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■CTO名鑑
2024.05.13 2024.06.19 約2分
自分のキャリアロールモデルを探すITエンジニアのためのCTO名鑑シリーズ。今回は、キャディ株式会社 藤倉 成太氏を特集します。
技術との出会いは、10歳の頃にさかのぼります。父親が初代ファミコンと間違えて購入してきたMSXという8bitパソコンが、私の人生における技術への扉を開いた瞬間でした。MSXでも一応ゲームができたので、ゲームを楽しみながら月刊MSXマガジンを読み漁る日々を送っていました。ある日、MSXでどうやらBASIC言語というプログラミング言語を使えることを知り、見よう見まねでプログラミングを始め、その面白さに魅了されました。
同時に、電子工作にも興味を持ち、家でハンダ付けをしながら遊んでいたことが、小学校から中学校にかけての趣味でした。この頃、機械いじりが好きだと自覚し、大学は理工学部の精密機械工学科に進学しました。ロボットを作りたいという夢を持ち、ロボット工学に没頭しました。
就職活動を始めた当初はハードウェアのエンジニアとしての道を探っていました。しかし、ひょんなことからソフトウェアの世界の魅力に気づき、シリコンバレーという当時はまだあまり知られていない土地に惹かれました。その魅力に抗えず、ソフトウェアの会社であるオージス総研に入社することを決めました。1999年、私のエンジニアキャリアはオージス総研からスタートします。
オージス総研は大阪ガスのグループ企業で、SIを手掛けています。90年代半ば、オブジェクト指向が日本に本格的に使われ始めた時期に、オージス総研はその分野で非常に強い存在でした。オブジェクト指向に関する本を書かれた方々がほぼ全員オージス総研の社員だったほどです。
オージス総研時代にシリコンバレーで現地のベンチャー企業と共同開発を行った際、彼らのプロダクトと技術に対する情熱や「世界を変える」という姿勢に憧れを抱きました。そんな経験を経てSansanに転職。なんと社員番号18番でエンジニアとして入社し、15年間ほど勤務しました。最初の3年間は、インフラやバックエンドを中心に全体のアーキテクチャ設計も担当しました。ある時、会社から「開発部長をやってくれないか」と打診がありました。自分自身が開発部長を務めるとは想像していなかったのですが、会社の状況を考慮すると開発部長と必要性も理解できたし、私が最年長でアーキテクチャに関する知見もあったため、0.5秒ほど考えて「わかりました、やります」と快諾しました。
Sansanで初めてマネジメント業務を担当することになった際、思うように進まず多くの課題に直面しました。しかし経験を積むうちに、徐々に魅力的に感じられるように変化していきました。組織を形成し未来を想像しながら現在の戦略を逆算して立てる作業に、大きな喜びを覚えるようになり、チームの成長を支援し、その活躍を目の当たりにすることが、私にとって大きな楽しみとなりました。
この経験が契機となり、マネジメントへの情熱が芽生えました。やがてSansanにプロダクトマネージャー(PdM)の役職が設けられ、私もこの新しい役割を担うことに。開発部長としての職務を続けながら、PdMとしても活動しました。
数年が経ち、CTOの職を任されることに。当時、Sansanには明確なCTOが存在しなかったため、ソフトウェア企業としてこの役職が重要だと感じました。また、日本CTO協会の理事として活動する機会も得て、多くを学ぶことができました。Sansanを離れる直前の1年半は、フィリピンのセブ島で子会社の立ち上げに集中しました。
2023年5月に47歳の誕生日を迎え、昔から何となく決めていた50歳でのリタイアを真剣に考え始めました。それまでSansanを辞めるという考えは一度もなかったのですが、ふとした瞬間にリタイア生活を思い描いたところ、「毎日やることなくて、ぼーっと生きていってしまいそう、きっと毎日の暇さに耐えられない」と確信。
「最後にもう1回チャレンジしたい。引退は60歳にしよう。」と決意した私は次の挑戦について整理してみました。
これまで、オージス総研で9年9ヶ月、Sansanで約14年勤めていていた経験から、物事に手応えを感じるためには10年程度の時間が必要そうだと自己分析しました。
次の10年で何をするのか。Sansanでの経験は非常に楽しく、まだ成し遂げるべきことがたくさんあると感じていましたが、新しい挑戦への気持ちを抑えることができませんでした。この想いを胸に、現在はキャディでVPoEとして活動しています。
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