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■エンジニアの軌跡
2022.08.18 2024.01.22 約5分
「大きな家で犬を飼いたい、自然と暮らしたい」そんな思いから、彼女、ワンちゃんと共に3人で始めた宮古島生活。2021年3月の移住から1年が経過し正直な感想を聞いてみたところ「思っていたよりも暮らしやすい」という。エンジニアのフルリモート・フルフレックスが当たり前の昨今、次のステージとして移住やワーケーションを検討されている方も多いだろう。そこで今回は、エンジニア目線による島暮らしの本音をレビュー!
—2021年3月に宮古島に移住されて1年が経ちますが、いかがですか?
bary:それが、思ったよりも暮らしやすいです。もっと不便かと思ってました。
—おぉ!そもそも宮古島をチョイスした理由とは?
bary:もともと毎年旅行するくらい宮古島が好きだったんです。沖縄本島はちょっと都会すぎるというか…。2020年に宮古島旅行した時はもう「住むとしたらどうだろ?」って考えながら旅行をしていましたね。
—他の候補地もあったんですか?
bary:基本どこでもよかったんですよね。Airbnb を利用して色んな場所に行って、実際に移住したときのイメージを膨らませてみた結果、なんだかんだ宮古島が一番じゃんっていう感じです。
—ワーケーションは選択肢にありましたか?
bary:僕は、もともと都会がそんなに好きじゃないんです。都会に住みながらって、面倒くさい。これまで東京と大阪を行ったり来たりする生活を送っていたけど、なんていうんすかね。都会の遊び方がわからないというか。僕は愛媛出身なので、遊びというとマウンテンバイクとか…。
—自然の中で体を動かすのが好きなんですね。
bary:そうそう。都会生活でジムに通ったりもしたけど、面白くねぇなと。だから休日も家でひたすらコード書いてました。
—移住の理由ってワンちゃんも関係あります?
bary:そうですね。移住前に大阪で犬を飼っていて。犬と快適に暮らしたい!という夢がありました。犬にストレスがないように、それなりの大きさの家で…と考えると、大阪の中心部は厳しい。だから多少、田舎の方に住んでいて。「たいして住みやすくないなぁ」って思いながら、結局3年ぐらいいました。
—baryさんのワンちゃん、結構大きめですもんね。
bary:20kgあります(笑)オーストラリアン・ラブラドゥードルっていう、新しめの犬種です。
—もこもこで可愛い!!!
bary:そうそう。千葉にしかいなくて、わざわざ車で迎えに行ったんです。だから犬のことも考えつつ、ずっとリモートだから広くてベッドも入る大きめの仕事部屋も欲しいなぁって考えると、ガチガチの都会には住めないなって。
—宮古島で家を探す場合、頻繁に内覧できる訳じゃないですよね。どうやって探したんですか?
bary:宮古島での家探しは、めちゃくちゃハードルが高いですよ。まず、空きがほとんどない。
—え、島で?自然がいっぱいで空き地だらけなイメージが。
bary:まず新築に近いようなキレイな物件がほとんどないですよ。だから、少ない空き部屋をみんなで取り合う感じになるので家賃も結構上がって。一時期、東京並みに高かったんです。ワンルーム9万、10万とか。
—たっかー!ちなみに探し方はネットですか?現地の不動産屋をつかまえるんですか?
bary:ネットで事前に「絶対、この物件!ここしかない!」って決めてる物件があったんですよ。そこそこ部屋数があって、犬が飼える条件って本当にもう2〜3軒くらいしかない。それで不動産会社に電話したら「もう埋まってます」と。
—空き次第、連絡をくれるんですか?
bary:いや、それもできないって言われて。仕方ないので1ヶ月おきにちょこちょこ電話で空き確認して、1年弱経ったときに向こうから「空きました」って電話がきた(笑)まだ移住が確定していた訳ではなかったけど「とりあえず借ります!!」って即決。引っ越すまで物件を確保しないといけないから、住んでないのに家賃を3ヶ月ぐらい払い続けて本当に大変でした。
—家の確保が出来てから、周りの方を説得されたんですか?
bary:そうです。彼女の家族には「娘さんください」みたいなやつはやってなくて(笑)「引っ越そうと思ってるんですよ〜」みたいなノリで報告しました。向こうの家族も「別に全然ええやん」って感じだったんで、そのままスッとスムーズに。
—理解のある親御さんですね。彼女さんは、移住を希望していたんですか?
