケーションになります。そのアプリケーション開発をしていただいているのがお二人です。非常に大きな貢献をしていただいています。
――竹内氏と尾崎氏の入社時期はいつ頃なのでしょうか?
竹内:私は今年の1月から、尾崎は2018年4月からです。
――まずは竹内さんから、これまでのキャリアについて簡単に伺えますでしょうか。
竹内:私は高専からSIerに入り、ソフトウェアづくりをフロントに限らずなんでもやりました。その後の会社を経て、カブクに入社したという経緯になります。入社のきっかけは、Forkwellからのスカウトですね。足立が声をかけてくれたのかな、と思っています。
――Forkwellのスカウトは優秀なエンジニアさんだと常時大量のスカウトメールが届いていると聞きます。埋もれてしまうスカウトメールも少なくない中、カブクさんが光って見えた部分はどのあたりだったのでしょうか?
竹内:私はそこまで常時大量のスカウトメールが届いてはいなかったんです。月に3〜4件ほど。ただ実はカブクという会社は以前ブログなどで見たことがあって。当時「CSS Houdini」という新技術を調べる際に検索したらひっかかったので、こういう新しいことをやっている会社の方がわざわざスカウトしてくれたことに驚いたんです。ただ、技術力のある会社だとは認識していたのですが、具体的に何をしていたのかは知らなくて。それでWebを見たときに「ものづくりの民主化」をうたっていて、それで目につきました。
「誰でもものづくりができる世界を目指しているなら、すごいことだ」と思いました。
ソフトウェア自体、誰でももう作れますから。ちょっと勉強して、パソコンさえあればタダで作れます。でも、ものづくりはそうはいきませんよね。ソフトウェアで実現できていることがものに対してもできるなら、夢が広がるなと思って話を聞かせてもらうことにしたんです。
――竹内さんありがとうございます。続きまして、尾崎さんのお話も伺えますでしょうか。
尾崎:私は学生の頃から個人でWebサービスを作ったり、アルバイトをしたりしていたんです。実は、卒業後は3年ほど専業主婦をしていたんですね。ただ、あまり適性がなかったのか「ヒマだなあ」と思っていて(笑)それで主婦をやりながら友人とWebサービスを作り始めて、熱が入ってきて。「働いてWebサービスを作るほうが、個人ではできないことができるよな」と思ったんです。それから最初の会社に入り、BtoBの開発を経験してからカブクにジョインしました。
尾崎:私の場合、転職のきっかけは弊社から「いいね!」が付いたことです。「気になる」ってやつですね。「気になるがついてるこの会社、私も気になる!」(笑)と思ったことでした。
足立:相思相愛じゃないですか、マンガでいうなら食パンをくわえて「遅刻遅刻~!」って言って、曲がり角でぶつかるやつですね(全員笑)。
――ということは、面談の時点で入社にはかなり前向きだったんですね。
尾崎:そうですね。面談に進ませてもらう前に何をやっている会社かは調べたんですが、とにかく気になったのはエンジニアブログのレベルが非常に高そうだと思ったことですね。根底から惹かれる部分でした。もちろん技術寄りだけでなく、自由な記述もあって。電子工作をしている記事もあったりして、「こういうものが記事になるんだ、この組織は絶対面白いだろうな」と思って興味を持ちました。「ものづくりの民主化」を掲げ、時代を超えて愛されるものを作る、育てる社会を目指している株式会社カブクさん。その名の由来「かぶく」は「歌舞伎」の語源ともなる、「新しい価値観の発見と創造」にあります。
――エンジニアのお二人が経験したカジュアル面談は、どのような形式で進んだのですか?
竹内:足立のほうから「カブクってこんな会社で、こういうプロダクトがあって」とざっくり進んでいくものですね。
尾崎:ほんとにそんな感じで、最近よくSNSで燃える「面談という名の面接」とは違って、会社のことを風土からビジネス面からサービスに使う技術までかなり詳細に教えてくれましたね。質問も、深掘りしても丁寧に答えていただけて。エンジニアとしては「トップにCTOがいるし、その方がこういう感じならいい会社なのでは」と思いました。
竹内:私は前の仕事でSIerとして他のお客さんのところに行っていたんですが、そこで金型関連の仕事もやったんですね。で、カジュアル面談で足立にその話をしたら「これは運命だ」と(笑)。
足立:実際、運命を感じました。
竹内:それで、面接に進みたいという回答をさせていただいて、Forkwellで改めてやり取りをしました。
――面接は何回ぐらいあったんですか?
