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■キャリアとスキルアップ
2024.02.19 2024.02.20 約3分
『エンジニアのための目標設定の技術』の著者が、書籍の深い理解と実践的な活用法を伝授。目標達成への道筋を明らかにします。
『エンジニアのための目標設定の技術』は、2021年8月に発行されました。全38章からなる本書は、各章を独立して読めるオムニバス形式を採用しています。読者は、好きな章から読み進めることができます。
本書の誕生は、2019年に開催された勉強会に端を発します。この勉強会は「エンジニアの登壇を応援する会」というコミュニティによって主催され、目標設定に関する技術や体験談を共有するライトニングトーク(LT)イベントでした。 |
目標設定やタイムマネジメントは、非常に汎用性が高い一方、抽象的なテーマでもあり、市場には様々な方法論を提案する書籍が溢れているため、本書が唯一無二であると主張するつもりはありません。むしろ、隣の人がどのようなアプローチを取っているのか、異なる視点での情報収集をおすすめします。本書を手にした読者には、興味がある章や著者をピックアップし気軽に読み進めて欲しいと思います。
本書は商業化されましたが、元々は同人誌としてスタートしました。今後もアップデートや新しい同人誌企画への発展を考えています。興味がある方は、SNSでの感想共有や提案も歓迎です。「こんなネタがある」という情報も大いに期待しています。X(Twitter) 等でお気軽にコメント、参加表明してもらえればと思います。
Hiroyuki Hanai 氏 による寄稿「第4章 あなたの目標を達成するための達成目標・行動目標」から一部をご紹介します。この章は、目標が未達である原因を分析し、再設定するためのフローを解説しています。
まず、マンダラチャートを用いて目標を達成できない理由を分析します。マンダラチャートは、目標達成やアイデア発想を支援するためのツールです。基本的には、中央の大きな目標を設定し、それに関連する8つの小さな目標や要素を周囲に配置します。
Hiroyuki Hanai 氏 が達成できなかった目標をマンダラチャートで分析したところ、チャート内に同じような項目がいくつもあることがわかりました。これらを大きく3つに分類したところ、主な障壁として「新しい目標の追加」「達成見積もりの不足」「振り返りの欠如」であることが明らかになりました。
次にマンダラチャートの分析によって明確化された弱点を、再設定します。今回は Hiroyuki Hanai 氏 が最初に目標設定し未達であった「本を書く」を例に、目標の再設定を行ってみました。
修正(具体化) | 軽量化 | 再定義 |
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具体的な方法として、修正(具体化)・軽量化・再定義の3つの方法を提案しています。当初の目標を実現するには、修正(具体化)と、軽量化は大変有効です。また目標の再定義という観点は非常に重要です。最初に立てた「本を書く」という目標は、本当に達成したい内容でしょうか?深掘りすることで、実は、登壇などによりプレゼンスをあげることなど、実は他の目標があることに気が付くかも知れません。
最後は、設定した「達成目標」を行動目標に具体化します。行動目標を設定する際のポイントは、小さな習慣を設定し日々の成功体験を積むことです。例えば、今回のように本を書くことが目標であるならば、行動目標は、15分書く・一行書くなどの小さな目標を設定し、なおかつクリア条件を複数設定すると良いでしょう。
さらに、if-thenプランニングを用いて、障害に対処します。例えば、「時間がない」という障害に対して、「時間がない場合は、取り組む時間を短縮する」などの対策を立てておくと目標に対するモチベーションを保つことができます。
erukiti 氏による寄稿「9章 目標達成のためのTODOリスト」から一部をご紹介します。この章では、目標達成に向けて、効率的なTODOリストの作成と管理の方法に焦点を当て、読者に実用的なアドバイスを提供しています。
長期に積み残されるタスクは、①実行コストが予想以上に高い ②実際には重要でない のどちらかである可能性が高いです。①ならば、タスクをより細分化・具体化する、②なら優先度を再検討して削除するなどの対処が候補になります。
例えば、「人工知能について調べる」という曖昧な目標には、「人工知能について調べる」タスクの他に「どう調べるか」という隠れたタスクが含まれています。このタスクを「人工知能というフレーズで検索する」と具体化することで、実行しやすくなります。
