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「Rの勉強会に行くと、声をかけられるようになりました」梅津雄一~Forkwellエンジニア成分研究所

趣味が高じて、Rの書籍を出版しました

――2016年に東工大の大学院を卒業され、1社目に行かれたんですね。前職では、どんなことをされていたんですか?

梅津 前職はエンジニアではなく、ウェブマーケターでした。色々な会社のウェブサイト向けに、広告運用やSEO対策としてコンテンツマーケティングをやってたりしたんですけど、その中で自社サービスとしてウェブサイトのアクセス解析ツールを作ることになって。そこのプロジェクトマネージャーを担当して、その辺から技術寄りのことをやり始めました。

――技術者にジョブチェンジされたのは、そのタイミングだったんですね。

梅津 そうですね。プロジェクトマネージャーをやるなかで、「実装をやりたいな」という思いが強くなって、丁度必要な機能の開発が一段落したタイミングで今の会社にお声がけいただきました。

――プロジェクトマネージャーというと、何人かをまとめていたということですよね?

梅津 アクセス解析ツールを作るエンジニアたちのイシュー管理をやっていました。サービスリリースに向けて、「この2週間はこれらの課題に取り組みましょう」といった管理や、他には仕様書作成をやったり。今は、プロジェクトマネージャーではなくエンジニアとして実装を主にやっています。言語はRも多少使うんですけど、主にPythonとC++です。Rは学生時代に使っていて、個人的に趣味で続けています。

――その趣味が高じて、という表現が適切かはわからないですけど、Rの書籍を出されたんですね。

学部で統計を、院では「最適化」を学びました

――学部では、どんなことを学ばれましたか?
 
梅津 東工大で統計学をやり、その中で環境と統計学を組み合わせて分析を行う研究室に所属していました。「部屋から見える景色が不動産価格にどのくらい影響を与えるか」を推定したり。その際にはRを使っていました。

――部屋から見える景色。

梅津 そうですね。勿論、不動産価格には駅からの距離や部屋の広さなどが影響を与えているのですが、他にも「緑が見えた方が良いんじゃないか」という着眼点で。ただ、見えすぎると田舎みたいであまり良くないのでは、とか。ちょうど良いところがあるんじゃないかということで推定をしていました。

――面白いですね。それを4年間ずっとやられてたんですか?

梅津 1~3年は基礎的な数学等の勉強をし、4年から研究室に入って統計学を学び始めました。ほとんどみんな院に進む大学だったので、就職に強いこだわりがなければみんな院に進みました。僕も「1年じゃ足りないな」という感じだったので、大学院に進学しました。

――院に進まれて「最適化」を勉強されたそうですが、どんな学問なんですか?

梅津 最短経路という問題がイメージしやすいかもです。「この地点からあの地点に行くまでに、どういうルートで行けば1番近いのか」というのを計算するというものです。

一番簡単なのは、全探索して全部のルートから一番近いものを選べば良いんですけど、そうすると計算上非効率なので、なるべく効率化しつつ正確に計算するのがポイントです。エレベーターもそうですね。例えば3基あったとして、それぞれをどう動かしたら効率が良いか。

――ビジネス的な需要に、直接的に役立つ学問ですね。

梅津 そうですね。私は大学院から入ったので、がっつり学びきる前に終わってしまったのは悔やまれるところなんです。同じ研究室に所属していた方には、野球の最適な打順を求めたり、工場のコンテナ内に荷物をどのように配置するのが効率的か求めたり、している人などがいました。

正確さとキャッチーさのバランスは苦心しました

――続いて、著書「RとShinyで作るWebアプリケーション」について伺えればと思います。執筆のきっかけは、何だったんですか?

梅津 元々は湊川あいさんという方がいらっしゃって、「わかばちゃんと学ぶ Git使い方入門」とか、「わかばちゃんと学ぶ Googleアナリティクス」を書いていらっしゃるんですけど、その「わかばちゃんと学ぶ Googleアナリティクス」のレビューを私が担当することになりまして。

前職でウェブサイトの解析をやってたので、Googleアナリティクスは使い馴染んでいました。レビューをさせていただく中で、湊川さんに「自分も書いてみたい」と話をしたところ、出版社に通していただいて。私の技術ブログを編集者の方がみてくれて、ゴーサインが出たという経緯ですね。

――索引入れて311ページですか。余談ですけど、索引が入っている書籍はめちゃくちゃ気合いが入っている書籍なんですね。ページ数って完成時までに変わるわけで、索引は工程の最後の最後にしかつけられない。無くたって誰も怒らないけど、あえて付ける。それは、書籍に対して自信と思い入れがある証拠なんですね。

梅津 それは初めて聞きました。ありがとうございます。

――索引は自分でつけられたんですか?

梅津 いやその編集者の方がやってくださって。

――間違いなく、編集者さんはこの本に対する思い入れが強い方ですね。執筆で大変だったことって、どういうことがありましたか?