竹内:面談とは別に3回あって、一次面接が足立でしたね。
足立:「面接が進んで、最後に(社長判断で)ダメになる」ってのがイヤなんですよね。だから僕が最初に判断して、「僕はいいと思う、みんなはどう?」って形で上がっていく方式なんです。
――なるほど、トップが見て確実に内定を出したい人だけ二次以降に進んでいただく、という形なのですね。
竹内:応募者からしても、早く落ちたほうがほかを探しやすいですしね。それで二次面接がエンジニアの方と行なうのですが、私の担当の一人が尾崎だったんですよ(笑)。
――そうなんですね! ということは、尾崎さんがジャッジした上で竹内さんを三次選考に進んでもらったと。
尾崎:はい。竹内は私からしても十二分すぎる技術力を持っていて、コミュニケーションも積極的で、グイグイ来る感じでした(笑)。私はとにかく「一緒に働きたい!」と思えましたね。
――素敵ですね。
――内定は足立さんが出されると思うんですが、最終面接はどなたが担当されたんですか?
竹内:僕の場合は村野というビジネスのトップと、高橋というエンジニアでした。2人とも何を見たかというと、実際に喋ってみて話しやすさを確認したみたいですね。業務内容的にはかぶらなくても話す機会はあるだろう、ということで。そこで違う分野のエンジニアとビジネスサイドの人間、という形で面接をして、最後に足立と話をして内定をもらいました。
――足立さんに戻ってくるときは、確認だけするような。
足立:もう「結婚してください!」みたいな感じですね(笑)。最初に重要になるのは技術的なカルチャーや技術力そのもの、二次以降は人と合うかどうかを見てもらっています。
一次面接ではこの会社がどういう会社で、どういうことをやろうとしているか興味を持ってもらえるか、どういうキャリアを歩んでいきたいか、その方向性を会社として提供できるかどうか、など。
そこが合う、イコール技術力もあってカルチャーも合うので、あとは人が合っていれば申し分ないということですね。
今後どう進んでいきたいですか、それならウチだとこういうチャレンジができますよ、こういうことができるようになりますよ、と話して、その人のキャリアに貢献できることがあればと思っています。
入社してから別のことを言われても、お互い不満が溜まるだけですからね。それは最初に聞かせてもらって、(一次選考を通すときは)「好きです!!」と伝えるような(笑)。
――最終的に内定を受諾するにいたった理由はどのあたりにありましたか?
竹内:僕の場合は、やはりものづくりが面白そうだったからですね。最終面接は2018年の11月終わりだったんですが、「いますぐ答えをくれたら、1月から入社できます」と言ったら、その場で内定通知書を印刷しに行ってくれました(笑)
足立:あ、もちろん強制はしてないですよ! 「サインを書いてもらえるなら準備しますよ」ってことですね。
尾崎:私の場合も最終面接で、前社長からその場で内定の用紙をいただいて、その場で受諾しました。カジュアル面談の時点で、他の会社と並行してあまり受けたくないなと思っていたので。Forkwellさんに登録して、最初に「気になる」って言ってもらえたこともあり。
竹内:会社サイドから見ると、一目惚れが実っちゃったんですね(笑)。
――あの時尾崎さんに「気になる」を押していなければ、今ここでお話しすることもなかった可能性が高いと。これは皆さまに伺えればと思うのですが、入社後にギャップを感じた部分はありますか?