タスクをこなすには、心理的な負担の軽減が重要です。欲張りすぎず、一度に多くのことを試みないことが、長期的な成功への鍵です。
オーニシ氏 による寄稿「11章 目標設定の手法【ABC目標】」から一部をご紹介します。エンジニアの業務は数値化が難しいことが多いですが、そんなときに使ってみたい手法です。
A目標:すべてが理想通りに進んだ場合の目標
B目標:実現可能で適切だと思う目標 C目標:想定される最悪の状況での目標 |
ABC目標のメリットは大きく2つあります。
当初の目標から多少、下振れしてもメンタルを保つことができます。
ABC目標を上司と共有することに議論はありますが、例えば「今月は割り込みが多かったけど、B目標を達成しました」といった形で、成果や進捗を報告しやすくなります。 |
また、量だけではなく、業務の質も重要です。複数の業務にそれぞれABC目標を設定し、各業務ごとに達成度を評価します。例えば、ある業務でA目標を達成し、別の業務でB目標に到達し、もう一つの業務でC目標だった場合、それぞれの成果を業務の重要度やマンパワー比率に基づいて加重平均を行うなどして、バランスよく評価できます。
ABC目標の設定は、達成状況を達成したかできなかったかの二分法で考えるのではなく、より細かく区分けして考えることを可能にします。これにより、目標達成のプロセスがより明確になり、リカバリーも容易になるでしょう。また、ABC評価を用いることで、自分の目標設定の精度も上がります。常に頑張っているのにいつもC評価ばかりだと、目標設定を厳しくしすぎている可能性があります。ABC目標は、実践するのが難しいかもしれませんが、効果的な目標設定の方法として非常に有用です。
登壇者でもある私自身による寄稿「28章 積みタスクはどんどん増えるよ」から一部をご紹介します。本書の執筆中には、複数の技術同人誌プロジェクトが同時進行しており、その経験から学んだ教訓と対策を記しています。
各プロジェクトをきちんと完了させることが重要です。途中で放置されたタスクは、次第に積み重なり、進行を妨げるだけでなく、「なんだかどれも進捗が悪いな」「作業が乗らないな」とメンタル面においてもマイナスの影響を及ぼす可能性があります。また基本的には、1つのプロジェクトに集中するべきです。同時に多くのプロジェクトを進行させると、進捗の遅れにつながります。
進行が遅れているか、目標達成に寄与しないプロジェクトは、時には断念する勇気も必要です。
プロジェクトに新しい活力を与え、進行を促進するために、てこ入れやマイルストーンの設定が有効です。
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最終的には、これらの対策が目標達成に繋がり、結果として(いくつか損切した合同誌プロジェクトはありますが)、年に2-3冊の合同誌を発行できています。合同誌企画の編集長のタスクはプロジェクトマネジメントそのものです。こうして、プロジェクトマネジメントの重要性を再認識しました。
なべくら氏 による寄稿「37章 時間食い虫Twitterとの付き合い方」から一部をご紹介します。この章では、X(Twitter)などのソーシャルメディアがいかにして私たちの時間を消費するか、そしてその管理方法を解説しています。まずは自分がソーシャルメディアにどれほどの時間を費やしているかを把握しましょう。スクリーンタイム機能を使い、実際にどれだけの時間をX(Twitter)に割いているかを確認してみると、その結果に驚かされることでしょう。X(Twitter)を使用することの主な弊害は、集中力の喪失です。通知が来るたびに気が散り、ついついチェックしてしまうことがあります。これを防ぐ対策として、以下の方法が提案されています。
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本イベントでもお伝えしたように、自身の弱点や理想とのギャップを把握することは目標設定において重要です。フォークウェルでは、このような自己分析をサポートするツールを提供しています。
最近導入された「経験チャート」機能では、ユーザーは自分のスキルを簡単に棚卸し、理想のキャリアモデルと比較することで、必要なスキルのギャップを明らかにできます。これは、エンジニアリングマネージャーや他の目指す職種に向けたスキルセットの強化に役立ちます。
このプロセスを通じて、自分に足りない部分を把握し、具体的な目標設定につなげましょう。さらに、フォークウェルでは10年以上の経験を持つメンバーがキャリア面談を提供し、個々の悩みに真摯に向き合い、サポートを行っています。
この機会にフォークウェルに登録し、経験チャートを活用してみてください。スキルが可視化され、キャリア形成に役立つはずです。