梅津 技術ブログで書いている内容は正直、「8割事実で、2割間違ってても良いから分かりやすく伝える」ぐらいのライトな気持ちでいます。それでも発信することを大事にしているのですけど、書籍の場合お金を払って買ってもらうので10割正解じゃないといけない。「多少不正確でも」は許されない。でもその中で、キャッチーさはなるべく残すことをテーマにしました。直感で理解させつつも、説明はきっちりやるみたいなバランスですね。

――制作にはどのぐらいの期間がかかったんですか?

梅津 2~3カ月ですね。既に書いてあった内容もあるので、一から全てではないですが。大学時代の同期と一緒に書き上げました。

――それにしても1人、150ページぐらいありますよね。

梅津 そうですね。頑張りました。会社もベンチャーなだけあって忙しく時間がとれないので、土日と、あとは通勤の時間をフルに使いながらやってました。空いてる電車で座れるので、毎日ずっと集中してキーボード叩いていました。

――すごいですね。それを3カ月。

梅津 そうですね。今できるかと言ったら、ちょっとできないですけど。

――大変な思いをして作られた本なんですね。出版の反響はどうでしたか?

梅津 データ分析だと最近はPythonが主流で、Rは自分が学生だったときと比べて使う人が少なくなってきている気がします。その中で、Shinyというテーマを挙げて、かなりターゲットを狭く深く掘り下げました。正直、心配ではあったんですけど、その割には結構買ってくださっているなという印象でしたね。

――「面白かったよ」みたいな反響はありましたか?

梅津 そうですね、反響は結構いただいて、Rの勉強会に行くと向こうから声をかけてくださったり。嬉しかったですね。

――すごいですね。26歳でこれだけ分厚い技術書を書かれるのは。今後、こういうな本を執筆されたいという思いはありますか?

梅津 実は、一冊決まっています。機械学習系で、もう少し広いターゲットに向けて。機械学習の理論を直感的に説明しつつ、オープンソースのデータを使って分析するという内容です。初学者や非エンジニアの方々が、最後まで読み切れるような本にまとめたいと思っています。

――出版予定はいつですか?

梅津 7月です。なので、4月には仕上げないといけないんですけど、まだあまり進捗がよくないです(苦笑)。共同執筆者とうまく連携しながら、なんとか仕上げていきます。

迷っているなら、必ずアウトプットした方が良いです

――ここからは、梅津さんが働く上で大切にしていることについて、「事業内容」「仲間」「会社愛」「お金」「専門性向上」「働き方自由度」の6つの項目から合計20点になるよう、点数を振り分けていただきます。

・専門性向上 4

エンジニアなので、できれば業務のなかで技術を成長させたいです。5ではない理由は、そこだけに引っ張られるのはちょっと違うなと思っていて。正直、自分で勉強しようと思えば業務時間外でもできたりします。そこを求めすぎると、大事なものが見えなくなる気がするので4にしました。

・仲間 5

他責傾向の人とか、テイカーの人とは一緒に働きたくないと思っていて。1人でもいると、会社としてグラグラすると思います。精神的に安心して働ける仲間たちと一緒に働きたいと思います。

・お金 2

もう少し年齢を重ねたら大事になって来そうな気がするんですけど、今はいいかなと思っています。どちらかというと、技術を上げられるかが大事になってくるので、現時点では2ですね。家族ができたら、点数が上がるんだろうなと思います。

・事業内容 4

自信を持って仕事をする上で、「自分のやっていることが世の中のためになっている」という自信、安心感が必要だなと思っています。ないと、働きづらいですね。

・働き方自由度 2

弊社は裁量労働や、週1回のリモートワークが許されています。で、前職は定時で10時~19時だったんですけど、両方にメリット/デメリットあるなと思っていて。定時だと規則正しくて良い面もありますし、裁量労働だと「昨日は深夜まで頑張ったから、今日はお昼から出勤でいいや」と思う。相互に良い面があるので、どうしても自由度を求めたいとは思わないですね。

・会社愛 3

とても微妙なところで、5である必要はないと思っていて。エンジニアという職種だからか、自分の年齢が若いからかはわからないですけど、一生いられる会社を選びたいとはまだ思えないです。ただ、好きじゃないところで働くことはできないので。最低限、自分のやりたいことと一致しているという意味で3ですね。

――最後に、キャリアに迷うエンジニアの人に向けてメッセージをお願いします。

梅津 技術ブログなどで、必ずアウトプットはした方が良いと思っています。技術のことでもいいですし、キャリアに悩んでいるということ自体をそのまま記事にしてもいいと思いますし。転職活動するにしても、自分の名刺になるものがあった方が進みやすいので。「私は、こういうことをやっている人です」とは言えた方が良いなと。

アウトプットしていると、自分に情報が入りやすくなるというメリットもあります。
アウトプットする過程で色々な情報をインプットした結果、「現状のままでも良い」となるかもしれないですし、迷っているなら必ずアウトプットした方が良いなと思います。

<了>

ライター:澤山大輔


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