bary:いや〜…どっちっていうと、僕が引っ張った感じです。彼女としては、そのまま大阪で良かったかも。
—なるほど。そこから、どうやって説得を?
bary:「3年くらいの周期で色んな場所に住むのもいいんじゃない?」みたいな感じ。永住だと相当、覚悟が必要ですけど、いつでも越せるんだったら良くない?っていう説得を徐々にしていった感じですね。彼女は大阪出身なんですけど、やっぱ大阪の人は大阪が好きみたいで。だから仕事の都合もあるけど月1で帰省してます。多分、大阪まで飛行機で2時間半ぐらいで帰れる距離なので、楽しんでくれてますよ。
—なるほど。そうすると、また2. 3年後にどこかに引っ越す予定はありますか?
bary:今見てるのは九州、宮崎あたりかな。高知もいいな。波乗りできるし、飯もうまい。彼女が大阪に帰ろうと思ってすぐ帰れる距離もポイントですね。
宮古島に限らず、移住を検討する際に気になるのがネット速度をはじめとするインフラ環境。内覧時に分からないからこそ、実際に都会から移住したエンジニアに聞きたいポイントではないだろうか。ここではネット速度、自然災害、光熱費事情を中心に聞いた。
—島ってネット速度が遅いイメージですが、実際どうでしょう?
bary:いや〜これがね、結構大変で…。最初はマンションに備え付けの共有インターネットを使ってたんですけど、まぁ遅くて使い物にならなくて。不動産屋に事情を説明して、個別の配線をひかせてもらって。今は下り100ちょい、上りが150ぐらいですかね。都会ほど早くないけど、仕事する分には問題ないくらいの速度かなと。
—サクサク使いたければ個別に工事が必要なんですね。
bary:そうですね〜。ちなみにメッシュWi-Fiも設置してます。メッシュWi-Fi があると、どの部屋にいても快適な速度が出るのでいいですよ。
—さすがエンジニア!ちなみにネット速度って天気で左右されます?
bary:天気は影響を受けますね。この間も1時間くらい停電してましたからね。都会で想像できない風と雷が凄くて、それで断線する。頑張って復旧してくれるけど、結構時間がかかるかも。長いときは2日止まるらしいです。
—2日止まった場合って、仕事はどうするんですか?
bary:仕事はもう休もうかなって(笑)
—ゆるくて最高ですね(笑)自然災害ですもんね。
bary:そういうときに休めるぐらい、チーム体制を整えておくと、損はないかなと思うので頑張っています。
—baryさんって200万円ぐらい課金したハイスペックマシンを使ってると聞いたことがあるのですが。
bary:全然全然。そんなことないですよ。パソコンは会社から借りたMacに2枚くらいディスプレイを付けて作業してます。
—あれれ、意外です。ハイスペックマシンを再現しようと思うと、どうでしょう?
bary:電圧とかは特に問題ないと思うけど、本島からの輸送費が高いかも…。
—なるほど。ちなみにbaryさんのデスクってどんな感じなんでしょう?
bary:IKEAのデスクを組み直して使っていて、椅子はアーロンチェアっていう30万ぐらいの結構いいやつを使ってます。これはリモートを始めたときに買いました。そんなもんかな。配線系はなるべくシンプルにしたいので、Macからケーブル1本で充電とディスプレイ接続とっていうのをできるようにというのはやってますね。
—おしゃれ!このアーロンチェアで作業が捗っているんですね!
bary:前の会社でアメリカ出張した時、現地のオフィスが全部この椅子だったんですよ。使い心地が最高すぎて奮発して買っちゃいました。引っ越しもして機材も揃えて椅子も買って貯金が8000円ぐらいになりましたよ(笑)
—今回のアーロンチェアの場合、事前に現物を知っていたから即決できたと思うんですが、もし島にない高額商品をネット通販する時ってどうするんでしょう?
bary:確かにそういうケースもあるっちゃあります。どうしても触りたくなったら旅行ついでにちょっと島を出て触ってみたいなのはありますね。それこそ車なんかだと、試乗しないと怖いし。そういう意味では不便ですけど、そこも含めて楽しんでますね。
—ふむふむ、ちなみにネット通販だと配送までにどれくらいかかるんですか?
