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2023.08.18 約4分
こんにちは。Forkwell(フォークウェル)の赤川です。Rubyエンジニアの最新のキャリアについてもっとよく知るために、フォークウェルに登録するRuby実務経験があるエンジニア100名にアンケートを行ったので、その結果を公開します。アンケートでは、Ruby を書く楽しさを感じられる一方で、この先も Ruby でいいのだろうか、というキャリアに関する不安の声もみえました。2010年代に感じられていた Ruby のワクワク感、伸びている感が落ち着き、コミュニティ成熟化による若手離れ、上級者のマンネリ感などの健在化が見て取れます。Rubyエンジニアの方はもちろん、Rubyエンジニアを採用したい企業は、ぜひ参考にしてください。
他の言語との比較が待たれますが、2人に1人は使い続けたいと思っているのは、数ある言語の中でもかなり高いと感じます。
こちらでも半数以上のエンジニアが、Rubyを推奨したいと回答しました。
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今回の調査結果をみると、Ruby経験者は600万円台に一つのピークがあり、その前後に分布していることがわかります。
一方で、10人に1人が1000万円以上を稼いでおり、Rubyで高収入を得ることが珍しくないこともわかります。
査定での昇給幅は、平均値であれば26万円/年で、月給換算では月2万円程度あがっていれば、人並みの査定結果であることがわかります。転職する場合には、100万円以上昇給した人が半数以上いることがわかり、Ruby経験者の需要と、採用する企業側の苦労が伺えます。
各世代が現職を選ぶうえで重視したことトップスリーは以下です。
若手
(エンジニア経験3年未満) |
中堅
(エンジニア経験10年未満) |
ベテラン
(エンジニア経験10年以上) |
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1位 | 開発技術・開発環境(60%) | 自身の成長可能性(66%) | 収入・待遇(47%) |
2位 | リモートワーク(47%) 従業員の人柄・雰囲気(47%) |
開発技術・開発環境(49%) | リモートワークの可否(44%) |
3位 | ー | 収入・待遇(46%) | 開発技術・開発環境(36%) |
企業規模・安定性・成長性を求める Ruby経験者は、どの世代でもかなり少ない結果となりました。この結果からは、ある程度の技術さえあれば、会社が傾いてもなんとかなるだろう、という自信を感じます。Rubyをおすすめする声の中に「スタートアップにおいてMVPを作るなら Ruby」というコメントもあったように、不確実な状況下でも挑戦できるマインドが、Ruby経験者には備わっているのかもしれません。
Go と TypeScript が Ruby の50%を上回りました。もう少し掘り下げてみましょう。
ITエンジニア経験別に、どの言語を今後使ってみたいかを分類しました。
Goはどの世代からも支持されていることがわかります。世代間の差が特に出たのは Rust で、10年以上のエンジニアは、Rust の支持率が Ruby を上回っていることがわかります。一方、経験が浅い人にとって、 Rust はまだまだ敷居が高いようです。Ruby は若手からの支持が低いのも気になるところです。
Ruby経験者から最も支持を得たGo言語。Go言語の基礎や人気の秘密は、こちらの記事で解説しています、
所属企業の業態別にみても、特徴が分かれました。
Goをより指示していたのは、自社サービス企業で働くエンジニアであったことがわかりました。一方、受託開発・SES企業に属する Ruby経験者では、支持される言語がバラバラな結果となりました。
アンケートでは、成長速度の鈍化、マンネリ感についてのコメントも見られました。こうした気持ちとどのように向き合うのがいいでしょうか?Ruby on Rails の作者であるDHH氏は、フォークウェルからのインタビューにこのように回答しています。
ある程度のレベルに達すると、何かを極める代償として成長スピードが遅くなることを受け入れる必要があります。しかしスピードは遅くとも成長は続きます。例えば私は 5年前、10年前よりも今現在の方がはるかに優れたプログラマーになっています。これは仕事を学習の機会と捉えて継続し、常にエゴをチェックしてきたからです。「20年間Rubyのプログラミングをしてきたからって何なんだ?」 新しい技術や方法などまだまだ学ぶことができるはずだと考えるのです。
引用元:DHHが語る 成長するエンジニアが実践する3つのルール
「何かを極める代償として成長スピードが遅くなることを受け入れる」これは Ruby に限らず、エンジニアとしての成長に停滞感を感じたときこそ思い出したい言葉です。
アンケートでは、Ruby を書く楽しさを感じられる一方で、この先も Ruby でいいのだろうか、というキャリアに関する不安の声もみえました。2010年代に感じられていた Ruby のワクワク感、伸びている感が落ち着き、コミュニティ成熟化による若手離れ、上級者のマンネリ感などの健在化が見て取れます。Ruby界隈が盛り上がり続けるためには、こうしたエンジニアの声に、各社が応え続けることが大事です。また、若い世代を積極的に受け入れる姿勢は今後さらに重要になるでしょう。
アンケート結果の公開に合わせて、このまま Ruby を書き続けて大丈夫だろうか?というエンジニアの声に、Rubyを使う企業が前向きに応える場を企画しました。
より詳細なアンケートの分析結果や求人・年収データを公開する解説パートと、アンドパッド・freee・タイミー3社のRubyエンジニアたちと「Rubyistはどう生きるか」を議論するパネルセッションパートの2本立てでお届けします。
以下のURLより、お申し込みください。
イベント:Rubyist はどう生きるか 2023年9月6日(水)19:00〜 オンライン配信(参加無料)
フォークウェルでは、この市況下でキャリアに悩むエンジニアのよきパートナーとなれるよう、エンジニアに特化したキャリア支援サービスをはじめます。
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まずはこの記事の筆者である赤川自身が率先してエンジニアのみなさんとお会いいたします。スタンスとしては、スポーツ選手のエージェントのように、エンジニアの立場で次のキャリアを提案しており、キャリアを実現するために、すでに募集されている案件をサーチするだけでなく、ニーズがありそうな企業へ交渉し、望ましい案件を作りだすことに注力いたします。赤川との面談をご希望の方は、以下のバナーからお申し込みください。
成長し続けるITエンジニアのためのキャリア支援サービス Forkwell の事業責任者を4年務めました。2021年9月より同事業部の DevRelチーム立ち上げを行っています。 子供のころから、何かを作るのが大好きで、今でもモノづくりをしている人たちを尊敬しています。 Infra Study、Front-End Study、Data Engineering Studyなど、ITエンジニア向けの勉強会も多数開催しています。 https://forkwell.connpass.com/