足立:僕から話しますと、ギャップはありましたね。いい意味で。
「これぐらいのパフォーマンスが出るといいよね」という評価をしていて、それに達するかどうかを評価軸に据えていたんですが3カ月で超えてきたんですよ。圧倒的に。「すごい、最高だ」と。
試用期間というかOJTみたいな形でぽいっと投げるようなことはしないで、勉強をする時間を設けたり既存の仕組みやシステム開発のラーニング期間を2〜3カ月用意するんですが、それがあっという間に終わったんですね。
「もう終わったんだ、じゃあ次だね」みたいな感じで、ステップを進む速度がお二人とも尋常じゃなく早くて。
――選考過程は相思相愛で、入社してからも良い意味でしかギャップがない。最高ですね。
足立:入社当時からお二人とも寡黙に見えるようで、ガンガン喋るタイプなんですね。
こう、事なかれ主義というか、疑問があるのに表現しないタイプだと弊社では難しいと思うんですね。
疑問があるなら質問し、「それはなんで?」」「それは定義の問題だね、この目的に対してその手段はあまりよくないよね」みたいなやり取りをしたいので。二人にはそういうことがなく、はっきり言いたいことを表現してもらえるので、とても良かったです。
尾崎:でもそれは、CTOが汲み取ってくれる人だからこそですね。言うことで良い方向に行けるという実感もありますし、開発するのも楽しいですね。
足立:そう言ってもらえて幸せです(笑)。
――お二人は、入社してギャップを感じることはありましたか?
尾崎:こちらもありましたね、良い意味で(笑)。「ビジネスサイドとの距離は近いですよ」という話は聞いていたのですが、想像以上に近くて。
見てのとおりワンフロアですし、「CONNECT」というサービス開発をやっていたら営業の方がフラッと来て「こういうところが気になってるんだよね」とアドバイスをくれたりします。
開発の体制上スクラムっぽい感じになっていて、「じゃあ改善しよう」となったら翌々週には修正が入れられる環境です。より良いものをきれいに追求できる環境が思った以上に整っていて、うれしいですね。
竹内:僕は、もっとビジネスサイドと絡みたいです(笑)。プロジェクトが違うので、あまり絡みがないんですね。もっとみんな絡んでよ、という感じです(笑)。昨日も新しい人の歓迎会をやったんですが、そのときは生産本部とか営業とか全然違う部署のみんなと飲むのでめちゃくちゃ楽しいですね。
で、ギャップですよね。ギャップはあまり……うん、感じないですね。
――少し話はずれますが、お二人がForkwellに登録された理由はどのあたりにありましたか?
竹内:僕はJavaScriptの勉強会に行ったときに知ったことがきっかけですね。当時まだForkwellのインターンなのか1年目なのか、関西弁の若いお兄ちゃんを毎回見かけて。
その人がめちゃくちゃ話が面白くて、「登録したらAmazonギフト券を2,000円差し上げます」というので(笑)、じゃあもらって帰ろうと思って登録しました。
足立:いいですね、2,000円Amazonギフト券効きますね(笑)。
尾崎:私はエンジニアの飲み友達と交流するゆるやかなコミュニティがあって、その中で「Forkwellって良いんだよね」という話があったんです。違う会社を見るなら、まずForkwellで探そうって思ってました。
――口コミなんですね、ありがとうございます。嬉しいです。そこはかなり頑張っているところなので(笑)。
――最後に、御社に入社を検討されている方に向けて、ご自身がカブク社さんに惹かれた部分を改めてお伝えいただけますか?
尾崎:私に関しては、やはりブログを通じて「新しい技術をどんどん追求している」とわかった点ですね。そういう組織、メンバーと一緒に働いたら、自分も新しい技術に取り組んでいきやすいと思いました。
足立:社内における技術雑誌みたいな立ち位置ですね。「こんな新しい技術が出ましたよ」というのを、お金をもらって学べる環境かもしれません。
尾崎:皆さんもそれぞれ専門分野があって、そこで新しい話を聞けるんです。週一の水曜日ランチがあって、そこで各々の最新技術で気になっている話を聞く機会があるので。
――新しい技術を貪欲に習得していける環境なのですね。人間性の面でいうと、こういう人に来てほしい、というものはありますか?
足立:やはり技術好きな人に来てほしいですね。技術に対して、新しいものに対してポジティブな方。
新しいものイコールほぼ変化といえると思うのですが、変化に対してポジティブな方。廃れた技術、枯れた技術をやる環境ではないので。目新しい技術でも、ダメなところがたくさんあったら「ダメだね」ときちんとジャッジできる環境です。
その上で、最近ではPythonのエンジニアも絶賛募集中です。こちら付記しておいていただければ(笑)。
――確かに付記させていただきます(笑)。本日は楽しい取材をありがとうございました!
ライター:澤山大輔