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■Forkwell調査
2023.05.31 2024.06.20 約3分
「性別が転職やマッチングに影響を与えるべきではない」というフォークウェルの考えのもと、編集部はフォークウェル会員を対象としたアンケートを実施し、こちらの記事を公開しました。
多くのメディアや Twitter などで反響をいただき、感謝の気持ちでいっぱいです。しかし、格差を明らかにする姿勢を支持いただく一方、このような意見もありました。
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どのように調査すればより正確なアンケートを実施できるのだろうかと頭を悩ませていたところ、 テック業界のジェンダーギャップの解消に取り組む bgrass社 がお声掛けくださり、なんと追加調査に協力していただけることになりました。女性比率の少ないエンジニア業界で 100名以上の女性を対象とする調査は、業界初の試みです。追加調査で見えてきた新たな男女格差の実態をお伝えすることで、業界の公正化に繋がることを期待します。
「時給換算しなければ、同一労働に対する賃金なのかわからない」という意見を踏まえ、今回は「理論年収」という考え方を導入しています。「理論年収」は平均年収、週の稼働日数、1日当たりの稼働時間からエンジニアの時給を求め、フルタイム勤務を想定した年収に変換した値です。
1次調査 | 2次調査 | |
サンプル数 / 男性 | 231名 | 311名 |
サンプル数 / 女性 | 25名 | 126名 |
平均年収 | ◯ | ◯ |
理論年収 | × | ◯ |
稼働日数 / 週 | × | ◯ |
稼働時間 / 1日あたり | × | ◯ |
エンジニア歴 | × | ◯ |
組織内の役割 | × | ◯ |
今回の調査では、女性は、前回の調査結果とあまり変わらない比率となり、男性は、前回に比べ 500万円以下の割合が 33% → 52% 増加しました。
平均年収 | 1次調査 | 2次調査 |
女性 | 490万円 | 562万円 |
男性 | 600万円 | 619万円 |
また今回の調査では、ITエンジニア歴を取得しています。
前回の調査では「女性エンジニアの方が若い傾向が高そう。年収が低いのは年齢の影響では?」といった意見もありました。そこで今回は男女ともに エンジニアとしての経験年数 を調査してみました。
経験年数が5年未満の場合、男女間の賃金に大きな差はないようです。ただし、理論年収 800万円 を実現している男性が 3% いるのに対し、女性は 0% でした。
経験年数が5年以上、10年未満の場合、男女間の賃金に差が現れました。5年未満では差のなかった 理論年収 800万以下 の割合は、女性24%、男性41% と、倍近くの差が付いています。また分母が少ないものの、 理論年収 800万以上 の割合においても 女性3%、男性6% と、ちょうど倍の差が付いています。
経験年数が10年以上の人では、再び男女間の賃金差が埋まっています。男女に限らず、正当な評価を実感することができたエンジニアは、キャリアを継続してこられたのかも知れません。
経験年数が10年以上経過すると再び格差が縮まる傾向が見られますが、それまでにキャリアを諦めてしまった女性も多いと考えられます。こうした男女格差を解消するためには、長期的には社会のジェンダー規範を変える必要があると考えます。男女ともに育児に関わることで、賃金格差が解消されるだけでなく、長時間労働の風土も変わり、性別に関係なく働きやすい文化が生まれるでしょう。短期的な解決策としては、私たちがジェンダー規範から生まれる格差を認識することが重要です。会社レベルでは、時短勤務やフレキシブル勤務でも評価を変えない、あるいはそれらの労働形態を当たり前とするなどの取り組みが考えられます。「IT/Web系サービスが主力の自社開発企業」で男女格差が少ないのは、この点を示唆しているように思います。
全文はこちら>> https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000147.000005321.html |
経験年数の他に、所属企業の業種・業態の影響を調査しました。今回の調査対象の分布を見ると、男女ともに8割近くが「IT / Web系サービスが主力の自社開発企業」または「受託開発・SES企業」に所属していると回答。そこで割合の大きかったこれらの企業に所属するエンジニアの男女賃金を比較してみます。
「IT / Web系サービスが主力の自社開発企業」は、男女格差が少ない傾向にありました。IT / Web系の企業は比較的新しい企業が多いため、下記のような要因が考えられるのではないでしょうか。
女性が働きやすい環境
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意識の変化とダイバーシティの推進
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一方、受託開発・SES企業では、大きな差が生まれていることが判明しています。分析者も、ここまで差があるとは思っていなかったようで、ショックを受けていました。
より詳しい実態をみるために、エンジニアとしての経験年数ごとに比較します。経験年数が浅いうちは業界間の格差が見られませんが、経験を積むと、特に受託開発・SES企業において格差が開いている実態がわかりました。受託開発・SES企業は、査定を繰り返すごとに男女格差が開くようです。端的にいうと。女性が出世しにくい業界構造になっているのかもしれません。
一般的に、企業内で格差が固定化された場合、緩和するには長い時間を要します。そのような環境に長くいることで、生涯年収がどんどん開いてしまいます。格差を感じたら、エンジニアとしての能力で正当に評価される会社への転職を検討してみてはいかがでしょうか。
給料の格差が一度開くと、その格差が固定化する傾向にあります1。転職活動時に現年収を参照されるケースがこれにあたります。アメリカの一部の州では、面接で過去の年収を尋ねることを禁じる法律が存在しますが、日本ではそのような制度がありません。そのため、とくに女性は現年収の開示は慎重に行いましょう。自分の給料が低いと感じる場合は、現年収よりも希望年収で交渉することを推奨します。希望年収にあたりを付けるためには、同程度のスキルを持つ知り合いや同僚エンジニアに聞くことをおすすめします。
知り合いが少なかったり同僚に相談できる環境がない方は、フォークウェルが力になります。実は、雇用側は情報の非対称性を利用して交渉を有利に進めています。
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これらの情報は雇用側のみが知り得ることであり、転職者が知ることは困難です。「Forkwell エージェント」では、転職を考えているエンジニア向けのサポートを行っています。あなたの役割に対し妥当な給料がいくらなのかなどの相談をはじめ、活躍が期待できそうな転職先や転職のポイントなど、あらゆるフィードバックをします。ぜひお気軽にご相談ください。
2009年から2017年までアメリカ大統領を務めたオバマ大統領は、労働者の権利と給与公平性について強く訴え、多くの行政命令や政策を実施しました。2014年には連邦請負業者が従業員の給与情報を共有、討論することを制限する「給与秘密保持」ポリシーを禁止2。これは労働者が公平な賃金を求めるために必要な情報を得るための重要な一歩でした。転職時により好条件を求め希望年収を交渉することは恥ずかしいことではありません。職務に対する適切な報酬を求めるための自己主張は必要です。ITエンジニアとして、男性であろうと女性であろうと、自分のスキルと経験が適切に評価され、公正な報酬を受け取ることが大切です。
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