bary:遅いっすよ。基本1週間、長いと10日〜2週間かかります。軽い荷物だと飛行機でくるから5日ぐらい。まぁ5日で届いたらめちゃくちゃ早いなっていう感覚です。
—光熱費は移住前と比較してどうですか?
bary:高いですよ。電気代には国の補助金が入るので、都心より若干安いくらい。ガスがプロパンなので、ちょっと高いですね。あとガソリンはやっぱり輸送があるので高いですね。180円?とか。
—高っ。水道はどうですか?
bary:水道はそんな変わんないですけど、ただ水が硬水なんで風呂とかがスッゲー白くなったり、人によっては髪の毛がバシバシになったりとか。
—海外みたいですね本当。
bary:そうですね。女の人は大変ですね。
—移住してみて「移住前に知りたかった!」と思う情報ってありますか?
bary:元々、宮古島には長期旅行することも多かったので、あんまり大きなギャップは無いんですけど、よくよく考えたら冬に来たことがなかったんです。
—確かにオフシーズンにわざわざ旅行しないですよね。
bary:意外と冬はちゃんと冬だった(笑)普通に寒いんですよね。
—baryさんは朝サーフィンが日課ですが、冬はどう過ごしてるんですか?
bary:冬もウェットスーツでサーフィンしてます!冬でも水温はそこそこ高くて、イメージ的には湘南や千葉の春くらい。だから冬といっても長袖Tシャツくらいで全然いけます。あと冬は、外でDIYもしますよ。結構好きなんです。
—手先が器用なイメージがあります。最近何か作りました?
bary:物置部屋みたいなスペースに設置する壁面収納を作りました。ちゃんとホームセンターがあるんです。長さを伝えて木材をカットしてもらって。ただ丸々1本だと車に積めなかったり、マンションのエレベーターに入らなかったりするので、部屋の中に持ってきてきてパーツを組み立てました。
—すごい!!逆に夏の暑さは、都会と比較してどうでしょう?
bary:都会の暑さって、ビル群の暑さですよね。僕は都会の方がだいぶきついですね。島は島で紫外線が強い。日差しがやっぱり強いので、すぐ黒くなっちゃいますね。
—なんと宮古島の飲食店数は450店以上あるそうで、想定より多かったです。
bary:観光客向けのお店も多いですからね。観光客向けだと焼肉、ステーキ、タコライスのお店が人気かな。沖縄系のお店も多いですね。
—それだけお店があれば、島内で完結しちゃう気もするんですけど、実際どうなんでしょう?
bary:意外と何でもありますよ。表参道みたいなオシャレなお店じゃないですけどね(笑)あ、宮古そばっていうのがあります。沖縄そばとはちょっと違うけど、美味しい。
—普段の食事はどうしてるんですか? 魚獲ったり…?
bary:魚釣りもするけど、基本的に平日は彼女がスーパーで材料を買ってきて何か作ってくれますね。そういえば、スーパーは意外と高いんですよ。輸送費が上乗せされていて。島で獲れるものは安いんですけど、もやしも80円くらいするんですよね。
—高っっ!!5倍位?
bary:なので、その辺は上手いことやりくりしてもらってます。だから基本は自炊ですね。家に畑とかあったらいいなぁ〜。
—印象的だった動物との出会いってありますか?
bary:移住初日ぐらいにめちゃめちゃでかいコウモリに会いました。それが電柱に止まっていて。バサバサバサッて動いていったのを覚えてますね。宮古島だと鳥くらいのノリで生息してるんですよねぇ。キジも結構いて、普通に車を運転していると前を横切ったり。あとはイノシシが生息してるらしいんですけど、まだ見たことないですね。
—都会で想像しないような出会いがあるんですね。
bary:普通に海に潜ればウミガメもエイもいますよ。
—例えば、エイに刺されたって時に、すぐ診てくれる病院とかはあるんでしょうか?
bary:東京だとすぐに対処できる病院とかがあると思うんすけど、宮古島だと基本的な医療がメインですかね。やっぱモノによっては設備がないから本島に行ってくださいと言われたり、緊急時はヘリで運んだりっていうのはありますね。
—今のところ怪我や病気で困ったことはないですか?
bary:あ、1回料理するときに包丁でザクって切って縫いました。血がバーっと出て。それが一番大きい怪我かな。僕は運転できなかったので車で大きな病院まで連れて行ってもらいましたね、血流しながら。包丁でアボカドの種を取ろうとして、そのままザクっと…。
—ぎゃあああ。ぜひ大病院の近くに住んでほしい。
bary:まぁ、島だからといって特別大きな怪我は今のところないかな。若いうちは大丈夫かなと思いますね。歳いったら結構大事かもしれないですね。
▼宮古島の医療機関数
—飲食店が豊富な宮古島ですが、教育機関はコンパクトな印象です。
bary:そうですね〜そこは島ならではというか。ほとんどの子が高校卒業後に島から出ていくみたいです。進学先も就職先も本島の方が圧倒的に多いだろうし。人によっては高校から出る場合もあるらしいです。
—伝統的に1回は島から出るみたいな?
bary:どんな人と話してても、やっぱりみんな1回は島の外に住んでる人が多い。家族が高齢になったとか都会に疲れたとかで帰ってくることはあるかも。高齢の親がいて頻繁に通院する場合とかだと、もう本当に親と住んじゃうパターンもありますね。
▼宮古島の教育機関数
—宮古島の楽しみといえば、マリンスポーツやキャンプなど自然との触れ合いがメインかと思います。それ以外のカラオケなどの施設はあるんでしょうか?
bary:映画館は1軒かな〜。カラオケやゲームセンター、パチンコ、スロットとかギャンブル系もありますね。
—結構ありますね。
bary:そうなんですよ。まぁ本島に比べると営業時間が短いとか全体的に古いっていうのはあります(笑)僕はあまり行かないけど、娯楽施設は市街地に固まってる感じ。
—市街地?
bary:みんなざっくり「市内」って言いますけど、その中でも特に飲食店の通りとか飲み屋が多い通りは、西里(ニーザト)って言います。島の人に、西里っていうと「あー、大体あの辺ね」って、わかるはず!
—エンジニア寄りの話になるんですけど、情報収集ってどうされてますか?
bary:僕はもう古き良き RSSフィードで情報収集してます。ネットがあれば情報収集できるから特別、困ってないかな。登録しているサイは、CodeZine とか、もうちょっとコアな技術系だとPublickey 、あとは Developers IO 、AWS 公式ブログ あたりかな。広い意味でのテクノロジーだと ギズモード・ジャパン 、WIRED も面白い。あとは他のエンジニアにおすすめされた本とかも読みます。
—オフラインのコミュニティはどうでしょう?島でエンジニア仲間って作れるものですか?
bary:1人だけ同じ仕事をしている人に会いました。20代かな。同じ Webエンジニアでフルリモートの移住組。もうちょい仲良くなりたかったんですけど、1度会ったきりで…。次に会ったらちゃんと話したいです。
—宮古島って移住組も多いんですか?
bary:うん、結構居ます。マリンレジャー関係者や飲食店経営の人は移住組が多いかも。
—地元民との付き合い方はどうされてますか?「打ち解けられない」「疎外感がある」と、本島に戻った話もよく聞きます。
bary:正直に話すと、地元民と移住組の壁、みたいなのはやっぱりありますね。地元民と移住組それぞれで固まりがちではある。僕の感覚でいうと日本じゃないんですよね。宮古島の人の生活スタイルや文化、建物を見ると、東南アジアの国に日本人が住んで日本人コミュニティができたみたいな空気を感じます。やっぱり島の人からすれば「なんでこんな田舎の住みづらい島に、わざわざ都会から?」みたいな感覚でしょうし。
—たしかに。宮古島の特徴的な文化や特徴的な文化ってありますか?
bary:いっぱいあります。宮古島の会社で仕事してる人に聞いた話ですが、がんばると怒られるらしいです(笑)要は「お前が頑張って仕事したら俺も頑張るしかないから、足並みを揃えろよ」と。
—ほほう。頑張る人が報われる空気感ではないんですね。
bary:キャリアアップっていう概念がないので。みんな同じ給料でいいよねっていう。そういうのは結構びっくりしましたね。
—外から来て島で就職するとギャップに苦しむかも知れない(笑)
bary:島の人は島の人、地元の人は地元の人、と割り切って考えるしかない。ただこれって、どんな田舎でも大体あるかなと思っていて、それこそ海外でも。
—それはありますね。移住を検討されている方は、ある程度、覚悟を持っておく方がいいかも知れないですね。
リモート事情について詳しくはこちらの記事でインタビューしています。
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